大の里が横綱になれるこれだけの理由

一歩ずつ次世代の主役へ

長く土俵に君臨してきた横綱白鵬が引退して以降、徐々に世代交代が行われてきた相撲界でしたが、春場所に史上2人目の新入幕優勝を尊富士が飾り、続く夏場所では大の里が初土俵から最速7場所という速さで幕内優勝を果たすなど、いよいよ本格的な世代交代が進んできました。

もちろん白鵬が引退した令和3年秋場所以降も、照ノ富士の横綱昇進をはじめ、豊昇龍や霧島など新しい力の台頭はありましたが、「長く時代を作り●●時代」と呼ばれるようになる、、、そんな雰囲気を纏った力士はなかなか出現しませんでした。

そんな中、長く大相撲を見ている好角家はもちろん、ライトユーザーの相撲ファンも、大の里には「その雰囲気」を何となく感じていることかと思います。

夏場所前には、新関脇にも関わらず二桁への期待どころか「連続優勝なら大関昇進か?」という話題が取り上げられ、9勝6敗と勝ち越したにも関わらず、物足りなささえ感じさせてしまう大の里の存在。

完全なる世代交代は大きな主役(王者)が誕生してこそ完成体になります。私はそのポジションに大の里がなってくるはずだと大きな期待をしています。

今回は「大の里」が横綱になるべき理由(わけ)を述べていきたいと思います。最後までお付き合いください。

期待どおりのその出世

大の里が横綱になる理由。

それはデビュー当時に掛けられた期待値と、それに違わぬここまでの出世の早さです。

日体大相撲部4年生時に、国体横綱とアマチュア横綱を獲得し、幕下10枚目格付出で初土俵を踏んだ大の里でしたが、大学入学時から既に頭角を現しており、「1年生での学生横綱」を獲得(元十両隆涛以来29年ぶりの快挙 )。国体横綱にも輝きます。

2年時結果が出ない時期もあったようですが、3年生では初のアマチュア横綱と2年ぶりの国体横綱を獲得、最終学年ではアマチュア横綱と国体横綱をそれぞれ連覇(学生横綱のトーナメントは惜しくも2位)。前出のように「幕下10枚目格付出」を獲得します。

アマチュア相撲の4大タイトルである「 アマチュア横綱、学生横綱、実業団横綱、国体横綱 」。その中で学生が獲得可能なタイトル全ての獲得経験がある大の里(アマチュア横綱は学生も実業団も出場できるので権威が高い)、そのデビューに注目が集まったのも無理ありません。

 

 

そして舞台を大相撲に移した大の里は、2場所で関取昇進を果たすと、そこから更に2場所計4場所で幕内に昇進。

そして初土俵から7場所目となる夏場所では、これまで第54代横綱輪島が保持していた「初土俵から15場所目での優勝」という記録を大きく破る幕内最高優勝を果たしました。

ちなみに新入幕から4場所連続三賞受賞という記録も現在継続中。これまでの期待値そのままに、勢いには陰りを感じません。

まだまだ伸びしろ十分

「大の里の得意の型は?」

そう聞かれてはっきりと「右四つ!」「左四つ!」「突き押し!」などと出てくる方は少ないのではないでしょうか?

私も気になったので調べてみました。

一応「押し、右四つ、寄り」と記載されています。

たしかにどれもイメージ出来なくはないですが、逆に言えば「大の里の型」とすぐに思い浮かぶ型もありません。

デビュー当初「この地位ではまだフィジカルで勝てるので、どこまでフィジカルで通じるか?」と思って見ていたのですが、現在もまだフィジカルの強さがアドバンテージになっている印象を受けます。

しかしこれは悪いことではなく、まだまだ伸びしろが沢山あるという見方が出来ます(忘れちゃいけない丁髷力士です)。

現在の「組んでも突いても相撲が取れる型」+「フィジカルの強さ」にテクニックと幕内での経験が加わった時、果たしてどんな力士になるのでしょうか?

