コロナによる休場の番付への影響は?
コロナ関連の休場が13部屋、関取だけでも23人(幕内力士は15人)の力士が休場した名古屋場所。
ここ数年「コロナ休場」は毎場所のようにあったのですが、全て場所前の検査で判明したものであり、本場所中の陽性判定による途中休場は今回が初めてでした。
ここで注目されているのが、来場所の番付編成です。
これまでの処置としては、場所前の検査等で感染が確認され全休した該当力士の翌場所の番付は据え置きか、もしくは1程度の降下措置でした。
しかし、今場所のように途中で感染が発覚した場合は、勝ち越し(翔猿や錦木)や負け越し(遠藤や玉鷲など)が決まってから休場した力士はもちろん、勝ち越しも負け越しもせずに休場になった力士(御嶽海、琴ノ若、大栄翔など)も多くおり、秋場所の番付編成会議で、それぞれの処遇に注目が集まります。
秋場所番付は据え置きか?
好角家達の間では様々な見解があるようですが、27日の番付編成会議において、伊勢ケ浜審判部長は「名古屋場所を新型コロナウイルス関連で途中休場した力士について、原則として休場を9月の秋場所番付の昇降に反映させない方針」を示したそうです。
「ベースは今までと同じ形でやっているが、番付発表前には答えられない」とコメントをしたそうですので、正式には番付発表まで分かりませんが、これまでの場所同様に翌場所の番付は原則据え置かれるのではないでしょうか?
琴ノ若や錦木、翔猿など好調で前半戦を終えた力士達にとっては、二桁や三賞への期待も掛かっていたので「もったいなかった」という意見も多く、逆に琴勝峰や琴恵光、特に角番大関の御嶽海など、序盤星の上がっていなかった力士にとっては、「仕切り直し」になるわけで幸運だったという見解もあります。(とは言え、正代の例もありますので、もしかすると後半戦に入ると一気にギアが上ったという可能性も十分ありますが、、、)
一方で、コロナ関連で休場の措置が取られる時点で、勝ち越しや負け越しが既に決まっていた力士については、番付を昇降させることは認めているようですので、負け越しが決まっていた力士にとっては、それ以上の負けはカウントされずに済むようですが、反面勝ち越しが決まっていた力士は上積みが出来ずに不公平な印象もします、、、
番付けの昇降ってどう決まるの?
ここで少し話を根本的な所に戻したいと思います。
そもそもこの番付の昇降というのはどう決まって、どんなルールがあるのでしょうか??
「勝ち越せば上がって、負け越せば落ちる」その通りなのですが、その幅はどれくらいなのでしょうか?
まず、幕内・十両のいわゆる関取。この地位は一場所で15日間相撲をとるわけですが、関取の番付昇降の基準は「勝ち越しや負け越しの差分」になります。
例えば前頭5枚目で6勝9敗ならば「負け越しが3点」になるので、翌場所は前頭8枚目。逆に9勝6敗ならば前頭2枚目。このような算出方法になります。
ただしこれはあくまで目安であって、「番付は生き物」という言葉があるように、周りの力士の星が大きく関わってきます。
そのため9勝6敗なのに5枚上がったり、西から東へ半枚しか上がらないという幸運や悲劇が時として繰り返されるのです。
個人的な感覚なのかもしれませんが、以前は番付においては「上がり優先」という言葉を耳にしていましたが、最近は三役の据え置きなど目にすることもあり、「上がり優先」を感じることがあまりありません。(十両は入れ替え戦が頻繁ですが)
また幕下以下は一場所7番しか相撲を取らないので、当然1点の勝ち越し辺りの昇降幅は大きくなります。
ルールは知りませんが、幕下20枚目で6番勝ったら翌場所は一桁には上がるかな?という感じだと思います(感覚値にすぎませんが)。
幕下は東西それぞれ60枚ありますが、もっと枚数の多い三段目や序二段になるともっと昇降幅は大きくなるはずです。
早急に新たなガイドラインを
秋場所の処置には賛否両論あると思いますが、名古屋場所の処置はどこかに合わせれば絶対に不公平感が生まれるので、今回の処置は妥当かと私は思います。
それよりも早急な「新ガイドライン」の作成が急務でしょう。
相撲部屋のスタイルは団体生活が基本になっているので、感染者が1人でも判明すれば所属力士全員が休場という現行のルールでは、芝田山親方の言うように5番しか取組がなくなるという言葉が、冗談ではなくなります。
せめて無症状の力士は再検査をして、陰性なら土俵に上げるなど対応していかないと、今後行われる巡業はもちろんですが、更に空気の乾燥してくる九州場所など不安しかありません。
武蔵川親方も部屋での感染予防の様子をコメントしていましたが、徹底した感染防止をしていることは理解しています。しかし感染力が急速に落ちる可能性よりも、これから先季節がら感染力が上る可能性の方が高くなっていくはずです。
ガイドラインの見直しをしないと、番付編成だけでなく「千秋楽コロ関連による休場で優勝決定」などという興ざめの結末になる可能性もあります。
観客の動員はこのまま走ると決めているからこそ、コロナにあった場所運営を作って貫いてほしいと思います。