2020年大相撲を振り返る

新年明けましておめでとうございます!
本来であればここで今年の展望的な話を書きたいのですが、
年末慌ただしくて書けなかった2020年の総括を書かせて頂きます。

相撲界も新型コロナウィルスの影響を大きく受けた2020年。
春場所は無観客開催、夏場所は開催中止、巡業も中止となり、
本場所は現在も100%動員はしない開催となっています。

そんな全体を通して暗い印象だった2020年ですが、土俵に目を向けると非常に
ドラマチックで白熱した一年だったように思います。

振り返ってみると大歓声がはるか昔のように感じる初場所。
徳勝龍の幕尻優勝という波乱の幕開けからスタートしました。
力強い左四つの相撲、母校伊東監督が後押ししてくれたかのような神がかった逆転勝利の数々、名文句「自分なんかが優勝して、いいんでしょうか?」。
力士にとっての幕内最高優勝がどれだけ特別なことなのかを、改めて教えてくれた優勝でした。そして大和魂を貫いた豪栄道が大関のまま引退しました。

戦中以来の無観客で開催した春場所。
開催に対して批判的な意見もあり一人でも感染者が出た場合は中止という、
これまでとは異なる重圧の中での開催となりました。
静寂も相成り序盤は緊張感がありましたが、歓声が生み出すパワーを再確認すると共に、静寂の中で行われる大相撲に、八角理事長が初日の挨拶で口にした「神事」の側面を感じることが出来る15日間になりました。両横綱の相星決戦が行われ相撲協会が一丸となり乗り切った千秋楽、批判的な声は消えていました。

体調管理が難しく平幕優勝が多く生まれると言われている7月場所ですが、
2020年は春巡業もなく2場所ぶりに、名古屋ではなく国技館で迎えました。
新大関朝乃山に注目が集まる中、史上最高の復活優勝を遂げたのは、序二段まで落ちた元横綱候補筆頭照ノ富士でした。
恵まれた体格と素質でスピード出世したビックマウス照ノ富士でしたが、
どん底を見たことで「一日一番という愚直な姿勢」を手に入れ、初優勝時の優勝額がある間にもう一度という自身との約束を果たしました。
怪我を抱える力士やスポーツ選手だけでなく「諦めない心と姿勢」を日本中に届けたと思います。そしてリモートで離れている人々に、チーム伊勢ケ浜が繋がりの大切さを伝えました。

これまであと一歩で優勝を逃していた正代がついに賜杯を抱いた秋場所。
場所後には大関昇進も決定しました。
両横綱が初日から休場で始まった秋場所でしたが優勝争いは混戦になり、
新大関誕生も含めて新しい時代の到来を大きく予感させる場所になりました。
霧馬山や翔猿、琴勝峰、若隆景など秋場所で爪痕を残した力士も多かったです。
3大関による横綱争いが始まりました。

朝乃山と正代という二人の大関が誕生した2020年でしたが、
一年納めの場所で意地を見せたのは先輩大関の貴景勝。
普段感情を口にしない貴景勝が、珍しく表情を崩し心中を語った優勝決定の瞬間や優勝インタビューに、大関の重圧やこの2年間の苦悩を感じました。
朝乃山や正代が大関を目指している間、その大関という地位と愚直に向き合っていたことが報われた優勝でした。
悩める若き大関と、どん底から大関復帰を目指す元先輩大関の優勝決定戦には、
どちらも敗者にしたくないと思った相撲ファンは多かったことでしょう。

通常よりも一場所少ない5場所の開催でしたが、振り返ってみると様々な背景やドラマチックな出来事があった2020年の大相撲でした。
これまで何気なかった本場所や巡業、花相撲。
再開後、これまで以上に楽しめるための2020年だったと信じています。

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