好きな力士は誰?【浪乃花教天】

難問それは「好きな力士は誰?」

昔から「相撲が好き」と言うとほぼ確実に聞かれる質問です。

「好きな力士は誰ですか?」

この質問は、恐らく相撲関連で頂く質問の中で最も難しい質問になると思います。 なぜなら「いない」からです。

「相撲が好きな力士は誰?」と聞かれたら、「遠藤と貴ノ岩」と答えています。これは正攻法で綺麗な相撲を取るからというのが一番の理由です。

貴ノ岩は、貴乃花がとっていた四つ相撲を継承して、寄り切る際の腰が降りる美しさや出し投げを打った際の鮮やかさ、遠藤は差し身の上手さや 廻しを切る技術など相撲が美しいです(力士としても華があります)。

しかし大概の場合は、貴ノ岩は貴乃花部屋の力士だからと思われ(それもありますが)、遠藤にいたっては普通過ぎて話が全くが広がらなくなったりします。

そもそも私は力士は全員リスペクトしているので、好き嫌いという物がそれほど存在していません。

なぜならば、彼らは入門した時点から24時間365日力士であり続け、数%の力士だけが辿り着ける番付最上位を目指して日々精進しているからです。他のプロスポーツ選手のように職業ではなく、力士として人生を歩み必死に頑張っている取的の力士達や、そこを這い上がって来た関取衆は皆凄いと思っています。

「貴乃花ファンでしょ?」

ずっと貴乃花を応援しているので、よく「貴乃花ファンでしょ?」と言われることも多いのですが、正しく言うと違います。

相撲を長く見れば見るほど、貴乃花という存在が横綱という無形の存在に限りなく近づいた力士だと感じ、この力士の現役を1秒でも長く見たいと思っていました。そもそも相撲道に真摯すぎる現役時代は、ファンなどと軽々しく言うのはおこがましいと思っていたので、そっと見守っていたような心境でした。

上手く表現できないですが、キリスト教徒はキリストファンではないでしょうし、仏教徒はお釈迦様のファンではないでしょう。今も貴乃花部屋も応援していますが、そっと見守っています。

横綱物語推し力士

色々と前置きになりましたが、そんな私がこれまでの相撲ファン歴の中で、純粋に勝敗に一喜一憂した最近で言うところの「推し力士」がかつて存在しました。

それは、土俵の鬼が育てた最後の幕内力士元小結浪乃花になります。

青森県出身の浪乃花は1984年に初土俵を踏み、1990年に新十両昇進を果たし、1992年に新入幕。幕内在位18場所、最高位小結、三賞は敢闘賞を1回受賞。 若貴時代に幕内力士として活躍して、同じ部屋の貴乃花の露払いをしていましたので、四股名を聞いてピンと来ていなくても、貴乃花土俵入りの映像を見たら知っているという方もいらっしゃるかもしれません。

まだ国技館にも入ることが出来ておらず、日々相撲学を学んでいた中学生時代の頃、十両の土俵で千代の富士に似た小柄な力士を見かけました。

その時の相手力士が誰だったのか?いつの場所だったのか?勝敗含めて全く覚えていませんが、闘志むき出しで戦う姿だけが記憶に残っており、これが浪乃花を始めて知った瞬間です。

浪乃花に一喜一憂

その後気にかけて応援するようになったのですが、十両と幕内を行き来して中々定着しない姿にヤキモキしました。

十両優勝を2度果たし、ようやく幕内定着しつつあった頃に獲得した敢闘賞に喜んだのをよく覚えています。千秋楽勝ったら敢闘賞の一番は(確か剣晃戦)、テレビの前で声援を送りましたが、内容などは覚えておらずただ勝ったことがうれしかった思い出があります。

そして翌年小結に昇進した春場所の番付は、今も大切にとってあります。出待ちしていた時、すぐにサインをお願いできるようにサインペンを開けたまま待機していたので、せっかく頂いたサインが薄かったというのは笑い話です。

ようやく幕内定着、よしこれからという時の肘の怪我、27歳での早すぎた引退。

片腕で取り組んだ最後の大碇戦は今もよく覚えてます。結局千代の富士には及ばず、最高位は小結で終わってしまいましたが、一回目の仕切りで立ち、真正面から立ち向かう相撲は素晴らしかったです。

断髪式は翌年秋に国技館で行われましたが、もちろん足を運びました。

最後の大銀杏での雄姿に悲しい気持ちになった一方で、断髪に向かう直前の花道で最後のチャンスと思い切ってお願いした記念撮影に浪乃花関は快く応じてくれました。

恐らく大銀杏姿で、力士浪乃花としてファンと撮った最後の写真だと勝手に信じています。今も「ファンだった」と言い続けている浪乃花関。もし知らない方はぜひ調べてみて下さい。

合計してもわずか3年あまりしか幕内には在位していませんでしたが、その強烈な印象は私の中に今も残っています。

ちなみに引退後に開店したお店「天海地」ですが、現在は閉店して赤坂の飲食店でご勤務されていらっしゃるようです。

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