勝武士と高田川部屋

まさかの訃報でした。高田部屋の勝武士が 新型コロナウイルス性肺炎による
多臓器不全で亡くなりました。まだ28歳。
誰であれば良かったというわけではないですが、まさか相撲界から国内で初の20代以下の死者が出るとは・・・。言葉を失ったとはこのことです。

先月上旬、高田川親方や白鷹山はじめ6人がコロナウィルスに感染。
その後4月末には高田川親方と白鷹山が退院したというニュースはありましたが、正式な談話や発表がなくどうしたか?と思っていました。
マスコミや週刊誌では、夏場所開催が出来なくなったので気まずいのではないかか?大きく騒ぐと今後の本場所開催の妨害になってしまうのではないか?など様々な憶測がありましたが、実際のところ部屋はそれどころではなかったのでしょう。コロナの脅威とは言われているものの、3月場所まで元気に出場していた若く元気な肉体の力士。力士は持病持ちが多いとは言え、まさかというのが世間の思うところでしょう。

山梨県出身の勝武士は部屋の関取竜電の中学時代の後輩。
(地元の新聞では今日号外が出たようです。)
先輩竜電の付き人を務め巡業では初っ切りを担当していたので、一部相撲ファンの中では比較的有名な力士です。170cmに満たない小さな身体で動きまわる姿が印象的で、始めて四股名を見た時に安芸乃島が好きそうな四股名だなと勝手に思った記憶があります。もう少し早い段階で処置していればと思うと本当に残念です。
勝武士を押し力士にしているファンの気持ちを考えると何とも言えないです。

今回の件を受けて心配なことがいくつかあります。

相撲界へのバッシングや偏見

自粛も緩くなり、コロナにも飽きてきたマスコミ。
明日以降、国技館や部屋の前に陣取って報道しないか心配です。
勝武士ファンや高田川部屋ファン、相撲ファンは報道を見ない人も多いでしょうが(見る気力もない人もいるでしょう)、相撲に興味がなかったとしても、昼間ヒマで新しいネタに飢えている人は大勢いるはずです。
共同生活が悪い、力士の生活習慣が悪い、隠蔽していたのではないか?
そもそも稽古が密着している、今年いっぱい本場所の開催はどうなのか?
当初陽性が出た力士名も公表しなかった。これだけではなく、もしかすると今回の件とは関係ない所まで飛躍したコメントが出てくるかもしれません。

そもそもこういった時に苦言をギャーギャー言う人に限って意外と
「一回相撲行って座布団投げたいんだよね」とか言う人が多かったりします。
明日以降、清澄白河が平穏であることを祈ります。

安芸乃島高田川部屋を閉じないか?

恐らく遺族と同じくらい言葉も出ない状態になっているのは安芸乃島でしょう。
かつて八百長問題が発覚した時、腹を切れという発言をしたり、現役時代は風紀委員と言われるようなゴリゴリのガチンコ力士で有名でした。
初代若乃花鬼の教えが伝わる藤島部屋において、待ったなしの100番稽古で藤島部屋の礎を築き今なお廻しを締めて土俵に降りる相撲の鬼安芸乃島。
考え過ぎかもしれませんが、自責の念から部屋を閉める、退職など言い出さないか心配です。
貴乃花ファンの中には貴乃花失脚時の急先鋒として嫌う方も多くいますが、
元々は同じ土俵で切磋琢磨してきた同門力士です。
妥協しない性格同士だからなのか、最後は大きく袂を分かつ形になりましたが、
藤島の血を今回のことで絶やしてはいけません。もし部屋の閉鎖や退職などを考えていたら思いとどまるべきです。

竜電も心配

誰が一番というわけではなく、部屋の力士みんなが落ち込んでいると思いますが、やはり同郷である竜電の心中を察すると・・・。
自身の無力さに歯がゆい想いをしているかもしれません。
今は幸い本場所も巡業もないですが、しばらくの間稽古に力が入らないのではないか心配です。徐々に立ち直ってくれる。勝武士のためにも頑張らないと。
そんな声もあるかもしれませんが、将来を嘱望されていた現出羽海親方である小城乃花は、ライバルの死によって成長が止まってしまったと言われています。
今回は付き人・後輩ではありますが、竜電への影響は心配です。
十両から序ノ口に陥落し這い上がってきた竜電。神様は再び試練を与えます。

今回の件に関しては、誰も悪くはないです。
八角理事長を批判するのも間違いです。
今はただ高田川部屋、相撲界をそっとしておいてほしいと思います。
無意味に騒ぎ立てたり、注目しなくていいです。
唯一勝武士を応援していた方だけが、これからも話題に出し続け、ずっと忘れずにいることが何よりの供養になるでしょう。

謹んでお悔やみ申し上げます。

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