本命なき後半戦へ突入
今場所も、あっという間に前半戦が終了しました。
横綱照ノ富士休場ということで、初場所に引き続き、上位陣が大関貴景勝一人で始まった春場所。
貴景勝の出来次第では混戦の可能性が無きにしも、、、という予想があったものの、、、前半戦終了時点でまさかの展開になってきました。
中日終了時点での幕内の星取を整理してみると。
全勝:翠富士
1敗:大栄翔
2敗:琴ノ若、正代、高安、遠藤、金峰山
大関貴景勝が、3日目の正代戦で足を痛めて7日目から休場。関脇が引っ張るかと思いきや、2敗までの成績に顔を出している三役は、琴ノ若と大栄翔の小結二人という事態。
番付の「格」を大関が証明した初場所とは打って変わって、再び混戦・初優勝チャンスの再来場所となりました。
前半戦を盛り上げた力士
翠富士
ファンには申し訳ないですが、まさかの全勝ターン&優勝戦線単独トップで後半戦へ突入します!もちろん初の経験です。
場所前に放送された「ドスコイ研」のテーマが今回は「肩透かし」でした。
「肩透かし」と言えば当然スペシャリスト翠富士が登場し、自身の技について語っているのを私も拝見したのですが、正直「手の内を明かし過ぎでは?」と思いました。もちろん出演者からもその不安の声はあったのですが、翠富士本人は「それで決まらなければそれだけの肩透かし」こうカッコよく語りました。
発言通り、必殺技は今場所も見事に決まっています。そして対戦相手の頭に「肩透かし」が過るからこそ、他の技にも効いてくるのでしょう。
以前からも書いていますが、彼はもっと全国区になるべき力士です。イケメンぶりや楽しそうなインタビュー、そしてあの巧い相撲にファンが付くのはうなずけます。
大栄翔
綱取りだった親友貴景勝は休場してしまいましたが、幕内トップクラスを誇る大栄翔の突き押し相撲が、今場所は冴えわたっています。
唯一の黒星も土俵際で攻め急いだ逆転の黒星で、勝負は圧倒していました。
優勝戦線に残っている力士の中で、優勝経験はもちろん、三役や上位経験も豊富な大栄翔は、総合的に現時点で一番優位な気がします。
勿体ぶらないで、早い段階でトップを走る翠富士との一番を見たいと思います。
これまでの対戦成績は1勝1敗のようですので、どうなるのか今から楽しみです。短い相撲なら大栄翔ですかね、、、
今場所優勝、最低でも二桁勝利を上げるといよいよ大関の声が掛かってくるかもしれません。
正代
場所前から言っていた、ノープレッシャーの「平幕正代最強説」ですが、予想に違わず初日・2日目と、豊昇龍・霧馬山を連覇しました。
先場所までの「大関正代」では、大関候補の二人の前では気後れしている印象でしたが、プレッシャーのない今場所の「平幕正代」は、その体が一回り大きく見えます。
大栄翔には敗れましたが、翠富士や高安といった、現在優勝戦線に名前の出ている力士との取組は今後組まれるはずですので、場所を盛り上げるためにも、そして自身2度目の優勝のためにも、後半戦の正代から益々目が離せません、、、
高安
もはや説明不要、このブログで幾たびも取り上げている「高安初優勝問題」。己の推しを超え、多くの相撲ファン達が願っています。
今場所出場力士の中で、自力から考えたら高安はナンバーワンじゃないでしょうか?それくらい、これまでの経験など踏まえると、実力者中の実力者。
高安の場合、突き押しでも四つでも両方出来てしまうのがむしろ弱点なのかもしれませんね。カチ上げた後の選択肢が複数あるのも良いことばかりじゃないのかも、、、
中日平戸海に敗れて2敗となっていますが、むしろ話題にならないくらいがいいのかもしれません。後半戦に向けて、トップでもなく追いかけるその他大勢の方が、高安的には一番とりやすい位置かもしれないですね。
北青鵬
