相撲中継で度々耳にする「金星」
相撲用語で比較的メジャーな言葉ではありますが、「横綱への勝利が金星」など間違った認識をされている方も多いので、今回はこの金星についてお話します。
金星の意味その壱
「金星」という言葉を使うのは、相撲での勝利、土俵の上だけではありません。
綺麗な女性
を意味します。
お相撲さんの婚約発表で「金星を射止めた」という表現を使いますが、美人の奥さんをもらったという意味なんです。さらに褒めると大金星。
ちなみに別の相撲用語で「首投げ」という言葉がありますが、こちらは女性と
関係を持つことを意味します。金星と共に若者が使いそうなセットです。
こちらはこの程度の説明で終わらせて頂きます。
金星の意味その弐
金星におけるもう一つの意味(今回はこちらがメインの話です)。
それは・・・
「平幕力士が横綱に勝つこと」
横綱が敗れ座布団が舞うと「金星!」と表現されたり口にする方もいますが、
その表現は間違っており、正確に言うと横綱に勝利した力士が三役以上(小結・関脇・大関)であった場合は金星ではなく、平幕力士が勝利してはじめて金星となります。相撲中継は16時くらいから幕内の取組を放送していますが、同じ幕内の土俵でも平幕と横綱では実力も全く違う証明なのです。
金星はいくらになるのか?
横綱に勝利し見事金星を獲得した力士。
では一体いくらもらえるのでしょうか?
(横綱戦なのでもちろん懸賞金はたんまりもらえますが)
毎場所40,000円、年間で240,000円
この金額を引退するまで(十両以上でいる限り)もらうことができます。
現役で最も金星獲得数が多いのが逸ノ城。8つ持っています。
逸ノ城は年間で、1,920,000円が上乗せされてもらえるのです。
あと10年現役を続けると掛ける10!
そう考えると「金星」がいかに当別なもの物なのかお分り頂けると思います。
金星獲得最多力士は?
(歴代の金星獲得数ランキング)
1位 安芸乃島ー16個
2位 高見山ー12個
2位 栃乃洋ー12個
4位 土佐ノ海ー11個
そのほか10個獲得しているのが、
貴闘力、三根山、北の洋、安念山、巨砲、出羽錦、鶴ヶ峰、
玉の海、長谷川、富士桜
安芸乃島は16個。最後の金星を取ってから約4年ほど現役を続けたので、
最後の4年間は年間15,000,000円超!
他人の懐勘定・・・。
(現役の金星獲得数ランキング)
1位 逸ノ城ー8個
2位 北勝富士ー7個
3位 遠藤・栃煌山・妙義龍ー6個
少ないか多いかはそれぞれの捉え方によりますが、金星は力士本人の実力だけでなく、周りの状況も含めた運的な要素も大きいので正直何とも言えません。
金星を獲得するための要因
1.横綱に勝利できる実力
当たり前です。どんなに対戦が組まれようが勝てなければ金星にはなりません。
2.ほどよい実力
あまり強すぎると横綱大関に昇進してしまうので、変な表現ですが三役常連
クラスの実力者ながら定着しすぎない程度が程よいところです。
3.横綱の数
自身の実力やそのピークのタイミングも大事ですが、それに合わせた横綱の数も重要です。自身の力が全盛期を迎えた頃に横綱が1名。横綱が休場しがち。
そうなってくると肝心の横綱戦が組まれませんし、逆に横綱の全盛期に合ってしまうと今度は勝てません。横綱晩年のタイミングであれば勝率も上がってくるはずです。
運的な要素があるところが何とも言えないところではありますが、
やはり実力が必要になるのは、顔ぶれを見てもらってもわかると思います。
金星王安芸乃島(現高田川親方)は大関候補と言われながらも、上に強くて下に取りこぼす力士だったため連続して三役には在位せず、金星を取るにはもってこいの力士でした。
同じく大関候補と言われた若の里(現西岩親方)は、横綱に勝てる実力がありながらも安定して三役に定着する力士だったため金星は少ないです。
金星を一つ取っても、その力士の特徴が分かったりするなど中々面白いです。
金星はプライスレス
横綱の調子が悪い場所であっても反対にキレキレの場所であっても、
中々負けない横綱からの勝利であっても、取りこぼしの多い横綱からの勝利で合っても、条件が「平幕が横綱に勝つこと」それだけなので、数字の上では同じ40,000円というのは変わりません。
しかしそこには「人々の記憶に残る」という、金額以上の付加価値があり、
その価値をつけるのはファンの声援や、飛び交う座布団の数(本来禁止ですが)、
マスコミの騒ぎようや、何より勝利した横綱の場所成績。
金星でも場内が少しざわつく程度では。。。。
18歳だった貴花田が千代の富士に勝利した一番や、
白鵬の64連勝を阻止した稀勢の里。
朝青龍の36連勝を止めた北勝力。
同じ金星でも人々の記憶にいつまでも残る金星がいつの時代にもあります。