相撲の地方巡業ってなに?

大相撲の地方巡業

大相撲では、年6回開催される本場所の合間のスケジュールで、全国各地を回りながら地方巡業を行っています。

この地方巡業ですが、実際に観戦したことがある相撲ファンはもちろん、「日本中でお相撲さんが相撲をとっているのをテレビで見たことがある」「地方巡業という相撲のイベントがあることを知っている」という程度まで広げてみると、案外認知度が高いような気もします。

しかし地方巡業における様々な目的や仕組みなどはあまり知られていません。

今回は大相撲の地方巡業について、なるべく簡単にご説明していきたいと思います。

地方巡業では何が行われているのか?

そもそも地方巡業とは何をしているのか簡単に言うと、、、

体育館や施設などの会場に土俵を作り、本場所同様に幕下(選抜)、十両、幕内の取組を行う一日限りの大相撲です。(開催地名を取って大相撲●●場所と呼ばれる)

ただし地方巡業は「稽古・ファンサービス・取組」の3要素で構成されているので、取組だけに終始する本場所とは異なるスケジュールや内容になっています。

まず開場直後の8時(大体)から10時半くらいまで、土俵上では稽古が行われています(番付順に土俵に上がるので幕下は開場前から稽古をしており、お客さんを入れる時間帯には十両が稽古をしている頃でしょう)。

その後、初っ切りや 櫓太鼓の打分、髪結いの実演、相撲甚句、チビッ子たちとの取組などファンサービスのイベントが行われます。※巡業によって異なります

これら一連のイベントが終了すると、十両の土俵入りが始まり、そこから先は本場所同様の流れとなります。

断髪式に行かれたことがある方であれば、披露大相撲の断髪式の時間帯が稽古に差し変わるイメージです。

なぜ地方巡業を開催するのか?

全国への相撲普及

年6回開催されている本場所ですが、国技館で3回、大阪、名古屋、福岡が各1回と限られた場所での開催となりますので、遠方にお住まいの相撲ファンにとって「生で相撲を見る」ということは、観戦チケット代だけに留まらず気軽な行為ではないのです。

そんな遠方にお住まいのファンにとって、生で贔屓力士の姿や稽古を見たり、
本場所に似た雰囲気を味わえるのが地方巡業の醍醐味の一つです。

ファンとの触れ合い

大相撲の地方巡業に足を運ぶファンにとって最大の魅力と言っても良いのが、力士達との触れ合いです。

本場所同様の雰囲気ではあるものの、番付昇降のかかった本場所に比べて地方巡業は力士達もリラックスして臨んでいますので、一緒に写真撮影をしたり、サインをもらったりなど、力士達をグッと近くに感じることが出来ます。

また、力士同士が談笑したり赤ちゃんを抱いて土俵入りをしたりなど、本場所中では絶対に見ることの出来ない様々な光景を目にすることが出来るのも、相撲ファンにとっての巡業の楽しみの一つです。

地方の支援者との結びつき

ファンだけでなく、支援者と交流をもつ目的も巡業にはあります。

自身の出身地で巡業が開催される関取は、常日頃からお世話になっている支援者・関係者への顔見せや挨拶をすることが出来、親方は現役時代や現在も支援してくれている方への挨拶だけでなく、有望そうな子や入門志願者のスカウト協力などを依頼する機会にもなってきます。

稽古と鍛錬の場

相撲の普及やファンとの交流も大切かもしれませんが、力士達にとって最も大切ことは「稽古」です。

当たり前ですが地方巡業は「稽古と鍛錬の場」です。

巡業では朝から稽古が行われますが、普段あまり稽古する機会の少ない 一門外の力士と稽古をしたり、上位陣の胸を借りる事が出来るなど、自力を上げることにもつながります。

会場のセキリュリティーが今ほど厳しくなかった時代は、まだ暗いうちから土俵を使うために野宿をしたり、電車で座席を取るために窓から飛び乗り廊下で寝たりなど土俵外での厳しさも過酷だったようで、地方巡業はまさに鍛錬・修行の場であり、巡業が終わり一回り大きくなって部屋に戻ったなどという逸話も多く残っています。

巡業は大切な収益源

巡業は相撲協会の収益としても大切なコンテンツの一つです。

以前、一門について書いた記事で巡業についても触れましたが、 昔は全国で巡業を行うことで力士は収入を得ていました。

現在は力士に給与が支払われているので (十両以上) 、少し意味合いは違いますが、今なお巡業が協会にとって大切な収益のコンテンツの一つとなっているのは間違いないはずです。

故郷に錦を飾る

大相撲界には昔から「江戸の大関より故郷の三段目」という言葉があります。

そのままの意味ですが、「大関を張っている力士よりも、地元においての人気は三段目力士の方があるという」という意味です。

スポーツ選手が出身地を競技場で紹介されることはめったになく、されたとしても県単位であり、市区町村まで紹介されるケースは稀です。

その点大相撲ほど、「地域」にフォーカスした競技(あえて競技と呼ばせて頂きますが)はありません。

普段スポットの当たらない下位力士にとって、地元(特に本場所開催地から遠い)で開催される巡業は、新たな気持ちにさせてくれる舞台です。

地方巡業のスケジュール

地方巡業のスケジュールですが、かなり大まかに言うと春・夏・秋・冬の年4回、地方開催場所後を中心に行われています。

春巡業(4月)関西、東海、関東
夏巡業(8月)北海道、東北、北信越 ※冬だと寒いエリア
秋巡業(10月)関東、東海、四国、中国、関西
冬巡業(12月)九州、沖縄 ※季節的に暖かいエリア

時期と開催地を簡単にまとめてみるとこのような感じになりますが、あくまで目安です(特に場所は場所に関して)。

地方巡業の仕組み

巡業の仕組みですが、「売り興行」という形式をとっているので、主催しているのは相撲協会ではなく企業や自治体になります。

簡単に言うと、相撲協会は巡業を行う権利を売り、買い取った企業や自治体が「勧進元」と呼ばれて巡業を主催しているのです。

その為、チケットの売買や広報など、巡業に関わる業務は全て勧進元が行うことになり、宿泊代や交通費なども全て勧進元が出すことになります。

相撲協会としては、チケットの売れ残りなどのリスクもなく、安定して収益を上げることが出来、勧進元としては自社や自治体のアピールや、地域との結び付きに地方巡業を利用することができます。

地方巡業は90年代の後半に協会運営で行ったことがありましたが、結局元の 「売り興行」 に戻しましたので、こちらの形式の方が相撲協会としてはメリットがあるのでしょう。

数年前、嵐の中巡業が行われ、一部相撲協会を批判するような投稿を見かけましたが、この仕組みが分かると勧進元が主催者になるので、お門違いだということが分かって頂けると思います。

地方巡業へ行こう

簡単にはなりますが、大相撲の地方巡業についてご紹介させて頂きましたが、仕組みや目的などご理解頂けましたでしょうか?

冒頭でも記載したように、地方巡業は本場所に比べてどこかのんびりとした雰囲気が漂います。

そのため本場所ほど敷居が高くありませんので、お近くで開催される機会があればぜひ足を運んで見て欲しいと思います。

本場所とはまた違った大相撲の魅力が詰まった一日になるはずです。

 

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