引退に向けた圧力が強かったので場所後くらいに発表するのか?と思っていましたが、まさかの場所中発表でした。場所前にも書きましたが、横綱の引退は本人が決断することだと思っていますのでこの引退に関して賛否はないですが、土俵で散れなかった横綱の去り際がなんとも寂しい感じはします。東京開催の春場所が終盤戦に入り盛り上がっていますが、今回は鶴竜を語っていきたいと思います。
人柄横綱鶴竜
鶴竜が語られる時、必ずと言っていいほど語られるのが「人柄」です。
先日何かで読んだ記事に至っては「生き仏」と書かれておりました。
これまで最初に「人柄」を讃えられる横綱が他にいたでしょうか?
取材に行けば必ず何かコメントをしてくれるそうです。何度も通わないとコメントをくれない力士がいる中、横綱の方からがわざわざ歩み寄ってコメントをくれるというような話も聞いたことがあります。鶴竜のことを悪く言ったり書かれているのを見たことがありません。あの笑顔は内面から出てくる優しさなんですね。慕われているようですので寂しがっている力士も大勢いることでしょう。
霧馬山はぜひ恩返しを、一門の長である正代は再び奮起を。
ひっそりと佇む鶴竜
鶴竜というと「影が薄い」そんな印象を持っている方も多いでしょう。
序盤戦調子がよかった力士に土が付きはじめ、終わってみたら鶴竜が優勝。
そんな印象を持っている方もまた多いでしょう。
白鵬や日馬富士、そして下の世代の照ノ富士に挟まれた存在で、稀勢の里が横綱昇進したフィーバーを考えるとさりげなくの横綱昇進でした。私も以前「鶴竜の憂鬱」なんてファンに怒られそうなことを数回書いていますが、何だかんだでこれも鶴竜の魅力な気がします。
優勝は6回
鶴竜の優勝は6回。
思ったよりも優勝しているなと感じる方が多いかもしれません。
派手なパフォーマンスもなく、上手いコメントも発信せず、そもそもマスコミが鶴竜の場合には過度に取り上げないため、そんな印象に映るかもしれません。
この6回と言う数字が多いのか?少ないのか?
現在の協会内で考えると鶴竜以上の優勝回数を持っているのは、
白鵬、武蔵川親方、八角理事長の3人。そう考えると優秀な数字です。
昭和の技を令和に伝える業師
鶴竜の相撲というと「引き癖」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、
鶴竜相撲最大の魅力は、差し身や前捌きの巧さです。
師匠である逆鉾の、さらに先代である鶴ヶ嶺から井筒部屋に伝わる双差しの技術を今に伝える業師でした。その証拠に大関昇進前に獲得した技能賞は歴代4位の7回(1位は鶴ヶ嶺)、体は大きくないものの速さと巧さを兼ね備えており、玄人好みの相撲を取る横綱でした(横綱に失礼かもしれませんが)。
いずれは井筒部屋の再興か
鶴竜親方として後進の指導にあたる鶴竜ですが、ゆくゆくは井筒を継承して、自身が育った井筒部屋を再び興すのではないでしょうか(旧井筒部屋の敷地は工事中ですが)?人格者と言われる鶴竜が、指導者として心をケアしながら、井筒部屋伝承の相撲を継承していくことを楽しみにしています。
鶴竜ファンの気持ちを思うと・・・
今回の引退に関して、相撲ファンの中では意見が分かれると思います。
しかし鶴竜ファンに限って言えば、やはり最後は土俵に上がって完全燃焼させてあげたかったという意見の方が多いのではないでしょうか?
それを思うと少し悲しい気持ちになります。
とは言えこれで終わりではありません。ここからはこの技術を継承するのが鶴竜の使命です。細っこい青年が横綱になった「SUMODREAM」を次の世代に伝えて欲しいと思います。約20年間本当にお疲れ様でした。
モンゴル出身横綱が初めて普通の引退をしました。