断髪式ってなにするの??

再開される断髪式

国技館に一般客を入れての断髪式を最後に行ったのは、令和2年2月に行われた豪風の断髪式でした。

その直後からコロナの影響で、約2年間断髪式が行えなくなってしまったことにより多くの親方が髷を切れずにいましたが、ようやくスケジュールも次々と決まり、 令和4年~令和5年にかけては断髪式ラッシュが起こりそうな相撲界です。

今回は「断髪式とはなにか?」「断髪式が開催される時期はいつか?」「断髪式ってどんなことをするのか?」など、断髪式についての疑問を分かりやすくまとめていきたいと思います。

断髪式ってそもそもなに?

まずは「断髪式とはなにか?」という所からお話します。

断髪式とは「引退した力士が、お世話になった方やファンに見守られながら髷を切り落とすイベント・髷に鋏を入れて頂くイベント」です。

これまで特別な見方をしていた方もいらっしゃるかもしれませんが、「力士が髷を切り落とすイベント」になりますので、「断髪式」はどの地位の力士であっても開催することは出来るのです(もし規定があったらすみません)。

しかし、今回テーマにするのはこの一般的な断髪式ではなく、「国技館で行われる断髪式」になります。

まず「断髪式」という呼び方ですが、「(力士名)引退(年寄名跡名)襲名披露大相撲」などと呼ばれて開催されるのが一般的です。

お気付きかもしれませんが、国技館で行われている断髪式というのは、「引退相撲」というイベントの中に組み込まれている断髪式という儀式なのです。 ※文中は断髪式で統一します。

 

「引退相撲」と「断髪式」、何となくごっちゃになっていた方もスッキリして頂けた所で、力士の引退表明から断髪式を跨いだスケジュールを時系列でご説明すると、以下のような流れになります。

1.引退を表明(師匠に報告・相談)
2.引退会見
3.親方としての仕事をしながら断髪式の準備
4.断髪式
5.親方として仕事を継続

現在はコロナの影響でイレギュラーになっていますが、大まかなスケジュールで言うと、1~4までの期間でだいたい半年~1年弱くらいの期間が空きます。

その間、引退した力士達は髷を付けたまま親方として仕事をするのですが、ファンからしても、着ている物が着物からジャンパーに変わっただけであまり引退した実感がなく、親方修行期間(半分現役力士)のような感覚です。

当人の立場でどう感じているのかは分かりませんが、引退会見よりも断髪式で涙を見せる力士が多いことを考えると、力士にとっても断髪式の方がより引退を実感する瞬間なのかもしれません(引退会見ではほっとした表情が多い)。

断髪式はなにをするの?

断髪式と言っても引退相撲になりますので、髷を切るイベントだけでなく様々な催し物が行われます。巡業に行かれたことがある方であれば、巡業のメニューに断髪式が追加されているというイメージを持って頂くと、イメージが付きやすいかもしれません。

断髪式でよく行われることを書き出してみました。

・横綱土俵入り
・十両土俵入り+十両取組
・幕内土俵入り+幕内取組
・相撲甚句(引退する力士の歌が読まれることもあります)
・初切
・後援会会長(関係者)からの挨拶
・記念品贈呈
・髪結い
・櫓太鼓の打ち分け

ここまでは馴染みのある内容かもしれませんが、ここから先は少し変わったものになります。

・最後の取組として息子を対戦相手に指名。
・断髪後にタキシードに着替えて歌を披露。
・場所中の引退で不戦敗になった相手との取組。
・同期生との最後の取組。
・現役の横綱や大関を従えて最後の横綱土俵入り。
・最後の稽古

前半に挙げた内容はほとんどの断髪式で行われ、後半の内容はその力士オリジナルのメニューになります(他にも色々ありました)。

実際に豪風と両国の引退相撲の取組表をご覧下さい。

押尾川親方(元豪風)

豪風断髪式

漢境川親方(元両国)

断髪式は誰が主催するの?

