松鳳山はなぜ親方になれない?相撲界に再雇用制度は必要か?

松鳳山相撲界を去る

夏場所十両12枚目で3勝12敗と負け越し、名古屋場所の番付を幕下5枚目に落とした松鳳山(放駒部屋)が引退を表明しました。

引退後は相撲界には残らず「食」に関する仕事に携わるということで、奇しくも長年所属していた「松ヶ根部屋」消滅とほぼ重なるようなタイミングで角界を去ることになりました。

元大関若嶋津が興した「松ヶ根部屋」出身の関取は全部で4人いますが、 若光翔、若孜、春ノ山といずれも平幕で終わっており、幕内在位51場所十両時代も含めれば関取に10年以上も在位していた松鳳山は、三役・三賞・金星獲得経験を有り松ヶ根部屋創設以来の出世頭でした。

数年前に体調を崩し、お世辞にも業務に支障がないとは言い切れない現在の荒磯親方(元大関若嶋津)。部屋経営からも離れ、部屋の功労者が引退する今こそ名跡を譲る絶好のタイミングかと思いましたが、予想通りにはならなかったようです。

一部ニュースの中には、若嶋津と松鳳山の不仲説や、5年後一山本に名跡を譲るという記事もありますが、「指導者には向いていない」と言っていた松鳳山の発言もあったので、今回の引退は「荒磯襲名は固辞して角界を去る」という綺麗な幕引きだったということに自分の中ではしておきたいと思います。

そして多少あったモヤモヤも、会見での様子とサプライズの演出を見て、すっきりと晴れることが出来ました。

お疲れ様でした松鳳山。

大相撲再雇用制度ってなに?

いやいや、全然すっきりしていません。

今回の松鳳山引退が予定通りで関係者が皆納得していたとしても、モヤモヤは晴れません。

今回は年寄名跡と、特に「再雇用制度」について言いたいことが山ほどあるので聞いて下さい!

愚痴は聞きたくない方は、別の記事を読んで下さい(笑)

ちなみに再雇用制度については、そもそも年寄名跡(親方株)の仕組みを知らないと理解できませんので、分からない!と言う方は、年寄名跡(親方株)についてのこちらの記事を読んで下さい。

 

 

ということで、今回は「再雇用制度」に絞って話をしていきたいと思います。

そもそも大相撲の再雇用制度ってどんなものなのか?簡単に説明をすると、

65歳で定年を迎えた親方は、年寄名跡を持ったまま年寄名で相撲協会に引き続き在籍することが出来るという制度です(審査を行うとありますが、申請したら残れるのでしょう)。

「理事にはなれない、給与が70%になる、部屋を持てない」という条件は付きますが、この制度を始めて聞いた時は「定年が伸びただけ」という印象でした。

再雇用制度は即刻変えるべき

この再雇用制度、あくまで私個人の意見ですが、全く必要ないと思っています。というよりも、存在自体にメリットを感じることが出来ません。

「経験を生かす」という不思議な意見もあるようですが、その経験とやらで大相撲界が良くなった事例があるのでしょうか?

むしろ悪しき習慣で相撲協会が何度苦境に立たされたか?

たしかに労働人口が減少している日本において、これから更に高齢者の労働力は必要になってくるはずで、実際に高年齢者雇用安定法の改正など国も動いています。

相撲界もこの流れに乗ったのかもしれませんが、そもそも状況が全く違います。

相撲協会には「年寄名跡」という定員数が存在するのです。上が詰まれば新たに入る下がはじかれるのです。

「労働力が足りなくなるので、積極的に高齢者の力を借りて行こう!」と言っているのに対して、主となるべき労働力を入れずに総労働力を下げているわけです。

極端な話、定員の決まっているスポーツチームで、新規入団を獲得せずにベテランを残し続けるような制度です。

考えただけで恐ろしい。。。。

四股名や本名で残ればいい

それでも再雇用制度を残したい、親方達の経験を生かして欲しい!とうのであれば、本名や四股名で残ればいいのではないでしょうか?年寄株がなぜ必要なのでしょうか?

具体的に名前を出してしまいますが、現役時代を凌駕する人気者「天鎧鵬」。今の相撲協会において、最高位が三役の参与よりも彼の方が絶対的に必要な存在だと思います。

先日断髪式をした豊ノ島、彼が襲名している「井筒」に関わる鶴竜など、これから先の相撲界を支えるべき存在が年寄名跡を取得できずに相撲界を去る可能性があるわけで、もし現実的にそうなった場合、それでもなお再雇用制度が必要だと声を大にして言えるのでしょうか?謎です。

 

 

年寄名跡制度そのものが必要か?

もっと言ってしまえば、この年寄名跡という制度自体がそもそも謎です。

前述したように、引退して協会に残りたい力士はそのまま四股名で残ればいいのではないでしょうか?

そんなことをしたら「人数が増えすぎてしまう」という意見もあるかもしれませんが、相撲協会に残る為には年寄名跡が必要で、一度外部に出たら戻れないという組織がとてつもなく村社会であり、発展性を感じないのは私だけでしょうか?

極端な話なのかもしれませんが、例えば新たな年寄名跡を15つくるとか、これまででは考えられないような改革が起きないでしょうか?

このままでは資産価値が更に上がった年寄名跡を、退職時に高く売り抜くことが親方業の最大の目的になってしまうような気がします。

少なくとも再雇用制度だけは早々に廃止か、変更するべき議案だと思います。

最後に失礼な言葉で本当に申し訳ないのですが、65歳になった親方が口にする「相撲界に恩返ししたい」という言葉ですが、「若い親方に譲る」ことが一番の恩返しだと思います。

 

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