伊勢ケ濱親方の処分はどうなる?-相撲界の暴力事件-

伊勢ケ濱部屋で暴力事件発覚

令和4年も年の瀬となった12月26日、部屋の複数の力士が弟弟子に対して暴力行為を行なったという理由で、相撲協会から伊勢ケ濱親方が理事を辞任したと発表がありました。理事会前に、伊勢ケ濱親方が八角理事長へ辞任届を提出していたそうです。

今回の事件まずは4月下旬、加害者の力士が被害者の力士の頭を腕立て伏せ用の角材で殴打。7月下旬には、宿舎で腹を5回ほど殴り、蹲ったところを踏みつけたそうで、その際には別の力士も暴行に加わっていたとのことです。

また、今回最も問題視されているのが8月上旬、同じ加害者力士が煮えたちゃんこを、被害者力士の背中に浴びせて大ヤケドを負わせたそうです。

すでに被害者力士、加害者力士(二人とも)が共に角界を去っており、処分の対象にはなっていませんが、親方が事件を報告しておらず、何か(逸ノ城問題?)のきっかけで表ざたになった(なりそう?)ので、報告したような流れだと思います。

2横綱に多くの幕内力士を育成し、その手腕を評価されている伊勢ヶ濱親方だけに今回の事件は非常に残念な結果です。

今回は、この理事降格でそれ以外の処分はなさそうですが、伊勢ヶ濱部屋と言えば、日馬富士問題があったにも関わらず同じような事態が起きたということで、世間に「全く変わらない角界体質」を印象付け、コロナ前の人気に戻そうとしている相撲界にとっては大きなマイナスの出来事でした。

今回の件があり、改めて「相撲界⁼暴力」のようなイメージを持った方や、これまでの事件をごちゃまぜにして「架空の事件」を作っている方もいるかもしれませんので、ここ10年ほどの中で起こった相撲界の暴力事件をまとめてみたいと思います。

時津風部屋力士暴行事件

2007年に起きた事件ですが、これはマスコミも大騒ぎの事件だったので、相撲に全く興味の無くても知っている方は多いでしょう。

この事件に関しては、ネットなどでも沢山情報は出ているので詳細は割愛しますが、当時時津風部屋の力士だった時太山を、師匠を始めてその命令で兄弟子たちが「かわいがり」という名の元でリンチを行い結果的に殺害したという事件でした。

相撲界では、最近に限らずこれまでも暴力事件は何度も報道されてきましたが、この事件に関してはそんな生易しいものではなく、「殺人事件」であり、当時の時津風親方(元双津竜)は実刑を受けており(傷害致死)、兄弟子たちも書類送検の処分が下されました。

この事件はかなりひどい事件ではあったのですが、この時相撲界の「かわいがり」を「リンチ」と同じように報道をしたマスコミが後の相撲界にもたらした影響は大きく、ここが相撲界の指導方法が変わった分岐点になったように思えます。

敏感な時期での山分親方暴力事件

時津風部屋の事件があったので、あまり記憶のない方も多いかもしれませんが、2007年に当時の武蔵川部屋で元力士のちゃんこ番の男性を、部屋付きの山分親方(元小結和歌乃山)が殴って怪我を負わせたことにより、傷害容疑で書類送検されました。

被害者の男性は日ごろから後輩力士に厳しく、暴力を振るうなどしていたため山分親方も注意するなどしていたそうですが、「反省の色が見られない」と感じて、暴力をふるったそうです。

報道に対して武蔵川親方も、山分親方の行為を「行き過ぎ」と表現する一方で擁護もしていたので、この男性にも非があったようにも思えます。

暴力は悪いのですが、この時期は時津風部屋の事件もあり、世間が相撲界の暴力に対して過敏な反応をしていた時期だったので、和歌乃山も少し運が悪かったような気がします。

若くして出世しつつ、病気で低迷、若い衆に混ざって再び幕内復帰三役昇進した努力の和歌乃山なだけに、この事件がきっかけでその後協会に残れなかったのだとしたら残念です。

朝青龍暴力事件で引退

こちらも大きく報道されたのでご存じの方も多いでしょう。2010年1月に起きた朝青龍の一般人への暴行事件です。

事件が発覚した当初は、朝青龍のマネージャーが被害者という話でしたが、後に一般人男性が相手であったことが分かり、示談が成立していたものの事態を重く見た相撲協会が、引退を勧告し、直前の場所で25回目の優勝を飾っていた朝青龍は引退をしました。

