まだ記憶に新しい九州場所中日、貴景勝VS逸ノ城戦での出来事。
動きが止まり膠着状態が続く長い相撲の末に貴景勝が土俵下に押し出され、一旦は逸ノ城に軍配が上がりましたが物言い。
協議の結果「 軍配差し違え 」で貴景勝の勝利となりました。
理由は「逸ノ城に髷を掴んだ反則があった」とのことです。
今回の取組は非常に長い相撲になりましたが、髷掴みの反則が発生したのは取組序盤。相撲ファンの中には反則負けになるならば「もっと早い段階で終わらせるべきだった」との声も多く出ています。
しかし、それ以前に相撲観戦初心者にしてみれば、今回の判定を見て「髷つかみは反則」「相撲に反則負けがある」など始めて知った方もいたことでしょう。
今回は令和3年九州場所貴景勝VS逸ノ城戦の取組の個人的見解と、(髷掴み)反則負けについて書いていきたいと思います。
髷を掴んだかの確認が困難だった?
物言いがついた際、会場だけでなくテレビ前の殆んどの人が、土俵際の攻防で「足が出た」「体が残っている」という部分の確認だと思ったはずです。今回の髷掴みは攻防中の出来事だったため、それくらい気が付かない出来事でした。
おそらく審判団も確実に掴んでいた確証がなかったため、もし止めてしまい、後に確認して「掴んでいなかった」となるリスクを無くしたかったのかな?とも思います。
とはいえ体力勝負になってくる終盤に向けての中日に、お互い無駄な体力を使い疲労が残る一番になってしまったのは否めません。
私も審判からの説明直後に「だったら最初に止めればいいじゃん」と思いましたが、長く膠着が続く時間帯にビデオ室の大山親方などに確認って取れないんでしょうか?とにかくあの取組の後半部分が全く無意味であったことが残念です。
大相撲の禁じ手
今回は「髷掴みによる反則負け」ですが、大相撲には禁じ手が幾つか存在します。全部は分からないので調べてみましたが、正式には以下の項目のようです。
握り拳で殴ること
頭髪をつかむこと
目またはみぞおちなどの急所を突くこと
両耳を同時に両手のひらで張ること
前立みつ(前ぶくろ)をつかみ、また横から指を入れて引くこと
ノドをつかむこと
胸、腹をけること
一指、二指を折り返すこと
こうして並べてみると、やはり髷を掴んだ反則負けが圧倒的に多い印象をうけます。最近でも令和3年夏場所に照ノ富士が妙義龍の髷を掴んで反則負けになりましたが、 突き合いやはたき込み、投げを打つ際に頭を押さえるなど、流れの中で故意でなくとも髷に手が入ってしまうケース等が、他の反則に比べて起こる可能性が高いからなのでしょう。むしろ髷つかみ以外は故意でなければ起こらないような気もしますが・・
髷を掴んだの判断はどこまでか?
ここまで紹介してきた「髷を掴んでの反則負け」ですが、実際どこからが該当して、どこまでがセーフなのかは正直よくわからず、あくまで審判部の判断となっているようです。
長期休場から復帰した晩年の貴乃花と、新大関朝青龍が激突した「平成14年秋場所貴乃花VS朝青龍」戦。
平成中期の名取組として頻繁に紹介されておりますが、この取り組みも取り方によっては貴乃花の指が朝青龍の髷に入っています。
取組の流れの中で故意ではなく、勝負には影響しないという見方なのかもしれませんが、見解は人それぞれになるのではないでしょうか?
この他にも「髷を掴んだか?掴んでいないか?」論争は常にありますので、毎度髷関連の物言いに関しては何とも言えません。
2014年に「 故意か偶然かにかかわらず、引っ張ったかどうかの判断が困難な場合、取り直しにする案を検討することになった。 」そうですが、実際に相撲をとっていた親方達からすると、髷を掴んだか?掴んでいないか?の判断以上に、取組の流れを止めることのリスクというのは判断が難しいのかもしれません。
とはいえこの髷を掴んでの反則負けに関しては、今回のケースをきっかけに、改めて少し協議してみてもよいかもしれません。