親方株の値段はいくら?-年寄名跡の仕組み-

前回一代年寄りについて書きましたが、今回はそもそもの「親方株」正式名称「年寄名跡」についてわかりやすく説明をしてみたいと思います。

力士引退に関わる年寄名跡と読み方

独特な文化の多い相撲界は引退のシーンにおいてもこれまた独特。
野球やサッカーなどスポーツ界においては選手が現役を退く際は「引退」
となりますが、相撲界においては引退に加えて年寄襲名というものがあります。

「元幕内誰某が引退。●●を襲名。」

力士引退のニュースでこんなフレーズを耳にすることも度々ありますが、この時の●●に当てはまるのが今回のテーマ「年寄名跡」です。
ちなみに何と読むのかというと「みょうせき」や「めいせき」と読みます。
他にも親方株・年寄株など人によって呼び方が異なりますが、今回は一番馴染みのある「親方株」で統一したいと思います。

そもそも親方株(年寄株)とは何か?

結論から一言で言ってしまうと、
「これがないと、正式には協会に残れませんよ」という物です。
※若者頭や世話人もいるという声もあるかもしれませんが、今回はそこには触れません。

親方株を持たずに現役を引退すると、その瞬間に相撲協会を離れることになり、その後相撲協会に復帰することは出来ません。当然のことながら相撲部屋を持つことも出来ないわけです。

そのため協会に残りたいと考えている力士は、親方株を確保してから引退をする必要があるわけです。「晩年に差し掛かった力士がいつまでも引退せずに現役を続ける」などと言われることがありますが、ボロボロになってまで現役を続ける理由はここにあるわけです。

指導と運営

「親方株を取得して親方として後進の指導をする」
協会に残って行う大切な仕事ですが、親方の仕事はそれだけではありません。

親方の仕事は、野球選手やサッカー選手が引退後にコーチとして後進の指導を行ったり、監督としてチームを率いることに例えられることもありますが、力士が引退後に親方として協会に残る中で最大の違いは、相撲界が元力士がメインとして運営する団体ということです。

例えるならば、NPBや日本プロサッカーリーグの運営(集客や広報活動、審判なども含めて)などを元選手が中心となり行い、加えて後進の指導を行うという非常に特殊な世界なわけです。
プロスポーツ選手が「引退後に世間とのズレが大きすぎて困る」といった類の話を聞きますが、相撲界はそのままの感覚で運営側になるわけで、ワイドショーなどで相撲界の文化やしきたり、常識にギャップを感じる要因もここにあるのではないでしょうか?

親方株の旨味と魅力

多くの力士が欲しがる親方株ですが、取得することでどんな魅力があるのか?
最大のメリットは定年まで安定した雇用を約束されることです。

一番下の親方でも年収1200万を超え、再雇用制度を利用すれば70歳まで協会に残ることが出来ます。まさに力士は親方株を取得することで相撲協会という組織の社員になり、協会内の部署に所属し、階級や昇進もあり(現役時代の番付で昇進スピードやスタート位置も変わってきます)と、まさに会社員のような生活になるわけです。その中で自分の部屋を持ち経営を行っていく親方は、現役時代のタニマチとの関係を続けさらに増やしていく・・・。親方として引退することは、現役引退後の人生が長いと言われる他のプロスポーツ選手に比べると、全く異なってくるわけです。

通常の人よりも体が大きく、現役時代無理に身体を作っている印象が強い力士は引退後に病気がちになるケースも多いようです。そして裾野が広い競技ではないので、関係する仕事も少ないはずです。そんな背景もあり、国技という大きな看板が守ってくれる親方株の取得はそれだけの魅力があるようで、実際の取得金額は数億円と言われています。

年寄株の数と名前

それぞれの名跡名は江戸時代から続く由緒ある名前で由来があります。
その数105。これは決まっている数で増えることも減ることもありません。
そして親方株ごとに昇進速度や待遇が変わるといったことはなく、●●親方も▲▲親方も待遇は同じです。ただし親方株ごとに格のような物はあるようです。

一代年寄と横綱大関

ちなみにその数105と言いましたが例外が2つあります。
まず一つは大関と横綱経験者。大関経験者は3年、横綱経験者は5年、現役時代の四股名のまま協会に残ることが出来ます。
以前は横綱のみでしたが 、親方株が急騰した90年代に大関経験者も追加されました。何となく霧島の引退が影響していたような気がします。

そしてもう一つが一代年寄です。
こちらは多大なる功績があった力士に、現役名のまま一代に限り退職まで名乗ることを許された年寄名です。これまで対象になった力士は4名。
大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花。永久欠番のような扱いです。
※ちなみに千代の富士は辞退

目安が優勝20回などとも言われていますが、色々と注意も多かった朝青龍が普通に引退していたらもらえたのか?興味があります。

襲名資格

高額で取引されている親方株ですが、お金があれば誰でも取得できるわけではなく、最近よく耳にする「日本国籍を有する者」という絶対条件に加え取得には下記のような条件があります。

1.最高位が小結以上
2.幕内通算在位20場所以上
3.十両以上での通算在位30場所以上
※通算28場所でも、条件次第での例外あり

1998年に若干厳しくなりました。
ちなみに現在ある相撲部屋を継承する場合はハードルが少し下がりますが、
詳細はウィキペディアをみてください。

こちらで紹介しているのは襲名条件になり、部屋を持つ条件とは異なります。
新たに部屋を開設する条件は2006年に一気に高くなりましたが、それはまた別の機会に紹介します。

要はある程度幕内にいて、人気がある力士(タニマチが付く)であること。
もしくは部屋や一門が大きくて、後援会などある程度ルートがしっかり確保できるような力士といったところでしょうか?

引退と廃業

現在は親方株を襲名しようが、相撲界を離れようが皆一律に引退とされていますが、以前は「残る力士は引退」「残らない力士は廃業」とされていました。
非常に違和感がある表現でしたが、確か旭道山が政界進出のため引退するタイミングで聞こえが悪いからということで、引退に統一されたように記憶します。

まだまだ未解明な親方株

ここまで書いたのは、あくまでも親方株に関しての基本的な情報(若干私見も入っていますが)です。しかし親方株には、売買や継承に関することなど透明になっていない部分がまだまだ沢山あります。これまで揉め事もおきました。
そのあたりもご紹介したいと思うのですが、それはまた別の機会で・・・。

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