カレーちゃんこって美味いの?
以前から、グルメでお馴染みの会社の先輩から「心山のカレーちゃんこを食べに行きたい」と言われていたのですが、コロナの影響などでなかなかチャンスがなく機会を逸していました。
そんな中、先日念願叶ってようやく心山の「カレーちゃんこ」を食べに行くことが出来ました!
いきなり「カレーちゃんこ」と言われても、何のことだか分からないかもしれませんが、「カレーちゃんこ」とは四谷三丁目の荒木町にある「心山」にあるちゃんこ鍋のメニューの一つなのです。
しかしちゃんこ鍋といえば、「塩ちゃんこ」「味噌ちゃんこ」「醤油ちゃんこ」が一般的で、カレーちゃんこと言われても、あまりピンとこない方も多いのではないでしょうか?
私もこれまで、色々とちゃんこ鍋は食べに行っているのですが、かつて「ちゃんこ寺尾」で一度「カレー」という文字を見かけた程度で、今回実際に食べるまで、カレーちゃんこという味はあまり想像出来ませんでした。
ちゃんこ鍋には様々な具材が入りますが、「カレー味にしたら、出汁も何も全部カレーになっちゃうじゃん」と思っていたのが正直なところで、心山はホームページもなく、相撲関連の番組や特集に登場しているのも殆んど見たことがなく、公式な情報がありませんでした。
しかしお店の口コミを見ると、心山のカレーちゃんこの味は評判も良く、相撲芸人でお馴染みのキンボシ西田さんも、自身のyoutubeで「ちゃんこランキング」の1位に上げています。
一体どんな味なのか・・・?
ということで、自分で確かめるべく、先輩と共に噂のカレーちゃんこを食べに行ったという次第です。
ちゃんこ心山
ちゃんこ心山(正式な店名は「心山」のようですが、ちゃんこ心山と表記させて頂きます)は、最寄り駅が「四谷三丁目」。
四番出口を出て、新宿と逆方面に新宿通りを進み、みずほ銀行を左折してしばらく歩いた路地にあります(5分くらい?)。2階にあるので注意しないと、曲がる場所を間違えてしまうかもしれません。
なかなかに味のあるビルを2階に上がると、会員制のクラブのような扉に「心山」とい暖簾があります。常連でないと入りづらい雰囲気も若干ありますが、思い切って暖簾を潜りましょう(笑)
店内に入ってみると、たしかに店の作りは居酒屋っぽくないのですが、こじんまりとした店内には相撲に関する品々が沢山飾ってあり、ちゃんこ屋さんと同じような雰囲気は感じます。
もっと相撲関連で押せばいいのに。。。と思ったのが第一印象です。
左から「琴櫻・輪島・北の富士・大受」。欲しい。
今回は3名での予約だったのでアラカルトではなく、最後にちゃんこ鍋が付く1名6,000円のコース。ちゃんこ鍋の味は選択できるので、もちろん「カレー」の一択です!
「ちゃんこ心山」は、輪湖時代に現役生活を送った心山という力士が始めたお店で、店主(心山さん)逝去後、同じ一門だった宮城野部屋に所属していた荒若さんという力士が、現在は料理長を努めています。
カウンターの中には、その元荒若さんとみられる大柄の男性と女性、そしてカウンターの外に女将さんと思われる、ちょっと怖そうな女性の合計3名でお店を切り盛りしているようです。
美味しい料理とカレーちゃんこ
「心山」と言うと、カレーちゃんこばかりが注目されがちですが、コースで出される料理も十分満足する美味しさです。
とろろがお通しっていいよね。
ズワイガニのサラダ、ボリュームあります。
手羽先、スパイシーで単品で追加したかった。。。
和牛のタタキ、ニンニクチップが美味い。
刺身も新鮮で美味しかったです。
どれも美味しい料理が続きお酒も進んだ頃に、いよいよお待ちかねの「カレーちゃんこ」の登場です。
溢れ出そうなほどのスープを、先程の女将さんが別の器に少し移しつつ鍋を作ってくれ、そしていよいよ噂の「カレーちゃんこ」の実食です。
食べてみると、カレーに支配されるギリギリのところでカレー度が止まっており、 絶妙なバランスです。
もう少しカレーが強いと「カレー味」、弱いと「カレー風味」なのですが、心山の鍋はたしかに「カレーちゃんこ」です。
溢れ出るほどのボリューム
女将さんが手際よく作ってくれました。
味の染みた豚肉と分厚い油揚げも美味しかったのですが、個人的に茄子が入っていたのが珍しく驚きました。茄子ってちゃんこに合うんですね。
ちゃんこを食べ終わると、別の器に移した出汁を使って雑炊を作ってくれるのですが(うどんか選べます)、これがまたいい感じにカレーが染みわたり美味しくて。。。
皆さん訪れるのが分かります。
ちなみにこのお店、かつてイチロー選手も来た事があるそうですが、その際「醤油ちゃんこ」を注文したという噂です(イチロー選手は普段ルーティーンとして毎日カレーを食べているので、こんな時はカレー以外ということだったらしいですが)。
カレーちゃんこと二人の物語
ちゃんこ鍋を作ってもらっている間、先程の女将さんとお話をしたのですが、なんとこの女将さんが心山さんの奥様で、この「カレーちゃんこ」の考案者でした。
カレーちゃんこという、カレーに染まってしまう可能性のある味については、やはり開発段階で苦労したそうで、何度も作り直してこの味に到達したそうです。
絶妙のバランスは、二人で試行錯誤をした結晶だったということですね。
店内には、鼻筋の通ったイケメン力士の古い写真が飾ってあり、それが誰なのか尋ねると、現役時代の心山さんとのこと。
そこから現役時代の稽古の辛さや、当時所属していた高島部屋の師匠三根山や、高島三羽烏のこと、宮城野部屋の新年会のことなど話してくれました。
最初は怖そうな(失礼)女将さんでしたが、会話の所々で「心山が。。」「心山と一緒に。。。」という言葉があり、心山さんとカレーちゃんこへの想いを少しだけ垣間見た気がしました。※元大関大受はほぼ同期だったようです。
心山丈康
大鵬の時代から北の湖の時代にかけて、心山丈康という一人の力士がいました。
ネットで調べてみると、最高位は昭和50年夏場所の幕下3枚目。惜しくも関取昇進を果たすことがなく、昭和56年に引退をしています。
元関取が運営しているお店の場合、化粧まわしをはじめとた現役時代の品々が店内に飾っていることが多いですが、心山にはそれがなく、代わりに相撲関係者から贈られた(であろう)相撲関連の品々や、店舗を訪れた際の写真などが飾られています。
今回初めてお店に行ってみて、心山は一般的な「ちゃんこ屋さん」のカテゴリーではないのかなと感じました。
お二人の人柄と料理に相撲関係者が集まり、二人が考案・提供している鍋が有名になり、お客さんが集まるようになった背景があるので、「相撲」を前面に出さずとも、料理を目当てに多くの人が訪れ(カレーちゃんこがその代表)、リピートしているのだろうと感じました。
現役時代、関取にあとわずか届かなかった心山さんですが、カレーちゃんこは確実に番付の最上段に名前を連ね、全国区になったはずです。
階段まで見送ってくれた女将さん、怖いと思ってすみませんでした。カレーちゃんこの味と、女将さんの人柄が十分満足いくお店でした!
追伸
お客さんの荷物用に置かれたラックの奥に古い番付表が貼ってありました。何時のものか見てみると「昭和50年夏場所」。大物所縁の品が飾ってありますが、あの空間は今でも心山さんと女将さんの作った空間なんですね。