まわし待ったいつ止める?

土俵上の熱戦よりも、コロナによる休場者の増加が取り上げはじめられた名古屋場所ですが、中日結びの一番で「まわし待った」によるひと悶着がありました。

賛否両論飛び交ったこの一番でしたが、そもそも「まわし待ったとは何か?」の質問に対しての回答と、今回の一件に関しての私なりの見解を書いていきたいと思います。

名古屋場所結びの一番

今回の騒動が起きたのは、名古屋場所中日結びの一番「照ノ富士-若元春」戦(運が悪く、注目度の高くなる日曜日の結びの一番)。

序盤から照ノ富士の中に入って、積極的に攻め続けた若元春。一瞬勝負が止まったかのように見えた時、若元春のまわしの結び目がほどけたのに気付いた立行司式守伊之助が「まわし待った」を掛けました。

しかし、そのタイミングで再び前に出ようとしていた若元春にその声は届かなかったためそのまま前に出、一方で「待った」が掛かったのに気付いていた照ノ富士は力を抜いてしまったため、若元春が照ノ富士をあっけなく寄り切りました。

場内に座布団が舞いましたが、横綱は不満げな(不思議そうな)顔で、伊之助を見て「いやいや、待ったしたよね?」と言わんばかりに右手を出しました。

前代未聞の出来事にざわつく館内。

当然審判員も土俵に上がりどんな捌きを下すかを協議。

ばつの悪そうな伊之助。。。。

協議の問題点は勝負の成立の有無よりも、再開のタイミングと、「再開の体勢」でした。

本来「行司待った」が掛かるのは膠着しているタイミングなので、次に再開する際の体勢を全員で確認したうえで、まわしから手を離したりお互いに離れたりします。

しかし、今回は既に動き出し勝負もついてしまっていたので、どの体勢から再開するのか?に時間がかかったようで、佐渡ヶ嶽審判部長がビデオ室とやり取りを繰り返し、まわし待ったが掛かったタイミングの体勢を再現するために四苦八苦していました。

寄り切ってから勝負再開まで約7分30秒かかったとのことでしたが、ipadとかタブレットを常に携帯して、そこでリアルタイムで映像が見れるようにならないんでしょうかね??そもそも「ビデオ室」っていう響きが昔の学校みたいな雰囲気で、今時そのネーミングはちょっとという気もしないではありません(笑)

両力士含めて再開の体勢づくりに四苦八苦するのを見ながら、近くにいる人スマホで見せてあげればいいじゃん、、と思っていました。

まわし待ったとはなんぞや?

そもそも『まわし待ったとは何か?』という質問に対して簡単に説明すると、対戦中にどちらかのまわしが緩んだ場合、そのままの体制で行司がいったん勝負を止めてまわしを締め直し、結んだのちにヨーイドンで再び勝負が再開されると言うものです。

相撲界には他にも、取組が長引いた際の「水入り」の待ったや、鼻血による出血がひどいときの待ったなどがありますが、今回の待ったは「まわしが緩んだからちょっと待った!」というタイムのようなものでした。

勝負が止まったタイミングで待ったが掛かるため、突き押しでの攻防よりも、四つ相撲で膠着した際に起こることが多い印象ですが、相撲は一瞬の呼吸で隙をついて前に出たり、攻撃をしかけるなど『間』が重要な競技ですので、今回の伊之助を見ても、止めるタイミングが非常に難しいことがわかると思います。

まわし待ったをかける時、行司は両力士が気づくよう双方の背中をポンと叩くのですが、今回は叩きに行った瞬間に動き出し、あろうことが照ノ富士だけが伊之助の動きを見ていたという状況に陥ってしまいました。

タイミングと運が悪かった

今回のまわし待った騒動。何が悪く、何が原因だったのでしょうか?

ネット上を見ると、「伊之助の止めるタイミングが悪かった」という意見が一番多いような印象がします。

たしかに取組を見ていて、正に今から動き出すというタイミングで止めにいくという「間の悪さ感」は否めません。

しかしこれはあくまで結果論であり、まわしが緩んだ後で「止めるべきだったベストのタイミング」はどこだったのか?というのは正直難しいと思います。

個人的に思うのは、最近差し違いを始めとした粗相の多い伊之助が、自信を無くしているのかな?と感じたことです(もしかすると判断力が落ちているだけなのかもしれませんが)。今回止めるタイミングも何だか躊躇して恐々していたようにも見えましたし、立行司らしい堂々とした立ち振る舞いがありませんでした。

たまたま止めに入ったタイミングも悪く、本人の決断に自信も欠けており。。。という全体的に不運が重なった感じもしました。

最近は本当に粗相が多い伊之助ですが、木村庄之助がいない現在、式守伊之助が唯一の立行司です(ずっと不在なのが問題ですが)。もっと威風堂々と捌いてほしいと思います。 

ということで、今回は「まわし待った」についてお話いたしました。

昔に比べると最近は淡泊な相撲が多くなってきているようで、取組時間も短くなり、「待った」がかかるタイミングも少なくなってきているのではないでしょうか?往年の相撲ファン達が喜ぶような大相撲を期待したいです。

名古屋場所もあと少し、コロナによる休場がこれで終わることを切に祈っております。

 

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