春場所テレビ桟敷で感じる違和感
番付上で125年ぶりに1横綱1大関になった先場所に続き、今場所も照ノ富士が場所前に休場を発表したのに加え、7日目から大関の貴景勝も休場となってしまったため、昭和以降では初めてとなる、横綱・大関不在の場所となってしまいました。
八角理事長は、「親方衆が頑張って横綱、大関を育てないとだめ」と危機感を募らせたようですが、そんな上位陣不在の場所を、業師翠富士や、突き押しの申し子大栄翔ら残った力士達が大いに盛り上げています。
しかし、今場所相撲をテレビ観戦する中で、なんかいつもと違う違和感を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
18時の放送終了の時点で、何となく時間が余っているような気がしていませんか?
そもそも弓取り式がフルタイムでしっかりと放送されることというのは、普段の相撲中継であまり見かけなはずなのですが、今場所は比較的長い尺で弓取り式や聡ノ富士の弓取りについて紹介するシーンを見かけます。
春場所も後半戦に入り盛り上っている中、あえて土俵上の話題ではなく、横綱大関不在という場所で感じている「相撲中継の時間が余っているような気がする現象」を、今回は検証していきたいと思います。
横綱土俵入りがない
これは今場所に限らず先場所もそうだったのですが、横綱が本場所を休場することで、幕内力士土俵入り後に行われる「横綱土俵入り」がありません。
正確に時間を測ったことはないので、横綱土俵入りが一回につきどのくらいの時間がかかるかはわかりませんが、少なくとも数分はかかるはずです。
この時間分が今場所は短縮されています。そう考えると、かつての四横綱時代は、横綱土俵入りだけで結構な時間を費やしていたわけですね。
声出し応援可能になっているので、横綱土俵入り時の「よいしょ」が言えるにも関わらず、その機会がないことを残念がっているファンも多いことでしょう。
ちなみに、朝から行っている大相撲の本場所では毎日多くの取組があるので、短時間の取組が多くなり、場合によっては進行時間が余る日というの当然出てきます。
そのため時間調整を行うことがあり、その代表的なものが「塩撒き」です。
力士が土俵上で撒く「塩」ですが、幕下以下の力士は一部を除き、通常塩を撒くことはありません。しかし、進行が速い場合などは、普段塩を撒かない地位の取組においても、塩が登場することがあります(力士が所作に戸惑うのが初々しい)。こうして時間調整をしているわけです。
とはいえ、十両や幕内の土俵入り時間はほぼ決まっているので、この塩撒き調整は、今回の相撲中継の時間とはあまり関係ないと思います。
殊勲インタビューがない
次に、この相撲中継の時間に関する原因として挙げられるのは「殊勲インタビューがない」ことだと思います。
横綱・大関に勝利した力士をインタビュールームに招いて話を聞く「殊勲インタビュー」ですが、横綱も大関も休場となってしまった後半戦では行われることがなく、貴景勝が休場した後にインタビューが行われたのは、翠富士や大栄翔といった早い段階で勝ち越したインタビューだけです。
つい最近までは大関に正代や御嶽も在位していましたが、正代は多くの場所で黒星先行ハラハラの展開を送る日々で、3度目の優勝を飾り大関昇進した御嶽海も大関昇進後は不振を極めたため、殊勲インタビューが連日のように行われていました。
これらの力士に、照ノ富士や貴景勝に勝った力士も加わっていたので、大相撲中継の中で「殊勲インタビュー」が行われることは、もはやスケジュールに入っているかのごとく辺り前の感覚だったかもしれません。
時間が余っている実は気のせい?
横綱土俵入りがない、殊勲インタビューがない
「テレビ中継の時間が余っているような気がする」を検証するとして、ここまで大きく2つの理由を上げて詳細を説明してきました。
しかし、そもそも本当にそれほど時間が余っているのでしょうか??
個人的な感想にはなるのですが、私の結論としては、、、
「多少余ってはいるものの、半分は錯覚の部分も多いのではないか?」になります。
まず、「横綱土俵入りがない」という下りですが、こちらは四横綱の話をしたように、これまでタイミングによっては、横綱が2人だったり4人だったりと異なる時代が存在しました。
その為、横綱土俵入りに関わるような時間調整は、今までも行ってきているはずで、今場所が横綱不在だからと言って慌てるようなことでもないはずです。
次に「殊勲インタビューがない」ということですが、そもそも殊勲インタビューの放送というのは、次の取組の仕切り時間内に行うことが多いので、殊勲インタビューがないからと言って、時間が余っているということには直結しないような気がします。
では「なぜ時間が余っているような気がしているか? 」というと、、、、
まずは殊勲インタビューがないからです。
直前に殊勲インタビューは関係ないと言った側から何を?と思うかもしれませんが、間接的に関わっているという意味です。
ここ最近では、上位陣が敗れ波乱?が起こることが多く、殊勲インタビューが詰まってしまい、最後のインタビューは結びの一番後に行うことも多々ありました(人数が多くて途中で放送終了になることも)。
しかし、今場所は殊勲インタビューがないため、放送終了時のバタバタ感がなく、いつも殊勲インタビューを流している時間帯に、ゆったりと弓取り式を流しながら解説者が語る。。。というようなパターンになっています。
それが、「時間が余っている」という感覚になっているのかもしれませんね。
そして、錯覚に陥る最大の原因は「上位陣不在」ということです。
相撲ファン達の中には「誰が上位の力士なのか」という感覚は無意識に持っているので、今場所は取組修了後に「あれ?もう終わり?」という感覚が出てきているのです。長く相撲を見ている人であるほど、「最後は横綱大関が一日を締める」ことが当たり前になっているので、それが今場所感じている消化不良さに繋がり、ゆったりとして放送終了と併せて「放送時間が余っている」感覚に繋がっているのではないでしょうか?
ということで、今回検証したのは
「大相撲中継でなぜ時間が余っているような気がしているか? 」
ということでしたが、結びの一番に横綱大関がいないことと、放送が終了するタイミングが妙にゆったりしている雰囲気だからという結論になりました。
残り5日間という佳境に入るタイミングで、どうでもいい事を検証しましたが、今回はここまでとします。