2年に一度の理事選が迫る
少し早い話にはなりますが、初場所が終わると、角界では土俵の外で重要な行事が控えています。皆さんご存知の2年に一度行われる日本相撲協会の理事選です。
理事選とは、各一門ごとに立候補者を立て、親方衆の投票によって協会運営の中枢を担う人物を選ぶ制度です。一般的にあまり注目はされませんが、実は相撲協会内の力関係や様々な政治が動く重要なイベントなのです。
詳しくは以前書いた理事選に関する記事をお読みください
今回の理事選ですが、特に注目したいのが相撲界きっての名門・出羽海一門です。というのも、これまで理事を務めてきた春日野親方(元栃乃和歌)と、境川親方(元両国)が定年を迎え、一門内で理事が入れ替わる可能性が高いからです。
出羽海一門は歴史も長く、常に角界を動かす政治の真ん中にいる一門になるので、その動きが今回の理事選での焦点になるもの納得です。
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木瀬部屋の暴力事件と、理事選への影響
そんな理事選前の中で起きたのが、年末に発覚した木瀬部屋での暴力事件でした。
相撲協会の調査によると、木瀬部屋の九州場所宿舎において加害力士は、同僚である幕下以下の力士から財布の現金を盗まれたことに怒り、被害力士の顔面を5~6回拳で殴ったそうです。
加害力士は過去にも暴力行為があったとする目撃証言があることから、協会は常習性があったと判断し、加害力士に懲戒処分を科す場合、出場停止2場所が相当だったと確認したそうですが、加害力士は処分までに引退届を提出して引退しました。
今回最も問題視されているのが、師匠の木瀬親方が、被害力士にも落ち度があるなどと判断して協会に報告していなかったことでした。
相撲協会は、木瀬親方がこの件を把握しながら正式な報告を怠ったとして、
監督責任および報告義務違反を指摘。その結果、役職上の降格処分が下され、理事候補となる立場から外れる形になりました。
内輪からのリークという噂もSNSにあったりしますが、理事選は個人の能力だけでなく、こうした不祥事やタイミングにも大きく左右される世界。今回の件は、その典型例と言えるかもしれません。
浮上する玉ノ井親方への期待
確かな情報ではなく、あくまで噂レベルの話ではありますが、今回木瀬親方の立候補が事実上難しくなったことで、出羽海一門の中で名前が挙がっているのが玉ノ井親方(元大関・栃東)のようです。
栃東の現役時代の最高位は大関。優勝経験3回、安定感ある相撲で長く上位を張った力士でした。派手さはないものの、堅実で崩れにくい取り口は、玄人好み。
引退後も、大きなトラブルが報じられることはなく、部屋運営においても比較的落ち着いた評価を受けているように見えます。理事という立場は、実務能力だけでなく「外からどう見えるか」も重要です。その点で言えば、玉ノ井親方はまさに理事としてピッタリの人財と言えるでしょう。
また、出羽海一門は人数が多く、名門という看板もあるため、このタイミングで候補者を一本化するとなると、「反対意見が出にくい」「余計な波風が立たない」人物が求められます。そうした条件を考えると、玉ノ井親方の名前が自然と浮上してくるのも理解できます。
個人的には、もし本当に立候補するのであれば、大いに期待したい親方です。
他に考えられる出羽海一門の理事候補は?
出羽海一門の空き枠は2つなのでもう一名は、引退後から出世街道を歩む藤島親方も候補になるでしょう。
現役時代の実績や年齢などを考えると、武蔵川親方(元横づ案武蔵丸)の名前が挙がってもおかしく無いのですが、理事選は単純な実績や年功序列だけで決まるものではありません。
一門内のバランスや他一門との兼ね合い、そして何より「今回は誰を前に出すのが無難か?」「余計なことを言わなそう」「無難に立ち回りそう」などとという空気感が複雑に絡み合って、最終的な判断が下されるのでしょう。
今回に関して言えば木瀬部屋の一件もあり、出羽海一門としては「余計な説明がいらない人材を選びたい」という意識が働いても不思議ではありません。
理事選の裏では、親方衆による票集めや調整が進んでいるはずですが、それと同時に、我々ファンが注目したいのは、やはり土俵の上です。
いよいよ始まる初場所という一年の始まりの舞台と、その裏で淡々と進む協会運営の行方。この二つを重ね合わせて見ることで、新年は相撲をより立体的に見て楽しんでみませんか?
