技能審査場所。
あまり思い出したくない相撲ファンもいるかもしれません。
今から約9年前の夏場所の呼名です。
今回のブログはそんな、2011年の技能審査場所を振り返ります。
というのも恥ずかしながら私、今回「無観客場所」と聞き、
当初は2回目か。。。と勘違いしておりました。
そして実際に無観客での開催が決まった際思い出したのです。
あの時は無料開放していたと・・・。
月日は早い・・・そして私の記憶が薄れるのも早い・・・。
ということで、実家の相撲資料をパラパラ見返し、
9年前に開催された異例の技能審査場所について色々と考え、思い出してみたのです。
まずはこの場所で優勝を飾ったのは、13勝2敗で朝青龍に並ぶ、
史上1位タイの7連覇をした横綱白鵬。
三賞が、12勝を挙げて6回目の技能賞を獲得した小結鶴竜に、
25歳期待の若手豪栄道、千秋楽まで優勝争いをした栃ノ心、
新入幕で初日から9連勝した魁聖。
この場所、十両筆頭で勝ち越した高安が、平成生まれ第一号の幕内を決めています。
そして、平成生まれ初の賜杯を抱く照ノ富士がこの場所初土俵。
普天王(稲川親方)が引退し、千代大龍が幕下付け出しでデビューしています。
そもそもこの場所が、なぜ異例だったのか?
知らない方のために簡単に説明すると、
2011年の初場所後、マスコミを騒がせた「大相撲八百長問題」が発覚。
前代未聞の不祥事に、3月春場所は中止になりました。
5月夏場所も開催か?時期尚早か?と世論が割れたものの、
力士のモチベーションや番付、体調など様々な面で開催することが決定しました。
(実際にこの場所は多くの力士の体重が減少していたそうです。)
しかし、興行ではなくあくまで日頃の鍛錬の成果を見せる為の場所。
そのため呼称も「技能審査場所」となったわけです。
この時、相撲協会は国技館を無料開放しました。
私が勘違いしたのはこの部分です、この時チケット販売はしていませんでしたが、
お客さんの入場はあったのです。今回のように無観客ではなかったのです!
この技能審査場所、今にして思うとかなりの悪条件での開催でした。
そして当時の相撲界の立ち位置自体が、針のむしろを形にしたかのような状態でした。
破天荒横綱朝青龍の登場により、横綱の品格をマスコミに問われていたのは可愛いもの。
新弟子の暴行死事件、露鵬・白露山大麻事件、朝青龍の不祥事での引退と続き、
前年(2010年)の野球賭博事件、賜杯なき名古屋場所から1年たたないうちでの
八百長事件。そして、追い打ちをかけるような東日本大震災。
ムードは最悪でした。
技能審査場所の中身も、テレビ中継はもちろん、優勝賜杯、優勝パレード、
力士幟、懸賞金もない(取組表の広告も)、そんな場所でした。
(千秋楽パーティーも部屋でこじんまりという状態)
こうして振り返ると、本当に相撲界大ピンチだったことを思い出します。
春場所は残念なことに無観客での開催になってしまいましたが、
この時を考えれば、応援してくれているファンが全国にいます。
懸賞金を出してくれるスポンサーもいます。
開催自体に賛否はあるかもしれませんが、相撲界の不祥事などではありません。
今日から15日間、力士達の熱戦と、無事に千秋楽を迎えることを皆が祈っています。
テレビ中継がなかった技能審査場所。
始めての試みとしてネット配信を行い、新しいファン層の開拓をしたものの、
名古屋場所からは通常のテレビ中継に戻してしまいました。
あのまま続けていれば、もっと早くネット展開出来ており、
技能審査場所の功績になっていたはずです。
数年後、やって良かったといえる、これから先に繋がるそんな場所にしてほしいです。
頑張ろう大相撲。