相撲界の都市伝説について
普段相撲を見ている中で、
「本来この行為は正しいのか?」「それって本当のことなの?」
と感じることがしばしばあります。
これまで特に疑問に思わなかった相撲にまつわる噂話や相撲観戦のルール、事実として語られていること。いわゆる相撲における都市伝説的な話。本日はそんな話を書いていきたいと思います。
横綱土俵入りの掛け声はいいのか?
まずは、これは恐らく間違いだろうと思うこのことから。
横綱土俵入りの際に観客席から掛かる「よいしょー」の声
本場所に限らず、奉納土俵入りだろうが何でもかんでも「よいしょ」です。しかし相撲はそもそも神事です。神事で「よいしょ」はないのでは?
力士は四股を地中にいる邪気を払うために踏んでいるのです。そこで一斉に掛け声を掛けるというのは果たしてどうなのでしょうか?
そう思いながら横綱土俵入りを見ていると、花火の時に「たーまやー」と見物客が叫んでいるのに似ている感じを受けてなんだか笑えてきます。
神事なので、もう少し大人しく厳粛に見るべきではないのでしょうか。横綱が土俵入りに入る前に、後ろに座る行司さんが「シー」と言うのに気付いていますか?静かに観戦することでまた違った土俵入りの醍醐味に気づくことでしょう。とはいえ相撲協会としては、あくまで興行の側面という見解なので、特に問題にしているわけではないですね。
力士はハゲたら引退か?
力士は禿げたら引退しなければいけない。あの力士は髷が結えなくなったから引退したんだよ。よく聞く話ですし、私も聞かれます。しかしこれは完全に噂話であり都市伝説です。こんな規則はどこにもないはずです。
力士は「髷を結う」という規則はあるようですが、
ハゲ(髪がなくなる)=引退というのは違うはずです。
大正時代に栃木山という超強豪横綱がいたのですが(現在の春日野部屋創設者)、3場所連続で優勝を果たした次の場所に引退しました。体力が衰えたわけではない引退だったので、薄かった髪が原因で引退したのではないか?という噂が当時からまことしやかに囁かれて、これがこの都市伝説の始まりという説もあります。※引退理由は「力が衰えてから辞めるのは本意ではない。今が華だと思うから」ということでした。
ちなみにこの栃木山ですが、引退後数年たった後に参加した力士のトーナメントにおいて、現役力士を差し置いて優勝したそうなので、もしかすると本当の理由だったのかもしれませんね。
廻しの色は決まりがあるか?
こちらは「本当はルール違反ですよね?」という話になります。
土俵上で活躍する関取衆は皆色とりどりの廻しを身に付けていますが、この廻しの色に関しては、実は「紺・紫色系統のものを使用」と決められております。規則になっていますが公然と破られているということです。
何でもカラーテレビが一般に普及し始めた当たりがきっかけになっているそうで、当初は大人しめだったようですが、輪湖時代の「高見山オレンジ」や「輪島ゴールド」辺りからバリエーションが増えてきたような印象です。
個人的に今まで見た中で最も衝撃を受けたのは、朝乃若(現若松親方)の蛍光イエローとエメラルドグリーン。相手力士からすれば目がチカチカしないか気になりましたが、あればすごかった・・・。
それほど問題になることではありませんし、個人のカラーとして個性にもつながるので、協会も黙認しているということでしょう。
座布団を投げていいか?
「千秋楽結びの一番で全勝の横綱が敗れる」
館内に座布団が舞い始めると同時に流れる放送。
「危ないので座布団を投げないでください」
上位陣が不安定な場所では特に多く発生するこの「座布団投げ」。波乱が起きた際のデフォルトのようになっていますが、本来禁止です。
なぜ禁止なのか?危ないからです。
昭和の大横綱双葉山の69連勝が止まった一番では、火鉢が舞ったという話を聞きますがあれは本当なのでしょうか?観客に当たっていたら大怪我か打ちどころによっては命を落とします。
以前座布団を外せないように席に縛り付けたと、何かで読んだ記憶がありましたがあれはどうなったんでしょうか??
ただしこれに関しては、危ないですが個人的には好きな大相撲の風景です。敗れた時に舞う座布団の量が、「その横綱が敗れること」に対する驚きの値になりますので、負けて座布団舞わない横綱という光景は淋しいものです。
双葉山の連勝を止めた安藝ノ海は、師匠から「勝って褒められるより、負けて騒がれるようになれ」 と言われたそうです。
ということで、今回は大相撲界の都市伝説についてご紹介しました。
※もし違っていたらご指摘下さい。