「一代年寄が今後はもうなくなる」
「白鵬の一代年寄襲名はなくなった」
先日一部ネットニュースにおいて一代年寄についてこのような報道がありました。なんだか小難しい記事が多かったので、今回はこの件について簡単にまとめつつ、個人的な意見も書かせてもらいたいと思います。
一代年寄とは
まずそもそもこの一代年寄についてなのですが、改めて調べてみると『現役時代の功績が著しかった横綱が引退した際、協会理事会がその横綱一代に限って認める年寄名跡である。退職まで有効』とあります。
簡単にいうと「功績のあった横綱は定年まで四股名のまま親方でいていいですよ」という権利です。そのままの名前で残れるため新たな年寄株を取得する必要はないのですが、その名前を自分の弟子に継承することはできません。
これまで襲名したのは3名(大鵬、北の湖、貴乃花)ですが、現在は全員協会に在籍していないため、今は相撲協会に一代年寄は存在しておりません。(ちなみに千代の富士は辞退しています)
一代年寄への見解
そんな一代年寄ですが、今回日本相撲協会の第三者機関「大相撲の継承発展を考える有識者会議」において、 以下のような意見や見解が出たそうです。
現在の相撲協会の定款に「一代年寄」の根拠となる規定がない。 その他にも「公益財団法人としての制度的な裏付けとは整合しない」、 「大相撲の師資相承の伝統から外れた異形の資格」などとされたため今後は襲名することが難しくなり、白鵬が一代年寄を襲名することは無くなっただろう。
まとめてみたのですが、それでも中々にわかりにくい表現ですのでさらに簡単にまとめてみると・・・
一代年寄がそもそも定款に書いていないということ。
一代年寄は継承されないので師資相承の伝統から外れているということ。
そしてもう一点は私もよくわからないのですが、公益財団法人として明文化されていないものは制度的にどうなのか?ということなんでしょうか??
これらを指摘した山内委員長は 「(一代年寄を)廃止と理解されては困る。廃止ではなく、 制度そのものがなかった」と説明したそうですので「一代年寄は元々なかったのに勝手に名乗っていた」とう見解なんですね。多分。
白鵬一代年寄襲名の賛否
今回の見解に対して八角理事長は「(今後)そういう場面があったら、理事会でも審議していきたい」と今後の参考にしてしていくような発言をしているそうですので、今回の提言は白鵬の一代年寄襲名に向けて大きな壁になる可能性が高いだろうということです。
一代年寄の目安は優勝20回と言われていますので、優勝40回を超える白鵬引退時にその話が出る可能性は高かったのですが、今回の提言をそのまま認める形になれば、一代年寄の存在そのものがないということになりますので、襲名の賛否の議論が上がることすら無くなります。
白鵬に関しては議論すべき
私個人の意見を言わせて頂くと、今後一代年寄の存在についてなかったことにするのはいいと思いますが、だからと言って白鵬に関してこのままスルーするのは如何なものかと思います。一代年寄の取り扱いに対して今後どうしていくのかはわかりませんが、少なくとも白鵬までは評価の基準とするべきではないでしょうか?資格はあるが公益財団法人の制度として問題があるので襲名できないという判断であっても、逆に素行や品格がそもそも値しないという判断であっても、それをそのまま伝えて欲しいと思います。
もしも今回の提言のまま「襲名の賛否云々というより元々存在がなかった」という形で終わらせると後味も悪く、何より「相撲協会逃げた」という見方をされるような気がするのです。
一代年寄は栄光の資格
大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、一代年寄といえば野球でいう永久欠番のようなもので名横綱の証。
今回の提言により制度がなくなることになれば、その一代年寄が消滅してしまうかもしれません。しかしかつて存在した、年寄名跡の中でも選ばれた力士しか襲名できない栄光の資格の為にも「元々存在していなかった」などとまるで否定するような意見は許さず、その幕引きは綺麗なものにしなければいけないのではないでしょうか?