高安の単独トップで迎えた千秋楽、いよいよ念願の初優勝か?と思ったものの、初優勝を飾ったのは混戦を制した平幕の阿炎。
あっという間に令和4年九州場所が終わりました。
それぞれ推し力士の結果に悲喜こもごもの千秋楽になったと思いますが、場所全体を通して、個人的には非常に楽しく興奮した場所で満足しております。
今回は九州場所の感想です!誰かに伝えたいこの想いにお付き合い頂けると幸いです(笑)
日本中がため息高安またも届かず
この数時間後に鳴り響くことになる、コスタリカ戦の終了ホイッスル以上にため息交じりの結末だった高安。
14日目を終えて単独トップ「千秋楽勝てば優勝」の条件でしたが、本割・決定戦と阿炎に連敗し、またしてもあと僅かの差で賜杯を逃してしまいました。
14日目の輝戦で内容的には負けていながら白星で終わり、優勝力士によくある「負けていながら拾う相撲」だと、今場所のツキを感じたのですが、肝心の千秋楽はツイいませんでした。
巴戦は突き押しの他二人よりも、四つの高安が有利かと思ったのですが(貴景勝は明らかに疲れていた)、阿炎の変化に打ちどころが悪く脳震盪。あの状態では、たとえ阿炎が敗れてもう一丁になったとしても、100%の力を出すのは難しかったでしょう。
土俵上に倒れる高安を見て、「相撲の神様はいないのか?」今場所は本当にそう感じました。
もうこうなったら「ツキ」や「相撲の神様」などの存在は不要です。
高安には、長期休場をしていた兄弟子に変わり、大関として分厚い上位陣と熱戦を繰り広げ土俵を守り続けた実力と経験があります。
昔どこかで聞いた詩に、「嫌なことの後には、必ず良いことが待っている」という一節がありました。来年はきっと実力で賜杯をつかみ取り、優勝力士の撮影で笑顔を見せて下さい。
最高位のプライド
自分に厳しい貴景勝なので、優勝同点の成績であっても「優勝以外」ということになるのでしょう。
横綱照ノ富士休場、正代大関陥落、御嶽海大関復帰チャレンジ失敗の中、今場所の最高位力士として恥ずかしくない成績を残したと思います。
特に13日目・14日目と、二人の若手を一蹴した相撲は「大関」として番付の重みをしっかりと表現してくれた素晴らしい2番でした。
優勝決定戦ですが、阿炎が立ち合い少し滑ったことで、引き落とすか貴景勝に一瞬迷いが生じ、出足が遅れてしまったように感じました。
本割を良い内容で勝っていただけに、実力を出す前にあっけなく敗れてしまい残念な一番でした。
これで九州は関取で迎えた7場所中6場所で二桁。うち2回が優勝と、完全にゲンの良い場所になっています。
ここ3場所優勝争いには絡んでいるものの、2年以上優勝から遠ざかる魂の大関。どうやら圧倒的な成績であれば、横審も動くようです。
初場所は終盤戦で優勝争いに絡んでくるのではなく、序盤から先頭に立つ貴景勝に期待しています。
ちなみに優勝決定戦ですが、あれはもう少し休憩時間をとれないのでしょうか?あきらかに貴景勝の息が上がっています。良い相撲を見たい」というのがお客さんの声ならば、もう少し時間を取ってでも、貴景勝の体力が回復するのを待った方が良い気がしましたが、、、、
昔の阿炎で見たかった
今場所前、休場により実力のわりに番付が落ちている現状から、優勝争いに絡むと予想していましたが、予想を超えるまさかの優勝。
序盤から優勝戦線を引っ張った高安と二人の若手、これに貴景勝が加わり終盤戦に入る展開でしたが、日々星の整理をする中で名前が残り、最終的には優勝の可能性が生まれ、そして主役に躍り出た阿炎。
北の富士さんが書いていましたが、まさに「トンビに油揚げをさらわれたような逆転劇」でした。
優勝決定戦の変化に賛否両論ありましたが、昔十両の優勝決定戦でも平然と立ち合い変化した阿炎。優勝が懸かった一番ですから、言ってしまえば何でも有りなわけです。。。
しかしこの変化によって、貴景勝の頭にも「変化」が過ったと思うので、結果的に次の一番にも効果ある飛び道具だったわけです。侮れん。。
それにしてもこれが更生した阿炎ではなく、昔の阿炎だったらさぞかし歴史に残るインタビューになったことだろうと残念がったのは私だけでしょうか??
未来が見えた九州場所
今年は全6場所異なる優勝力士が生まれ、平幕が3場所連続優勝という結果でしたが、正直ここ数年の状況からそれほど驚いていない相撲ファンも多いと思います。
今場所も結果としては「平幕初優勝」ではあったものの、少し様相が異なる15日間でした。
今場所、非常に楽しく興奮した場所で満足したのは、もちろんここまで紹介した3力士の活躍もあったのですが、序盤から終盤まで優勝争いを引っ張り場所を盛り上げたのが、期待の若手二人だったからです。
偉大で眩い輝きを放つ祖父(とちょっとやんちゃな父)を持つ王鵬と、圧倒的な実力(と破天荒すぎる伝説)の叔父を持つ豊昇龍。デビューした最初の一番からフラッシュがたかれるほど注目された二人。
上位に定着しているものの爆発がなかった豊昇龍に、期待を抱かせつつ後半いつも失速の王鵬。ようやくの九州場所でした。
しかしこの二人は、場所を盛り上げて評価される力士ではありません。今後も土俵も世代を引っ張っていく必要があり、周りも期待しています。
来場所以降も、二人の熱戦が相撲界の未来を支えていくのです。
三賞はこれで良かった?
さて、最後に三賞ですが、正直納得がいってません。
殊勲賞:高安(4度目)
敢闘賞:阿炎(4度目)
技能賞:豊昇龍(2度目)
好角家の中には「1賞1人論」を唱える方もいらっしゃいますが、私は「景気よく配れ派」です。個人的な三賞としては、、、
殊勲賞:高安
敢闘賞:王鵬、豊昇龍
技能賞:平戸海、阿炎※千秋楽勝ったら
まずは殊勲賞ですが、今場所は対象が貴景勝しかいないので、高安しか該当者がいません。よって該当者は高安か。
次に敢闘賞ですが、敢闘賞の定義は「敢闘精神溢れる相撲を展開した力士に与えられる」ですので、本当は豊昇龍のイメージです。
逆に温和な顔つきから王鵬から敢闘賞は想像出来ませんが(笑)、やはり今場所の活躍で何か上げたい。あの大きな体を積極的寄せていく相撲が取れれば、北の湖みたいになれるんじゃないかと期待しています。
最後に技能賞。これは平戸海に挙げたかった。技能賞の定義は「 優れた技能を発揮した力士に与えられる 」ですので、何の問題もないような。あの前みつを取ってからの相撲は技能賞に値すると思うんですがね。。。 幕内2場所目の若手。二桁勝利に何か挙げてほしかった。
そして最後は阿炎ですが、正直阿炎の優勝は評価できるのですが、この位置での二桁は当然ですので、ここは条件付きでも良かったかもしれないですね(結果的に優勝していますが)。
ということで、九州場所は満足な15日間ではあったのですが、三賞のみ不満が残ったので最後に書かせて頂きました。
来場所は東京に戻って来るので楽しみです。
今回は冷静に書いていますが、恐らくこれが東京場所だったら千秋楽パーティーに参加しますので、全力で貴景勝を応援していたと思います。そしてとてつもなく悔しがっていたことでしょう・・・。