三賞力士はどう決まる?-三賞制度を説明します-

三賞とは何なのか?

今回は千秋楽度々話題になる「三賞」についてご説明させて頂きたいと思います。

そもそも三賞とは何か?Wikipediaを調べると「 三賞は大相撲の本場所において、横綱・大関以外の成績優秀な幕内力士に送られる三種類の賞の総称である」とあります。要するに「関脇以下の力士が活躍するともらえる賞」なわけです。千秋楽の相撲放送の取組間に、「今場所の敢闘賞は○○、技能賞は○○、殊勲賞は該当者なし。○○にはあげてほしかったですね、、、」といったようなやり取りを耳にした方も多いのではないでしょうか?

三賞には3つの種類がありそれぞれ受賞条件が存在しますので、各賞にどんな意味合いがあるのか?詳しく見ていきたいと思います。

敢闘賞受賞力士の条件

「敢闘精神溢れる相撲を展開した力士に与えられる」 とある敢闘賞。
簡単に言うと場所を盛り上げるような活躍をした力士や、勝ち星が上がり今場所は結構勝ったよねという力士が受賞しています。

関脇以下で優勝した力士、優勝力士に次ぐ勝ち星をあげた力士などに与えられることが多いです。また新入幕力士が二桁勝つと受賞するケースも比較的多いような気がします。

敢闘賞歴代受賞回数

これまでの相撲史の中で、敢闘賞を多く獲得した力士は以下の通りです。

第一位:貴闘力10回
第二位:安芸乃島8回
第三位:福の花、魁傑、旭天鵬7回

幕内で二桁勝つ実力を持っている、敢闘精神を感じる相撲内容、長く幕内で活躍できる。このような条件がある力士が並んでいる印象ですね。貴闘力に限っては四股名に「闘」の文字が入っていますし(笑)

殊勲賞受賞力士の条件

次にご紹介するのは殊勲賞です。こちらの受賞条件は「優勝した力士や横綱から白星を挙げた力士に与えられる 」となっています。文面からも分かるように、殊勲賞は他の2つの三賞に比べて、受賞対象が明確な内容になっています。

14勝1敗で優勝した横綱や大関に勝ったような力士、横綱大関を多く倒した力士が獲得できる可能性が極めて高いです。一方で、序盤から調子が悪く星が上らない横綱や大関からの勝星はそれほど評価にはならないようです。

殊勲賞歴代受賞回数

第一位:魁皇、朝潮10回
第二位:安芸乃島、土佐ノ海、琴錦7回
第三位:高見山、御嶽海6回

横綱大関に勝てる実力がありながら、大関候補の時期が長かった力士が多い印象です。高見山は輪島戦での戦績がそのまま反映されていますね。

技能賞受賞力士の条件

「 優れた技能を発揮した力士に与えられる」と言うのが技能賞の受賞条件になります。世間的には多彩な技を繰り出す力士が受賞する賞のように思われがちですが、歴代の受賞者を見るとおっつけや差し身が上手い力士が多く受賞しているので、世間の印象と選考委員会の基準が違う印象を受けます。 個人的にも三賞の中で最も基準が難しいのがこの技能賞だと感じています。

殊勲賞歴代受賞回数

第一位:鶴ヶ嶺10回
第二位:栃錦9回
第三位:琴錦8回
第四位:鶴竜、琴光喜、栃東7回

関脇時代の栃錦は多彩な技が多かったですが、その他の力士を見ると「多彩」というよりも、前捌きやスピード、差し身の上手さなど一つの卓越した技術を持っています。

三賞それぞれを考える

ここまで三賞それぞれの賞を見てきましたが、三賞について私なりの見解を一言で表現するとこのような感じになります。

明確な殊勲・雰囲気の敢闘・こだわりの技能

殊勲賞は比較的明確な基準があるため、人によって多少意見が分かれたとしても大きな乖離はありませんが、敢闘賞は印象や雰囲気的な要素が大きいと思います。

12勝して準優勝に匹敵する成績を収めたり新入幕で二桁勝利するなど、勝星を見れば納得する選出もあれば、8勝7敗のギリギリ勝ち越しであっても「連日激しい相撲で土俵を沸かせた」と判断されれば敢闘賞の候補になります。また「二桁は勝っていない、優勝した横綱や大関から勝っているわけでもない、技能相撲でもない、でも何か三賞をあげたい」というような、殊勲賞技能賞に該当しない今場所の名脇役的な力士に敢闘賞をあげているような印象を受けます。

そして技能賞ですが、前述したように、こちらは賞の名称からも小兵力士の派手な決まり手が該当しそうなイメージですが、決まり手よりも取り口の中でいかに技能的に相撲を取っているかというような観点が強く入ってきているのではないでしょうか?歴代多く受賞している力士を見ても、琴錦、栃東、琴光喜などおっつけやスピート相撲、前捌きなど決まり手というよりも、相撲そのものの上手さを評価しているようにも思えます。

三賞予想も場所の楽しみに

このように三賞それぞれに意味が存在します。ぜひ、連日の土俵を見ながら今場所の三賞受賞力士を予想してみては如何でしょうか?優勝予想以上に難しいかもしれません。

千代の富士が三賞を初受賞した際、「これくらいで貰えるならもっと頑張れば更に上に行ける」と思ったそうです。 三役以下の力士にとって三賞の受賞はモチベーションアップになるので、ぜひ「該当者なし」は避けてほしいですね。

 

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