朝乃山は復活優勝を飾れるのか?

朝乃山前頭14枚目で幕内復帰

早いもので(いつも言ってる)、いよいよ夏場所の番付発表が行われました。

4場所連続休場からいよいよ復帰してくる横綱照ノ富士や、春場所の綱取りから一転休場となり角番脱出を掛ける大関貴景勝、その春場所を制して今場所に大関昇進をかける霧馬山、ついに弟の番付に追いついた新関脇の若元春など、夏場所も話題満載の幕内土俵となりますが、やはり多くの相撲ファンの注目を集めているのは、令和3年九州場所以来の幕内復帰となる朝乃山でしょう。

横綱昇進への期待が膨らむ中、ガイドライン違反を起こして6場所連続休場となってしまい、横綱昇進どころか大関陥落、そして三段目から再スタートとなってしまった朝乃山に対する相撲ファンの期待は、春場所の取組再生ランキングにおいて幕内上位の取組を抑え、十両力士だった朝乃山が日々トップを飾っていたことを見ても明らかでしょう。

番付上において「幕内」ということになれば先程記載したように令和3年九州場所以来ですが、「幕内力士として土俵に上がる」という言い方に変えると、同じく令和3年の夏場所以来になるので、朝乃山にとっての幕内土俵はちょうど2年ぶりになります。

陥落した原因は異なりますが、同様に大関から大きく番付を落とした照ノ富士が、再入幕場所で2度目の優勝を果たした姿に、今場所再入幕を果たす朝乃山を重ねる相撲ファンも多くいるのではないでしょうか?

約2年ぶりに幕内で15日間相撲をとる「元大関」の朝乃山。

果たして再入幕復活優勝はあるのでしょうか?

番付運のなさが逆に追い風

復活の再入幕場所優勝に向け、まずプラスに働くのが「番付運」でしょう。

春場所十両筆頭で13勝を挙げた朝乃山、夏場所の番付は8枚目~9枚目になると予想したのですが、この夏場所の番付は東の14枚目。

14勝を挙げて再十両場所優勝を果たしたものの、1場所での再入幕を見送られた春場所に続いての番付運のなさを嘆いたり、中には陥落原因を勘繰った声もありましたが、むしろこれしか上がらなかった番付だからこそ、序盤戦勝ちっぱなしで後半戦を迎える可能性が大いに高まりました。

ここ最近の優勝争いの傾向として、番付云々よりも「序盤戦で誰が残るか?」「優勝戦線を引っ張るのは誰か?」というのがポイントになっているので、今場所の「東14枚目」という前半戦の星取を有利に運べそうな幕尻近くの位置は、「優勝」を意識した場合には、むしろ「有利に働く番付運だった」となるかもしれません。

 

 

久々の対戦と感覚

序盤戦での成績が伸びることになれば、当然中盤戦~後半戦にかけては上位陣との対戦が組まれる可能性も高くなります。

今場所前頭3枚目までの上位陣の顔ぶれを見てみると。。。

横綱:照ノ富士
大関:貴景勝
関脇:霧馬山、豊昇龍、若元春、大栄翔
小結:琴ノ若、正代、若隆景
前頭筆頭:阿炎、翠富士
前頭2枚目:高安、遠藤
前頭3枚目:翔猿、錦富士

この中で朝乃山との対戦成績のない力士は、若元春・琴ノ若・錦富士・翠富士の4力士。夏場所朝乃山が上位陣と当たることになった場合、多くの力士が「久々の対戦」になるわけです(稽古場を除く)。

※ちなみに幕内全体を見渡しても、この4力士に宇良・平戸海・一山本を追加した7力士のみが朝乃山と過去に対戦がなく、思っていたよりも多くの力士が過去に朝乃山と対戦しているなというのが、個人的な感想です。

以前御嶽海が、謹慎後久々に幕内復帰した阿炎の活躍に対して「最初は久しぶりなので少し戸惑ったが、久々に対戦したことにより、あ、こんな感じだったなと思い出したので来場所は大丈夫」と発言したことを思いだしました。

序盤戦、幕内下位の力士達との対戦で勢いをつけた朝乃山と、久しぶりに本場所の土俵で対戦をするになった場合、上位の力士達もこの感覚なのでしょうか?

そうだとすれば上位陣も朝乃山のペースにはまり、喰われてしまう可能性も高いかもしれません。

若い力に圧倒されるか?

ここまでの話しの展開では、「番付運」に「久々の対戦」と、夏場所に朝乃山が復活優勝を飾ることが出来る好条件が揃っているように思えるかもしれませんが、さすがにそれほど簡単なことではないはずです。

朝乃山が15日間相撲を取れるようになった初場所以降(十両復帰後)、14勝1敗(十両優勝)、13勝2敗(準優勝)と順調に番付を戻して来ているように見えますが、その内容を振り返ってみると、結果的に勝利を収めているものの、力の差を圧倒的に見せつけたものだけではありませんでした。

豪ノ山戦、湘南乃海戦、そして注目された落合戦など、押される場面もあり、紙一重だった勝負もありました。

そして敗れた3敗の中でも、圧倒された王鵬戦はもちろん、得意の右四つで力負けした大翔鵬戦は完敗の内容でした。

初顔の力士に慌てたという見方も出来る一方で、新鋭の力にベテランが押されたという見方も出来るだけに、実質2年間近いブランクが影響しているようにも思えます。

とはいえ、同じく十両を2場所通過で幕内復帰した照ノ富士も、十両では朝乃山を大きく上回る2場所で7敗をしていますが。。。

 

 

大関時代の実力はいかに?

大関に在位していた頃の実力を考えれば、幕尻で相撲をとる今場所優勝の可能性は高いという見方も出来ますが、大関時代の朝乃山の実力はそもそもどれくらいだったでしょうか?

朝乃山が大関昇進後に皆勤した場所は全部で4場所(休場も含め在位は7場所)ありますが、その成績は以下の通り。

令和2年名古屋場所:12勝3敗(御嶽海、照ノ富士、照強)
令和2年秋場所:10勝5敗(遠藤、隆の勝、照ノ富士、正代、貴景勝)
令和年初場所:11勝4敗(大栄翔、御嶽海、宝富士、照ノ富士)
令和3年春場所:10勝5敗(高安、霧馬山、大栄翔、照ノ富士、貴景勝)

たしかに安定した成績は収めているものの、横綱昇進を目指すにはもうワンランク力が必要という印象もあり、星次第で上位陣との対戦も加わった場合、簡単に優勝とはいかなそうで、「怪我さえ治れば横綱」という、朝乃山と比べるともう一ランク上の実力者だったの照ノ富士とはここが異なります。

有利な点・懸念点、色々と書いては来ましたが、いよいよ朝乃山が幕内の土俵に戻ってきます。

ここ1年間の幕内最高優勝は、なんと平幕優勝が半分以上の4回。また、上位陣の怪我や陥落が続いています。

安定した相撲で、二桁勝利を継続出来る朝乃山に対しての期待は大きく、館内での拍手や、冒頭でもご紹介したように、春場所の取組再生ランキングがそれを証明しています。

朝乃山不在時に幕内昇進した力士、一足先に幕内に上がって行った力士、力を付けたかつての対戦相手達。

久々に出場する照ノ富士、角番脱出を図る貴景勝、大関を狙う霧馬山、話題の尽きない夏場所ですが、果たして朝乃山が主役の座を奪うのでしょうか?

初日まであと少し。

 

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