年6回開催される本場所は相撲協会が主催していますが、断髪式は相撲協会が開催するものではなく、引退する力士自らが行うイベントになります。

そのため、会場である国技館を借り、当日取組をして頂く力士達(力士会)に協力をお願いし、自らチケットの販売を行う必要があるのです。集客出来なければ(チケットが売れず)赤字になる可能性もあるので、引退相撲を国技館で行える権利を持ちながら行わない親方がいるのも頷けます。

その一方で、鋏を入れてくれる後援会の方、チケットを購入してくれるファンの方を多く集めることが出来れば、たとえ相撲協会を離れていくとしても十分な退職金を得ることが出来るイベントになるので、協会に残らない力士でも国技館での断髪式は行うのです。

断髪式をやるのはいつか?

断髪式が行われる時期ですが、地方場所開催後はそれぞれ巡業に出てしまうため(春場所後の春巡業・名古屋場所後の夏巡業・九州場所後の冬巡業)、初場所・夏場所・秋場所後の土日に開催されます。

恐らく初場所や夏場所の後は巡業もないので(稀に海外場所有)、花相撲などの行事も組みやすいのでしょう。

過去の断髪式の日程を調べて頂ければ分かりますが、1月下旬から2月上旬・5月下旬~6月上旬・9月下旬~10月上旬がほとんどのはずです。

その結果、例えば1月場所に引退したとすると、準備期間を半年くらいで考え、恐らく秋場所後には開催?と予測します。

断髪式が出来る資格は?

国技館の土俵上で沢山のファンに見守られながら、髷お世話になった方々にハサミを入れて頂く。力士としての最後の晴れ舞台。

力士なら誰しもが行いたい催し物ですが、もちろん誰でも行えるわけではありません。前述したように、国技館で引退相撲を行うためには条件があります。

国技館の土俵で引退相撲を行うことが出来るのは、関取として30場所以上勤めた力士だけになります。

条件をクリアした中で、親方として相撲協会に残る力士が引退相撲を行うケース、角界を離れる力士が最後の花道で行うケース、費用面などで折り合わないため国技館での引退相撲を見合わせるケースに分かれていくわけです。

 

 

親方として相撲協会に残らない場合は、「○○襲名」の記載はなく、引退相撲と断髪式になるわけです。

 

その他の断髪式はどこでやる?

これまで断髪式というと、国技館のイメージをお持ちの方が多かったかと思いますが、前項でご紹介した通りその権利を得ないまま引退する力士の方が圧倒的に多いのが相撲界です。

一般的には自身が所属している部屋の千秋楽パーティーや、国技館の地下広間、ホテルなどの別会場で行うケースが多いです。

関取経験者の場合はホテルや国技館地下広間での断髪式が多く、関取未経験者は部屋の土俵などで行っているイメージが強いです。

断髪式に出る方法・その費用

断髪式への参加方法ですが、こちらは本場所や巡業同様に一般販売されています。費用も記載されているので分かりやすいです。

また、断髪式を控えた親方が、本場所や花相撲(他の断髪式)中に国技館内で営業しているケースもあります。※その場合は写真撮影やサインにも応じてくれます。

一方で鋏を入れる方法ですが、こちらは力士がお世話になった方に声をかけて鋏を入れて頂くため、「やりたい」からといって出来るものではありません。

ちなみに鋏を入れる招待客は祝儀を包むために(地位にもよりますが最低でも10万円とも言われています)、この金額がかなりの金額になるそうです。

断髪式では大体数百名の方が鋏を入れていますが、より多くの方を招待するのも頷けます。

断髪式ならではの趣がある

断髪式にまだ一度も足を運んだことがない方は、ぜひ一度行って頂きたいと思います。

本場所や花相撲、巡業など良いところが沢山ありますが、一人の力士がその象徴である髷を落とし、目に見える形で現役生活を終える瞬間に立ち会える断髪式というのも、他にはない感慨深く趣のある行事です。

にほんブログ村 格闘技ブログ 相撲・大相撲へ

 

断髪式ってなにするの?
最新情報をチェックしよう!
広告