貴景勝の変化は悪かったのか?-貴景勝VS北勝富士-

秋場所12日目どよめく館内

令和4年秋場所12日目、初日からトップを走る西前頭8枚目の北勝富士が、埼玉栄高校の後輩である大関貴景勝と対戦しました。

ここ2日連敗しているとはいえ、今場所好調の北勝富士と、後輩とは言え大関として意地を見せたい貴景勝。

どちらも押し相撲力士であるため、館内は激しい突き押しの攻防を期待しておりましたが、結果は貴景勝の立ち合いのはたき込みであっけなく勝負あり。北勝富士はこれで3連敗となりました。

「立ち合い変化」など最もなさそうな貴景勝の変化なだけに、驚きの声も聞こえましたが、同時に「大関としての受けて立たなかった」という非難の声も上がりました。

果たして貴景勝の立ち合い変化は悪かったのか?

本日は、北勝富士戦の変化について個人的な見解を書かせて頂きたいと思います。

受けて立つ必要があるのか?

しばしば論じられる「上位は受けて立つもの」論ですが、そもそもルール的には反則ではなく、問題がないというのが前提になります。

しかし相撲の場合は「スポーツ」や「格闘技」などと一括りに出来ない部分も含んでおり、武道や相撲道という「道」が存在し、見る者たちの心の中に、「やはり上位陣には受けて立って欲しい」という想いがあります。

何だか格好良く表現しましたが、一言で言えば「気持ちの良い勝ち方」ではなく、好調の下位力士が上位に挑戦をした一番だったので(優勝争いにも関わる)、お客さんとしては、やはり突き押しの激しい相撲を期待したはずです。

 

変化も頭に入れないといけない

前置きが長くなりましたが(かなり)、私個人の意見を言わせて頂くと、今日の貴景勝の変化に関しては「有り」だと思っています。

今日の取組を振り替える

12日目の解説だった武隈親方(貴景勝・北勝富士両方の先輩)も話していましたが、北勝富士熱くなり過ぎです(貴景勝が冷静)。

北勝富士の土俵は、闘牛を思わせる毎日気合の入った相撲ですが、今日はそれに輪をかけるような熱を帯びていました。

いつも以上に熱を帯びた「居合い」のような一撃が、確実に一直線に来るのが分かっているのを、横綱であれば話は別ですが、馬鹿正直に正面から受け止める必要性は正直ないような気がします。

武隈親方も言っていましたが、目の前に「勝利」があれば取りに行きます。当たり前です、上位陣になればなるほど「1勝」の重みは大きいんですから。

優勝争いの中での駆け引きと大関の意地

誤解して欲しくないのですが、北勝富士は挑戦者として正々堂々挑み立派だったと思います。

しかし今回の一番はただの上位戦ではなく、「優勝争いの中での一番」であり、数字的には貴景勝にも優勝の目は残っているわけです。

今場所は照ノ富士が途中休場、御嶽海が負け越し大関陥落が決定、正代も二桁負けと横綱・大関陣が全コケの状態であり、唯一勝ち星先行の大関としては、上位陣としての存在感を見せなければならない立場です。

このように様々な背景があった12日目の取組(貴景勝は勝ち越しも掛かっている)において、北勝富士は警戒心が足りなかったとも言わざる得ません。優勝争いには駆け引きも必要になってくるのです。

貴景勝と北勝富士だから決まった

貴景勝の立ち合い変化については、賛否両論あってよいと思いますが、今回の取組があっけなく決まった最大の要因はただ1つです。

それは「貴景勝と北勝富士が、いつも真っ向勝負している力士だから」であり、日頃から色々と仕掛けてくる力士であれば、警戒心もあったはずです。

正面からくると信じた貴景勝と、正面から受けると信じた北勝富士。その結果があっけない幕切れになりました。

北勝富士はこれで3連敗となってしまいましたが、明日からも正々堂々と仕掛けて欲しいと思います。

そして勝ちに徹した貴景勝は、この1勝が価値あるものになるためにも、最期まで諦めずに(諦めているはずないと思いますが)上位の意地を見せて欲しいと思っています。

今日はここまで!あと3日!

 

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