令和3年秋場所2日目の弓取式、これまで弓取りをしていた将豊竜の怪我によって聡ノ富士が2018年以来の弓取を行いました。
「流れだけは確認して、あとはぶっつけ本番で土俵へ向かった」 とのことでしたが、流石は熟練の技、軽快な弓取りに多くの拍手が送られていました。身体は覚えているとは言いますが、本当に美しい弓取式です。
弓取り式は誰がやる?
江戸時代から続く儀式
一日の土俵を締めくくる弓取式の歴史は古く、上覧相撲の際に結びで勝利した横綱谷風が、承った弓を持ち舞ったのが始まりだったそうで、江戸時代から行われています。
現在は結びで勝った力士ではなく、代わりの力士(弓取専門の力士)が土俵で弓取式を行っています。(取組が早く終わった際)テレビでも時々弓取り式の様子を放送していますが、よく見ると勝利した力士側の土俵(東西)から弓取り力士は土俵に上がっており、勝ち名乗りを受けているのが分かると思います。
余談ですが、千秋楽のこれより三役では最初の勝利力士が「矢」を受け取り、2番目の勝利力士が「弦」、そして結びの勝利力士に代わって同じように弓取り力士が弓を受け取り弓取式を行っています。
出世しない弓取り力士
「弓取式を行った力士は出世しない」というジンクスが長く相撲界にはあり、平成初期に行っていた巴富士が後に小結まで昇進してジンクスを破ったように言われますが、若貴と並ぶ期待の力士と言われていたことを考えると、小結1場所(しかも序盤で休場)ではジンクスの範囲内のような気がします。
記憶に新しいところでは、高砂部屋の皇牙が十両昇進後まで勤めていましたが、結果的に幕内には昇進できずに終わりました。
弓取式のルール
弓取式を行うのは「横綱が所属している部屋又は一門の幕下以下の力士」です。今場所初日まで行っていた 将豊竜は鶴竜が所属していた時津風一門、春日龍は白鵬の部屋、少しだけやっていた淡路海は稀勢の里と同部屋。
今回ピンチヒッターで行っている聡ノ富士がメインで弓取りを行っていたのは、 日馬富士が横綱昇進後の2013年初場所(巡業から徐々に行っていたそうですが)から、日馬富士が引退した後2018年初場所まで。5年という長い期間務める力士はなかなかいないので、流石は熟練の技!といったところです。
弓取式をしている力士は誰?
聡ノ富士とは誰なのか?
現在弓取り式を行っているのは、「聡ノ富士」とい力士です。同期生が竹縄親方ということになりますので、だいぶベテラン力士です。
ということで、現在弓取りを行っている聡ノ富士とはどんな人なのか??調べてみると、、
生年月日:1977年4月15日
初土俵:平成6年初場所
所属部屋:安治川部屋→伊勢ケ濱部屋
最高位:幕下55枚目
出身:群馬県
私はよく高崎巡業に行くのですが、群馬県出身の聡ノ富士はご当地力士なので、実家?の畳屋さんが当日のパンフレットに広告を載せています(笑)
入門は平成6年初場場所なので、有名どころの同期生としては現在の竹縄親方(栃乃洋)がいます。他の関取経験者としては海鵬、燁司、芳東、増健。入門時期が異なっている同い歳の力士は、二子山親方(雅山)、谷川親方(北勝力)、放駒親方(玉乃島)。ということで今年44歳中々のベテラン力士です。
ちなみに聡ノ富士以外で現役を続けている力士は、芳東(元幕内)、天一、澤勇、富士ノ風の4名。
弓取式までが大相撲
弓取式にも歴史と意味があったということをご理解頂けたかと思います。 力士が化粧廻しを着けた状態で、あれ程軽快で優雅な動きをする場面は弓取式しかありません。 結びの一番が終了するとすぐに腰を上げるお客さんが大勢いらっしゃいますが、ぜひ弓取式までご覧になってください。