大相撲全勝優勝って凄いのか?-普通の優勝と何が違うか?-

「初の全勝優勝を狙う横綱照ノ富士と大関の意地を見せたい貴景勝」
令和3年納めの九州場所結びの一番は、立場は変わりつつも昨年同様の顔合わせになりました。

結果は横綱照ノ富士が終始抜群の安定感を見せて勝利。
先場所に引き続いての連覇と、6回目の優勝を飾りました。

意外なことにこれまで全勝優勝はおろか14勝の優勝経験もなかった照ノ富士だったので、今回の全勝優勝は喜びも一入でしょう。この九州場所は、その存在感と安定感を一層強く感じさせられた場所になりました。

千秋楽が近づくにつれてしきりに出てきたこの「全勝優勝」ですが、一体普通の優勝とは何か違うのでしょうか?

今回は、大相撲の幕内最高優勝における「全勝」と「優勝」の違いを見ていきたいと思います。

全勝優勝と優勝に違いはない

結論から言ってしまうと、極端な話全勝して優勝しようが、11勝で優勝しようが特に変わりはありません。

大相撲の幕内最高優勝の優勝賞金は1000万円。しかし成績によってこの金額は変わるものではありませんし、各国や団体から送られる商品や記念品も、開催場所ごとで変わるものはありますが優勝成績によって変わるということは聞いたことがありません。

あくまで「全勝という響き」や「15日間勝ち続けた強さや安定感」を外部に対して知らしめる無形の指標です。負けることの出来ない横綱にとっては「プライドや存在感」であり、上を目指す力士にとっては「成長や勢い」の証なのかもしれません。

優勝額の文字が「全勝」になる

現在国技館館内には、四方に8枚ずつ計32枚各場所の優勝力士の優勝額が掲額されています。

 

 

この額に記載されている「優勝」という記載文字ですが、全勝優勝を飾ると、「全勝」と記載されます。

 

些細な違いではありますが、実際に優勝額が並ぶ中で「全勝」の記載はひと際目を引きますので、全勝を飾った本人としてはやはり喜びも一入かもしれません。

全勝優勝で年収が48万円アップ

先程「全勝優勝とその他の優勝では何も変わらない」と書きましたが、厳密に言うと年収に影響が出てきます。

以前、平幕力士が横綱に勝利するいわゆる「金星」についての回で記載した内容に似ているのですが、全勝優勝の場合それ以外の星(14勝1敗や13勝2敗など)での優勝に比べて下記金額が協会から支給される金額に追加で加算されるようになります。

毎場所80,000円、年間で480,000円

もっと細かくご説明すると、優勝した場合それ以降の年収が下記金額アップするのですが、全勝優勝とその他優勝の差額が年間で48万円になるということです。

優勝のケース:年収720,000円アップ
全勝のケース:年収1,200,000円アップ


ちなみに先程から「給与」ではなく「年収」「支給される金額」と記載しているのは力士の給与について「給与」と「力士報奨金」という支払われ方に分かれているので、あえでそう記載しています。

ということで正確に言えば「全勝優勝をするとその他優勝に比べて年収が48万円アップします」。※給金アップ分などは含めておりません

一般的に年収48万円アップといえば大きいかもしれませんが、横綱にとっては我々が思う金額感とは異なるかもしれません(笑)

 

全勝優勝は難しい

ここに挙げたのは、全勝優勝に関わる記録です。

全勝優勝の回数
白鵬:16回 大鵬:8回 双葉山:8回 千代の富士:7回 北の湖:7回

連続全勝優勝
双葉山:5回 白鵬:4回

年間最多全勝優勝
白鵬:4回

年2場所時代の双葉山と、年6場所時代の白鵬。
場所数が多い現在の方が有利なのか?コンディションを整える時間のある2場所制時代の方が有利なのか?それは分かりませんが、とにかく難しい記録だと乱発出来るような物でないことはたしかなようです。

また、一つも負けられない全勝優勝ですので、本人の実力だけでなく周りとの実力差も大きな要因になるのかもしれません。最近こそ比較的頻繁に見るようになった全勝優勝ですが、群雄割拠と言われた90年代(正確には朝青龍が独走する2002年くらいまで)には5回しか発生していません。

九州場所を全勝優勝で飾った照ノ富士の秋場所からの連勝は現在18。
自身の持つ20連勝をどこまで超えるか期待しましょう。

※全勝優勝の違いについて記載しましたが、もしかすると私が知らないだけで、全勝優勝にしかないことがある可能性もあります。もし違っていたらすみません。ぜひ教えてください。

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