幕下付け出しとは?-資格対象になるアマチュア相撲の大会-

幕下付け出しとその対象になる大会

アマチュア横綱、学生横綱、幕下付け出しなど

相撲中継を見ていると時々耳にする言葉ですが、何となく分かっているようで、実際のところよく理解していないのが、幕下付け出しというルールや、それを獲得するための学生横綱や、アマチュア横綱といったタイトルではないでしょうか?

今回は、そんな幕下付け出し資格を得る条件や、その対象となる大会について話をしていきたいと思います。

幕下付け出しってなに?

そもそも「幕下付け出し」というのが何なのか?という話から始めます。

幕下付け出しをwikipediaで調べてみると、「 大相撲において学生・アマチュア時代に優秀な成績を収めた力士の地位を優遇する制度である。」とあります。もっと簡単に言うと・・・ 

「恐らく君は幕下クラスの実力があるはずだから、幕下からスタートしてもいいよ」 

という制度です。

しかも一言で幕下といっても、復帰を目指す元関取や関取目前の実力者がひしめく幕下15枚目からのスタートになりますので、新興部屋や力士数の少ない部屋だったりすると、「入門した時点ででいきなり部屋頭になる」というケースもあり得ます。

ただしそこはやはり幕下上位、相当の実力者がひしめく地位になるので、それなりの実力者でなければ当然通用するはずがありません。そこでアマチュア相撲界でも大きなタイトルとなる、下記の4タイトルのどれかを取得した者(各大会の優勝者)のみがその対象になっています。

マチュア横綱 

文字通りアマチュア界の横綱です。

対象となる大会は「全日本相撲選手権大会」 です。

アマチュア相撲の成績優秀選手(社会人・大学生・高校生が対象)が集う大会です。予選から行い、ベスト16になった段階でトーナメント方式で行われます。

大学相撲・実業団・高校相撲などの括りがないため、学生横綱VS実業団横綱という対戦の可能性もあるこの大会での優勝者は、正にアマチュア界の横綱となります。幕下付け出しの対象になる4大会のタイトルの中でも、特に特別なタイトルになります。

このアマチュア横綱を取得した者に限り、合わせて他の3タイトルのうち1つでも取得すると、幕下15枚目よりも更に上位、幕下10枚目の地位からスタートすることができます。当然、全勝一発十両昇進もあり得る地位です。

相撲に詳しい方であれば、本土俵デビューが幕下10枚目というのが、どれだけのことか分かって頂けると思います。ちなみに現役でこの幕下10枚目デビューを果たしているのが、遠藤と御嶽海になります。

学生横綱 

こちらは学生相撲界の横綱です。

対象となる大会は「 全国学生相撲選手権大会 です。

他のタイトルに比べ、アマチュア相撲の中では最も有名なタイトルではないでしょうか?文字通り学生最強の相撲選手決定戦です。こちらも全日本相撲選手権同様優秀選手でトーナメントを行い優勝者を決定します。

現役力士でこのタイトルの獲得経験がある力士には、前述の御嶽海や、正代、千代大龍、北勝富士、水戸龍などがいます。 

アマチュア選手が参加せず学生のみの大会になるので、優勝者がタイトル獲得後プロ入りする確率が最も多い印象の大会です。 

この全国学生相撲選手権大会には個人戦とは別で団体戦もあり、学校のプライドをかけて戦うため、団体戦を重視している傾向があります。ただしプロ入りを視野に入れている選手にとっては、非常に重要な大会(タイトル)になります。

実業団横綱 

この流れではもうお分かりかと思いますが、こちらは社会人の横綱になります。

対象となる大会は「全日本実業団相撲選手権大会」です。

学生相撲で活躍したもののプロには進まず、県庁や大学、企業などに勤めながら相撲を続けている選手たちが参加する大会です。そのためこの大会に優勝して幕下付け出し資格を獲得したとしても、アマチュア横綱がプロ入りするケースはあまりありません。

実業団相撲の取組表を見ると、かつて進路が注目されつつも、プロに進まなかった学生相撲の強豪の名前を見かけます。現役力士の中でアマチュア横綱獲得者には、逸ノ城や大奄美がいます。 

国体横綱 

対象となる大会は「 国民体育大会相撲競技」 です。

こちらの大会に関してはあまり情報がないのですが、いわゆる日本で毎年行われているスポーツの祭典「国民体育大会」における相撲競技での優勝者が幕下付け出しの資格を得ます(成年の部)。成年の部に関しては18歳以上が対象になるので、高校生を除いた大学生と社会人が対象です。

現役力士でこの大会優勝者は、前述の遠藤、北勝富士、千代大龍に加え妙義龍がこのタイトルで幕下付け出しを取得しています。

三段目付け出し制度

以上4タイトルの取得後、1年以内に入門すればめでたく幕下15枚目(もしくは10枚目)から相撲人生がスタートするわけですが、最近ではこのルールに加えて「三段目付け出し制度」というものが新たに設けられました。 

こちらの制度は、ここまで紹介した4つの大会でベスト8に残った力士に対して、三段目最下位の地位からスタートするという制度です。

この制度が設けられたことにより対象者が一気に増えました。こちらの制度を利用して小柳や石橋が対象で入門しています。

紆余曲折な幕下付け出し制度

以前はもう少し緩めの条件で、幕下最下位からのスタートというルールでした。そしてそのまた前は別の制度がありとここまで幕下付け出し制度は紆余曲折してきたわけです。 

協会には何となく「中卒の叩き上げが本流」のような雰囲気があり、簡単に出世してしまう学生出身力士ばかりになる事に危機感を持ち、その都度制度を見直してきたような印象も受けます。しかしスタートがどこであれ、強い人は結果的に上がっています。

個人的に見直して頂きたいと思うのでが資格の有効期限が「1年」という部分です。結果的には大学生が一番プロ入りする可能性が高いのですが、4年生の段階で学生横綱をはじめとしたタイトルを獲得しないと、卒業のタイミングで付け出し資格を使うことが出来なくなってしまいます。

3年生以下で学生横綱を取得したとしても、大学を中退しないかぎりはあくまで序ノ口からのスタートになってしまいます。仮に入学から3年連続で学生横綱を取得した選手であっても、4年時に該当大会に出場しなければ、中卒未経験者と対戦することになるのです。そうなると、双方にとってデメリットしかないような気がします。 

アマチュア時代の大会結果をポイント制にして、ある一定の数字毎に付け出し資格を与えるような形式に出来ないのでしょうか?現在の規定のままでは、一発勝負になってしまうので、おのずと結果を求める相撲になる可能性もあり、「三年先の稽古」とは逆になっているような気がします。 

幕下付け出し制度には多いに賛成ですが、もう少し内容を見直して頂きたいなと思ったりもします。

 

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