前述の暴力事件以降相撲人気が低迷していた頃であり、「現役横綱の不祥事での引退」はさらに協会のイメージを悪化させる出来事でした。

力を付けて来ていた白鵬と、五分に渡り合える先輩横綱の引退は、直後から始まる白鵬連勝記録に大きく影響を及ぼしました。

春日野親方アイアンで殴打

次にご紹介するのは、現在も幕内で活躍する栃ノ心と幕下力士二人が、着物や浴衣ではない服装で外出をしたり、門限を破ったため、春日野親方がゴルフクラブで叩き、拳で頭も殴ったという出来事です。

当時春日野親方が残したコメントが、「アイアンで殴った。確かにやりすぎた部分があったことは反省しています。ただし、死ぬほどのことはしていない。弟子とは親子関係だと思っているし、愛情がある」。

この事件に関しては被害にあった力士達は自分達の非を認め、和解も済んでいるとのことで、特に相撲協会からの処分はありませんでした。

2011年秋に起きたこの出来事は、ここまでご紹介してきた出来事をはじめ、八百長問題や野球賭博などが次々と起こり相撲人気が暗黒期になっていたデリケートな時期だったため、このコメントや全体を通しての「普通感」に違和感を感じたことを覚えています。

ちなみにこの春日野部屋ですが、2014年にも新弟子への暴行事件があり暴力をふるった兄弟子は障害事件で有罪、親方も裁判沙汰になっています。

日馬富士の暴行事件

こちらは相撲界の暴力事件史上、最も大々的に取り上げられた事件かもしれません。詳細は割愛しますが、簡単に言うと日馬富士が貴ノ岩を暴行して大怪我を負わせ、その責任を取って引退したという事件です。

この事件に関して個人的に思うのは、大小の差はあれど関わった全ての人が少しづつ対応を間違ったのではないか?ということです。

そもそも相撲協会執行部、白鵬と日馬富士、貴乃花親方と分かり易く敵対関係で報道したことにより報道が過熱して、結果的に最悪の結果になってしまったように思えます。

貴ノ岩付き人への暴力事件

2018年冬巡業中に忘れ物をした付き人が言い訳をしたと、貴ノ岩が付き人を殴打したこの出来事ですが、相撲協会からの処分より先に貴ノ岩が引退届を提出しました。

奇しくも日馬富士との一件があったために全国区の知名度になってしまった貴ノ岩。 今度は加害者になり、「被害者であれだけストレスが溜まっただけに、今度はどれだけ?」という気持ちもあったのかもしれません。

この事件に関しては自身が悪いとはいえ、貴ノ岩という力士は、なんだか相撲の神様に運命を弄ばれているような気がします。

個人的にも貴ノ岩の引退は非常に残念な出来事でした。

貴公俊付き人へ2度の暴行事件

この力士が起こした2つの暴力事件も、個人的には非常に複雑な心境だった出来事です。どちらも自身の付き人への暴力でした。

1度目は、日馬富士事件で貴乃花親方が「暴力はダメだ」と頑な態度を取っていた最悪のタイミング。そして2度目は、結果的に貴乃花親方に守ってもらった形になったにも関わらず同じことをしてしまいました。

相撲協会からは、22歳と若かった貴公俊に対して引退勧告ではなく「引退を考えるように親方と相談して下さいね」という処分が下りました。

1度目の暴力事件を起こしたことで、「弟子には甘い貴乃花親方」という見方をされる要因を招いたことになってしまい、2度目の事件で、「同じ過ちを繰り返した」「自分勝手な会見をしている」そんなイメージを持たれてしまったように思えます。

正直双子は応援しており引退して欲しくなかったです。才能もあっただけに非常に残念だった出来事でした。

処分基準が不明確

ここまで幾つかこれまでの暴力事件を掘り返してみましたが、やはり前回の逸ノ城事件のように「処分が今一つ分からない」というのが感想です。

誰が被害者で誰が加害者なのか?

すでに引退しているか?まだ現役か?

事件から時間が経っている。

双方和解をしている、納得している。

各事件を比べると、処分内容に不公平感があるように思えなんだか歯切れが悪いです。暴力に対してだけでなく、そろそろ明確な処分基準を作っていった方が世間の目を考えても良いように思います。。。(難しいのかもしれませんが)

ちなみに今回の件で伊勢ヶ濱親方が理事を辞任しましたが、62歳の伊勢ヶ濱親方にとってはこれで一門の理事を事実上引退したことになります。

次は誰が来るのか???別の興味が出てきた方もいることでしょう。

それにしても昨年の照強問題も含めて、伊勢ヶ濱部屋落ち着かないですね。。。照ノ富士にはしっかり体を休めてほしいです。

 

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(更新)
1月12日に相撲協会のホームページが更新され、2階級降格が決まったようね。

 

 

 

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