横綱になる力士は、何でも出来る方が多く、白鵬、朝青龍、貴乃花といった平成時代を代表する横綱も「右左それぞれの四つ、突き押し」どの型でも強かった記憶があると思います。

宿命を持って

白鵬が現役時代に語っていた有名なセリフ。

「強い人は大関になる。宿命のある人が横綱になる。」

大の里にも何やら宿命めいたものを感じます。

アマチュア時代の実績から、「どこの部屋に入門するのか?」と大相撲ファン達の注目を集めていた 大の里でしたが、元横綱稀勢の里率いる二所ノ関部屋に入門。

現役時代抜群の人気を誇った稀勢の里でしたが、引退後も故郷茨城県に土俵2面を設置した観光施設かのような大型の部屋を開設するなど、次世代の相撲界を背負う存在として引退後も注目を集めていました。

そんな新生二所ノ関部屋の象徴として大相撲界でのスタートを切った大の里。

師匠と共に、入門時から常にスポットライトを浴びる場所を歩み続けています。

そして大の里新入幕となった令和6年初場所前、故郷石川県は大地震に見舞われ多くの方が被災されました。

「被災地(地元の方)を勇気づけるため土俵に上がる」と、新入幕で優勝争いにも絡んだ大の里。

このタイミングが新入幕というのは不謹慎かもしれませんが、土俵の神様の計らいとしか思えません。

以前もブログで書きましたが、力士の「華」というのは稽古で身に付く能力ではありません。そして「宿命」はそれ以上。

大の里はそれに答えるような雰囲気を身に纏う数少ない力士です。

史上最強の学生横綱なるか?

これまで数多くの学生相撲経験者が大相撲の門を叩き、沢山の名力士が誕生してきました。

その中には、学生横綱やアマチュア横綱を獲得した力士もいましたが、力士の最高位である「横綱」まで昇進したのは第54代輪島ただ一人です(輪島が石川県出身というのも何やら運命を感じます)。

大の里はその輪島を超えるような成績でここまで昇進してきています。

ここで大関に昇進するまでの輪島の成績を見てみましょう。

【輪島大士】

(幕下)
幕下付出60枚目全勝→幕下8枚目:全勝

(十両)
十両8枚目10勝5敗→十両4枚目7勝8敗→十両6枚目13勝2敗(十両優勝)→十両筆頭9勝6敗

(幕内)
前頭11枚目9勝6敗→前頭5枚目5勝10敗→前頭12枚目11勝4敗(敢闘賞)→前頭2枚目6勝9敗→前頭6枚目10勝5敗→前頭筆頭11勝4敗(敢闘賞)→小結10勝5敗→関脇9勝6敗→関脇12勝3敗(幕内優勝)→関脇8勝7敗→関脇13勝2敗

幕下:2場所/十両:4場所/幕内:11場所
優勝1回/敢闘賞2回/殊勲賞3回

輪島は、約3年17場所の期間以上の成績を持って大関に昇進しました。

学生相撲出身力士は入門時の年齢が22歳以上になっているので、これくらいのスピード感でないと大関・横綱には手が届かないのかもしれません。

これに対して大の里のここまでの成績。

【大の里泰輝】

(幕下)
幕下付出10枚目6勝1敗→幕下3枚目4勝3敗

(十両)
十両14枚目12勝3敗→十両5枚目12勝3敗

(幕内)
前頭15枚目11勝4敗(敢闘賞)→前頭5枚目11勝4敗(敢闘賞・技能賞)
→小結12勝3敗(幕内優勝・殊勲賞・技能賞)→関脇9勝6敗(殊勲賞)

幕下:2場所/十両:2場所/幕内:4場所
優勝1回/敢闘賞2回/殊勲賞2回/技能賞2回

8場所という輪島の半分以下の場所数で、すでに同じくらいの成果を挙げています。これを見れば、大の里の未来に期待を持たない方はいないのではないでしょうか?

大関昇進の目安として 「直前3場所の勝利数の合計が33勝」とされている中、大の里は現在21勝(夏12勝・名古屋9勝)になるので、このルールで言えばあと12勝です。全く不可能な数字ではありません。

加えてこれまで「期待値込」で32勝以下での昇進も多くありました。

大関大の里誕生は間もなく実現するはずです。

そして「大関」という地位が相撲ファンに馴染むより先に、彼が更なる高みに昇っていくことを期待してやみません。

 

  

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