新入幕初日から4連勝した時は、12番くらい勝つかと思った北青鵬。
「巧く差したとしても、そのまま抱えられてしまう」といった、スケールの大きさ。中日には播磨投げまで披露しました。
このスケールはまさに把瑠都以来のショックです。
隆の勝が勝ったように、差さずに一気に前に出る相撲が対処法ではありますが、膝もだいぶ曲がり、廻しを切ることも始めました。
現在は体型で優っている部分がありますが、技とスピードがこれに加わってきたとすると、、、来年は三役どころか大関にいるかもしれません。
金峰山
同じく新入幕の金峰山。
こちらも北青鵬同様にスケールの大きさを感じさせる力士です。
まだ大銀杏が結えておらず、相撲も力押ししている場面も多々あるのですが、現在の実力だけでも十分幕内の力を持っています。
中日を終わって6勝2敗。酷ではありますが、後半戦では実力者達と積極的に当てて欲しいと個人的には思っています。
大栄翔の突き押しに、金峰山がどれだけ通用するのか?遠藤の巧さに、金峰山がパワーでどれだけ対応できるのか?足りないものを肌で感じてほしいです。
金峰山も来年はどの辺りにいるのか。。。技術を覚えたら末恐ろしい感じはします。
アツイぜ十両
今場所も引き続き十両が注目を集めています。
主役はもちろん朝乃山。
熱戦ランキングでも朝乃山の取組が幕内を抑えてトップになるなど、注目は大関だった頃のままです。
ここまで1敗とトップを走っていますが、湘南乃海戦ではギリギリのところで勝つなど、全て完勝とはなっていません。
その1敗を付けたのは、初場所の出場停止で十両に陥落している逸ノ城。こちらも十両の土俵では実力が抜けており、朝乃山と優勝争いを引っ張ります。
十両の優勝争い1敗で並ぶのは、朝乃山と逸ノ城だけではありません。
まずは若手注目株の豪ノ山。逸ノ城に唯一の土を付けているのは彼です。豪栄道が武隈部屋を興して早々に誕生した関取でしたが、自身より若い力士達の活躍も目立ってきました。ここで大勝して一気に入幕を果たせるか??
そしてもう一人の1敗力士は、今場所も大注目の落合。史上初めて1場所で十両昇進を果たした「ギリギリ総髪」の関取ですが、今場所は自力のあるところだけでなく、体幹の強さや器用な一面も見せてくれています。左腕が心配ではありますが、このまま1敗を守り、逸ノ城や朝乃山との一番を見たいと願っている相撲ファンは多いはずです。
綱取りがゼロに戻った貴景勝
3日目の取組で怪我を負い休場となってしまった貴景勝。綱取りは振り出しに戻ってしまいました。
本人から休場を申し出たとあったので、かなり酷い状態で3日間土俵に上がっていたのでしょう。
貴景勝のことなので、「怪我をしたのは自分のせい」「弱いから負ける」そんなセリフを想像してしまうのですが、初日の相撲を見ると、かなり気持ちが入っていたのが分かりました。
だからこそ、結果の良し悪しに関わらず千秋楽まで相撲を取らせてあげたかった気持ちが強いです。
貴景勝を見ていると、公傷制度の復活を願う気持ちがより強くなります、、、
少しでも怪我を良くして夏場所に戻ってきて欲しいと思っています。
後半戦を楽しもう
いよいよ後半戦に突入する春場所。
ここまで小結と平幕が場所を引っ張っているわけですが、さすがに最高位となった関脇3人は黙っているわけにはいかないはずです。
昔からレベルの高い優勝というのが評価されますが、ここは全勝・1敗力士らを引きずり降ろし、優勝ラインを引き下げてでも優勝争いに絡まなければいけません。。。
今場所は横綱大関不在の緊急事態かもしれませんが、逆に楽しみましょう。
そのために鍵を握るのは力士ではなく審判部(笑)。
ここ最近、番付を優先して盛り上がった記憶がない気がします。
ここから先は、番付や慣例は無視しての取組編成をお願いします。