白鵬は相撲協会に必要なのか?

宮城野部屋は一旦消滅

白鵬が引退後に継承した宮城野部屋でしたが、春場所前に部屋内での暴力事件が発覚したことにより、同場所中は一旦玉垣親方(元智乃花)が師匠代行を務め、場所後正式に伊勢ヶ濱部屋に吸収されました。

この処分により、横綱吉葉山以来継承されてきた「宮城野部屋」は、春場所をもって一時的に部屋の消滅となってしまいました。

白鵬が親方を務める部屋での出来事だったこともあり、相撲協会の処分については春場所前マスコミも例のごとく挙って報じていましたが、とりあえず今回の処分が決まったことで過熱した報道も一旦は終息し、世間ではあまり話題にならなくなってきました。

しかし、相撲民周りでは今回の処分についての賛否含め、まだまだ余波は収まっていません。

前回もこの「宮城野部屋暴力問題」については書かせて頂きましたが、少し時間が空く中で私の意見や考えにも空いた時間だけ変化が出てきたので、今回も前回に引き続き、この「宮城野部屋消滅」について思うところを語らせて頂きたいと思います。お付き合いください。

相撲人生を狂わされた力士達

夏場所終了後の5月29日、相撲協会から力士12名の引退が発表されましたが、伊勢ケ浜部屋からは、一時閉鎖された元宮城野部屋から移籍した4名(宝香鵬、大谷、千鵬、竹丸)と、元々伊勢ヶ濱部屋に所属していた真富士の合計5名の引退が発表されました。

全引退力士の半分弱の数。元宮城野部屋所属の力士の中には、休場している力士だけでなく、引退をも決意している力士も数名いるようです。

相撲部屋で共同生活をする力士達は家族であり、住む部屋は家になるので、その環境を大きく変えられた力士のモチベーションの低下は、個人差はあれど絶対にあるはずです。

「宮城野部屋として最後になるかもしれないので師匠に(出場を)直訴した。宮城野親方の下、宮城野部屋の力士として最後に土俵に立ちたいというわがままを聞いてもらった」。こちらは幕下上位で長く活躍した宮城野部屋のベテラン力士宝香鵬のコメント。

部屋の消滅がほぼ決定した春場所、1番相撲から6番相撲までを休場していた宝香鵬が7番相撲に出場した13日目の取組後に、出場した理由をこう明かしていたそうです。それを踏まえ改めてこのコメントを読むと何とも言えない気持ちになります。

引退力士ではないですが、元宮城野部屋唯一の関取伯桜鵬も、関取復帰をしてこれからというタイミングでの今回の事件は、どう考えてもマイナス要因の方が多いとしか思えません。

そして、宮城野部屋だった力士にばかりスポットが当たりますが、伊勢ヶ濱部屋にいた力士達も、部屋に沢山の力士達が移籍してきたことで、稽古場だけでなく手狭になった生活環境もマイナスに変化し、モチベーションの低下につながっている力士も多いはずです(稽古相手が増えたかもしれませんが土俵は1つだし)。

今回の処分はやりすぎだったか?

部屋への処分が正式決定した後の本場所を終え、こうした伊勢ヶ濱部屋の力士の現状も含め、 改めて今回の合併について考えてみるとどうでしょうか?

まず事件当事者北青鵬への処分「引退勧告」ですが、これは軽いと思います。そもそもの原因を作った力士であることはもちろんですが、暴力だけなく「多くの力士の人生を狂わせた」という観点から考えれば「解雇」でも重くはなかったはずです。

「まだ若い」という声もあるかもしれませんが、相撲においては年齢ではなく番付が優先です。「関取」としての自覚が欠如しています。この暴力事件は結果的に、被害者だけでなく、他にも多くの人に迷惑をかけることになりました。

そしてその北青鵬の師匠だった白鵬への処分「委員から最下位年寄への2階級降格、減俸20%を3カ月」に関しては、特段重過ぎる・軽すぎるということは現在も思っていませんが、「監督責任」が果たせていなかったことに関しては、十分過ぎるくらい反省をしなければいけません。

そして、多くの力士達は「横綱白鵬に憧れ、その指導を受けたい」そう思って相撲界に入門してきたはずです。北青鵬への監督責任以上に、その若者たちの信頼を結果的に裏切ってしまったことは猛省の必要があるはずです。

白鵬に対してはもっと重い処分を求める声や、退職に追い込みたい勢力云々の話もありますが、彼には「経験と技術を次世代に継承する」という使命が残っており、それに関してはこれからも出来ることだと思うので、ここから先は「相撲人生を良い方向に変える力士」を沢山輩出して欲しいと思っています。それが宮城野親方としての「宿命」です。

最後に今回相撲協会が下した「伊勢ヶ濱部屋への合併=事実上の宮城野部屋閉鎖」という処分についてですが(前回の記事を書いた段階では、伊勢ヶ濱部屋合併までは決まっていませんでしたが)、こちらに関しては「そこまでする必要があったのか?」という考えは変わっていません。

確かに、北青鵬や師匠の白鵬に対して厳しい処分をとることは理解できますが、所属していた力士にとってマイナスになるようなことをわざわざ行う必要があったのでしょうか?

それではどういった処分にすれば良かったのか?そう聞かれても正直それは分かりませんが、引退を決断していった力士達を見ると残念で仕方ないです、、、

 

前回の記事↓

 

石浦断髪式

最後に少し話は変わりますが、元幕内石浦の断髪式が6月1日国技館で行われました(宮城野部屋繋がりなので全く関係なくはないと思いますが)。

宮城野部屋の部屋付親方として、母校鳥取城北とのパイプ役として、今後は宮城野親方を支える重要な存在となる間垣親方の、華々しい門出を祝うはずだったこの断髪式でしたが、今回の事件と部屋の処分により大きな影響を受けたことでしょう。

あの白鵬の弟子だからこそ、当日はもっと違った演出などもあったかもしれません、、、参加者の変更など一部ではあったかもしれません、、、、

そんな断髪式のフィナーレを飾る止め鋏は、伊勢ヶ濱親方が行いました。

現在の所属部屋であるので、まあ形式上は間違っていませんが、、、

しかし、宮城野親方が鋏を入れた瞬間に湧きあがった歓声と拍手、断髪式の主役である石浦の気持ちを考えると、、、そこは別に宮城野親方で良かったんじゃないでしょうか??

相撲アメリカ代表コーチの網谷さんもyoutubeで語っていましたが、断髪式は相撲協会の公式行事ではないので、やはりお客さんが一番望んでいる形で行うべきだったと思います。

今回の暴力事件に関わる一連の出来事で感じる「残念な気持ち」が最も集約化された場面だったように思えます。

 

 

ただでさえ「入門者の減少」「競技人口の減少」が顕著の相撲界。力士ファーストを考えると、本当にモヤモヤが止まりません。。。

 

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