今、ここで勝つために-心優しき角界のベッカム-琴欧洲勝紀

角界のベッカム琴欧洲

親方となった後も比較的メディアで取り上げられることが多いので、最近相撲を見始めたというファンも、鳴戸親方こと琴欧洲に関してはご存じの方も多いのではないでしょうか?

2002年11月場所にブルガリア出身初の力士として初土俵を踏み、大相撲で優勝を飾り大関まで昇りつめた琴欧洲。その実力もさることながら、寂しそうな瞳と端正な顔立ちは角界のベッカムと言われ、女性を中心に人気を誇った力士でした。

親方となった今も長身で均整の顔立ちは健在で、イケメン親方として鳴戸部屋を運営しています。

今回はそんな琴欧洲の一冊をご紹介させて頂きます。

「今、ここで勝つために」 鳴戸親方(元大関琴欧洲) 

読み終わっての率直な感想としては「琴欧洲っぽくてさっぱりした文章」でした。簡単な文章で琴欧洲らしかったと言った方が良いでしょうか(笑)

琴欧洲は現役時代から日本語の勉強のためブログを書いていましたが、その集大成といったところです。

傍目には順調に出世して印象が強い琴欧洲ですが、遠いヨーロッパの地からやってきた青年にも人知れず様々な苦労があったのだなと感じました。

 

琴欧洲 今ここで勝つために

目次
序章:引退を決めたとき
第一章:カロヤン少年、「琴欧洲」への道
第二章:外国人力士という孤独
第三章:いざ初土俵へ
第四章:家族という原動力
第五章:初の欧州出身大関の誕生
第六章:祖国ブルガリアのために何ができるか
第七章:出会いと別れが私を強くする
終章:花道の向こうに見えたのは

末恐ろしかった琴欧州

相撲経験があったとはいえ、初土俵からわずか8場所で十両に昇進、その十両はは二場所連続二けた勝利で通過(一度は優勝)、入幕二場所目には11勝を挙げて敢闘賞を受賞。

翌年は夏場所から、10勝・12勝・13勝・11勝。直前3場所が36勝という圧倒的な数字を叩き出しての大関昇進。史上最速19場所目での出来事でした。

私が初めて琴欧州のことを知ったのは、膝を脱臼しながら強行出場をしていた序二段時代。手負いの状態で6勝を上げたヨーロッパの青年に、末恐ろしい力士が
出現したと思った記憶があります。

そして当時若手だった部屋の兄弟子琴光喜と共に、佐渡ヶ嶽部屋の未来にもワクワクしていました。(二人とも大関に留まり、優勝1回に終わったのは残念です。)

優しすぎと怪我で低迷

当時王者だった朝青龍の協力なライバルとなり、すぐにでも横綱かと思われた琴欧州でしたが、大関昇進後はその緊張しやすい性格と膝の怪我が影響して、1度の優勝以外は10勝がやっとの普通の大関になってしまいました。

この優しすぎる部分は自覚されていたようで、本作中で書かれている「鬼の琴欧洲親方になる」という記載などは、そう自分で言ってしまっている段階で既に違うと自覚している証拠です。その優しさを甘さでなく、温かさとしてうまく弟子を育てて欲しいと思います。

デビュー当時の期待値からすると、少し物足りなかった感じもする琴欧洲でしたが、大関昇進や初優勝と土俵での実績と合わせると、ヨーロッパ力士のパイオニアとして功績は永遠に語り継がれることでしょう(碧山などは琴欧洲あっての力士です)

琴欧洲来日当時、相撲界にはモンゴル出身力士はある程度の人数が在籍していましたが、ヨーロッパ出身力士はほぼ前例がなく、言葉の壁や食べ物など苦労も多かったと思います。

そんな中、琴欧洲は日本語の勉強を懸命に行い、日本人以上に一つ一つの意味を理解して相撲界に馴染んでいきまし。ぜひその日々で学んだことを、新生鳴戸部屋では伝えていって欲しいと思います。

改名後の優しい「優しい琴欧洲」ではなく、「怪物琴欧州」のままでいれば、もしかすると相撲界の歴史も若干変わっていたかもしれないですね。

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今ここで勝ために-琴欧洲-
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