関取になれなかった男たち-大相撲の醍醐味-佐々木一郎

相撲は幕下上位が一番面白い

「一番嬉しかった時」と質問をされた多くの力士が「十両に上がった時」と回答しますが、十両に昇進すると今まで無給だった立場から100万円を超える給料がもらえ、付き人が付き、個室が与えられ、大銀杏を結い、絹の締め込みで本場所相撲が取れるなど、力士人生が一変します。

しかし、相撲界全体の力士の中でも「関取」と呼ばれる十両以上の力士の数は力士全体の1割程度であり、 多くの力士達はそこにたどり着けずに土俵を去っていきます。

コアな相撲ファン達が「幕下上位が一番面白い」と言う理由は、その「関取」の地位を奪おうとする者と、死守しようとする者が激しくぶつかる場所こそが、この幕下上位だからなのです。

十両と幕下の待遇差とそれが織り成す人間ドラマは、私自身が大相撲の世界に魅了された大きな理由の一つになっています。

関取になれなかった男たち

今回ご紹介させて頂く書籍は、そんな関取の座を巡った人間模様が満載の一冊です。題して「関取になれなかった男たち」。

この本は、東西で120名いる幕下の中でも、最も関取に近い「幕下筆頭」が最高位で現役を終えた力士の土俵人生を取材したという、大相撲最高の魅力を伝えた一冊になっています。著者は相撲ファンにはお馴染みの佐々木一郎さんです。

今回取材対象になったのは春日国、獅子王、友鵬、錦風、緑富士、小金富士の6名。最高位はいずれも幕下筆頭です。

彼らが、それぞれの運命の場所やその一番を迎えた際の心境や、その時を振り返った想いを語っていますが、昇進は時に勝敗だけでなく、他の力士の去就など運が関わって来ることが何とも言えない気持ちにさせられます。

また、兄弟弟子やライバルなど、当時彼らを周りから見ていた人々のコメントなども加わり、スポットが当たらないもう一つの相撲界を赤裸々に伝えてくれます。

ここを楽しんで欲しい

この本をぜひ手にとって頂きたいのは、まず相撲マニアの人

幕下筆頭という地位がどういった地位なのか?を理解している相撲ファンにとって、そこにフォーカスしている「関取になれなかった男たちは」は、十分すぎるほど満足でき、今回取り上げられた力士の現役を知っていればより入り込める一冊になっています。

そして読み終えて改めて「相撲は幕下上位が一番面白い」と感じるはずです。

また、相撲が好きで良く見るといった方にもぜひ読んで頂きたいと思います。現在楽しんでいる部分とはまた違った、相撲の側面や魅力を感じることが出来るはずです。

白鵬や日馬富士、鶴竜、豪風、嘉風、若荒雄なども登場するので、大相撲ファン初心者の方に読んで頂いても、意外にすんなり入ってくるかもしれません。

とにかく多くの人に読んでもらいたい。

稽古場物語も最高

絶賛していますが、全く関係者的な意見ではありません(笑)

ちなみにこの佐々木一郎さんは日刊スポーツで大相撲担当やデジタル編集部をされている方なのですが、他に「稽古場物語」という名著があります。

この本は、数々の相撲部屋の稽古場を取材した連載(月刊大相撲)をまとめている物なのですが、まさにこんな一冊を待っていた!という衝撃の名著です。

相撲界に脈々と伝わる伝統や文化を、建物や稽古場を通して伝えているおススメの一冊です。

相撲部屋は、場所や師匠が移り変わっていくものですが、その瞬間の部屋の状況を非常に詳しく丁寧にまとめ上げているので、もはや資料の領域です。

今回ご紹介させて頂いた「関取になれなかった男たち」ともに読んで頂けるとかなりの相撲マニアになれるはずです。

 

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関取になれなかった男たち
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