相撲ファンにはなぜ年配者が多いのか?

相撲ファン=年配者が多い か?

「幼い頃、おじいちゃんやおばあちゃんの家でよく相撲を見ていた」

「●●山はおじいちゃんが好きだった。うちのおばあちゃんは●●里を応援していた」

相撲についての話になった時、若い世代からこんなセリフを耳にすることがありますが、「相撲はお年寄りが見るもの」という世間のイメージは相変わらず根強いのではないでしょうか?

「相撲はお年寄りが見るもの」→「相撲ファン=年配者が多い」

最近はスー女など若い相撲ファンが増えては来ているものの、「相撲ファンは年配者が多い」・「相撲はおじいちゃんが好きなスポーツ」といったようなイメージは根強い印象で、10代から相撲を見始め、結構な年齢を重ねた私自身、まだ自分が(勝手に)イメージする「相撲ファンの年齢」に追いついていないなと常々感じています。

今回は、「相撲ファンには年配者が多いのではないか?」という、 多くの人々が抱いている印象について「本当なのか?事実ならその理由はなぜなのか?」について考えてみたいと思います。

年配者が多いは本当だろう

日本の総人口の割合から考える

今回の疑問に関する正確なデータなどはありませんが(ないと思いますが)、結論「相撲ファンにおける年配者の割合は高く、その人数は多いのではないか」と私は思っています (「相撲ファン」という概念がどこからどこまでかはさて置き) 。

もう少し細かく説明すると「年配者における相撲ファンの割合が多い」ので、「相撲ファンには年配者・お年寄りが多くなる」のではないか?ということです。

何か分かりにくい表現にはなりましたが、そもそも日本の人口を考えてみて下さい。

少し古いデータにはなりますが、2019年における日本の総人口「1億2,617万人」のうち、(年配者を65歳以上に想定した場合)65歳以上の人口は「3,589万人」。総人口に占めるその割合は28.4%となり、14%だった25年前の倍になります。

若干数字のこじつけにはなってしまいますが、相撲ファンの中においても「年配者の割合は高くなる」はずで、それはイコール「年配者の人数が多くなる」と仮定出来ないでしょうか?

人気スポーツといえば・・・

いきなり「日本の人口の話かよ」と思った方、ご安心下さい。ここからは別の理由を挙げていきたいと思います。

まず理由の一つとして挙げられるのが、娯楽(現代のニュアンスで言えばエンタメ)としての「相撲」のポジションです。

ある程度年齢が上の年代にとって、「相撲」は幼い頃から慣れ親しんできた生活に近い代表的な娯楽になるのです。

今でこそサッカーやバスケットなど、多くのプロスポーツが日本でも盛り上がり、Jリーグなど国内だけに留まらず、海外に移籍した選手の活躍さえも見ることが出来ますが、現在の65歳以上の年代が若い頃に見るスポーツと言えば「野球か相撲」ぐらいだったわけです。

テレビでは毎日巨人戦が放送され、本場所中は大相撲放送が民法でも放送されていたほどです。

「巨人・大鵬・卵焼き」という当時の流行語と共に成長した世代にとって、知らず知らず「相撲観戦」が日課となり、いつの間にか趣味になった方は多いはずで、「相撲」は若い世代よりもずっと身近な存在なのです。※雑誌やメンコにも、お相撲さんが多く描かれていました。

本場所の時間

年6回行われる大相撲の本場所ですが、メインとなる時間(全国放送される時間)は16:00~18:00。

平日のこの時間帯に国技館で相撲観戦をすることが出来る年代といえば、現役世代よりも既にリタイアしている世代の方が圧倒的に多いわけで、NHKの相撲中継にはお年寄りが多く映ることになり、結果「相撲=年配者」のような印象になるわけです。

昨年夏場所頃大きな話題になった「サンクチュアリ―」を見たことによって、「相撲に少し興味が出てきたので見に行きたい」という若い世代も増えたかと思いますが、そういった気持ちになったとしても、先程の本場所開催のスケジュール(時間帯含め)を考えた場合、一般的に多い土日休みの社会人にとって現実的に観戦に行ける日程といえば、土日に該当する「初日・7日目・中日・14日目・千秋楽」の計5日間(祝日入れず)。場所全体の3割程度。

しかもこれらの日程は優勝戦線が過熱する終盤戦を含んでいることもあり、チケットの申込が集中し、購入することができず結果的に本場所に行くこともなく、せっかく湧き上がった「一過性の相撲熱」は冷めていくことになります。

この本場所が開催される時間帯の問題は、今回のテーマとは別になりますが、新たに若い世代からファンを獲得するにあたり、非常に大きな弊害となっている気がしてなりません。

チケットの金額と仕組みの複雑化

「相撲ファン=年配者が多い」

このイメージの一つとして、本場所中テレビに映る映像に年配の方が多い(若者が少ない)ことは先程上げさせて頂きましたが、

大相撲中継では土俵が中心に映される兼ね合いもあり(当たり前ですが)、その映像はいわゆる枡席や溜り席(砂被り)と呼ばれる一階席が多くなりますが、それらの席の多くは、若い世代が「ちょっと興味が出たから見に行こうか」と簡単に手を出すには躊躇する金額設定となっています。

また、その金額やチケット購入の可否は勿論ですが、その購入方法が今ひとつ分かりにくいことも、新しいファン層が入りづらく、これまでのファン層(年配者)が多くを占めている大きな理由の一つではないかと思います。

以前もご紹介したように大相撲のチケットが出回る仕組みに関しては、他のスポーツとは若干異なっています。

インターネットが普及したことをきっかけに、多くのイベントにおけるチケット購入の方法が簡単になり、より身近になりましたが、大相撲界におけるいわゆる「お茶屋制度」は未だにチケット代金の不透明感を生んでおり、相撲観戦の敷居の高さや高額な印象の要因となっています。

大相撲チケットの金額設定や、その出回る仕組みについて詳細はここでは触れませんので、下記記事をご覧ください。

 

 

これからの相撲界

ということで、今回は「相撲ファンにはなぜ年配者が多いのか?」という、世間のイメージについて検証?してみましたが如何だったでしょうか?

マイナスな話が多かったような印象かもしれませんが、反面大相撲が日本では昔から愛されてきたということは分かって頂けたのではないでしょうか?

日本の人口構造からすると、これからも「年配者が多い」印象は否めず、エンタメの多様化により、昔のように相撲人気一点集中になることも現実的ではないですが、少なくとも「新しいファン層」の獲得に関しては以前に比べればずっと進んでいるような気もします。

収益面におけるコロナの悪影響はありましたが、その一方でYoutubeちゃんねる開設におけるネット上での広報戦略や、女性ファンに向けての相撲グッズの充実ぶりも目立ちます(かつて相撲土産と言えば「皿・湯呑」が定番でした)。

そしてコロナ明けから目立つインバウンド需要。海外からの観光客と思われる外国人の方を国技館で見かけることが、以前にも増して非常に多くなりました。

新たなファンの獲得だけでなく競技人口等、相撲以外のスポーツにおいても課題となっているはずです。

大相撲も魅力の一つである「伝統や文化」は残しつつ、温故知新で盛り上がってもらいたいですね。

ちなみに若い頃から大相撲に触れるメリットを一つご紹介すると、「これから先いろんな世代と会話する話題が一つ持てます」

お父さんお母さん世代、そしておじいちゃんおばあちゃん世代と・・・

 

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