高見山来日から約60年
※今回の記事内における「外国人力士」という表記は、日本人に帰化した力士も入っておりますのでご注意下さい。
先日「徹子の部屋」に、元関脇高見山の渡辺大五郎さんが出演されているのをお見掛けしました。
その番組内で高見山さんが 「もうテレビ出演はこれが最後」という発言をされていたのですが、そのセリフには時代の流れを感じ「ああもうそんな年月が経ったのだな」と思わずにはいられませんでした。
外国人初の大関昇進を果たした小錦や、同じく大関昇進を果たし、後に外国人初の横綱へと昇進を果たした曙の功績が輝かしいものであることに変わりはないですが、まだ相撲界に「ガイジン」がいること自体が珍しかった時代に相撲界に飛び込み、40歳近くまで現役生活を送る中で、相撲界に「外国人力士」という存在を定着させた高見山の功績は一言では言い尽くせません。
後に高見山が切り開いたその道は大きく広がり、現在では「外国人力士」という存在が珍しくなくなったばかりではなく、相撲界における「外国人力士」は、高確率で関取昇進を果たし部屋の米びつ(将来を期待されている有望な力士 )となる存在です。
そんな相撲界になくてはならない存在となった外国人力士。当然沢山入門させれば関取を輩出する確率も高くなるのですが、そこは「国技相撲」。オールフリーで入門を許可しているわけではなく、一部屋一人の所謂「外国人枠」のようなものが存在しており(プロ野球と似たような感じだと思って下さい)、海外からの入門希望者達はその「外国人枠」に空きが出るのを待っているような状態です(日本人の入門希望者数が減少する中皮肉なものですね)。
外国人力士のルールについては下記記事で詳細を説明しています。↓↓
相撲部屋外国人力士在籍一覧
そんな相撲部屋と外国人力士の関係を理解してくると、当然「外国人力士が在籍していない部屋はどこか?」という疑問が湧いてくるはずです。
前置きがとても長くなりましたが、今回は「各相撲部屋の外国人力士在籍状況」を見ていきたいと思います。
(相撲部屋外国人力士在籍一覧)
浅香山部屋:魁狼
朝日山部屋:なし
安治川部屋:安青錦
荒汐部屋:大青山
雷部屋:獅司
伊勢ヶ濱部屋:照ノ富士
伊勢ノ海部屋:荒馬
追手風部屋:大翔鵬
阿武松部屋: チョイジルスレン
大島部屋 :シャグダルスレン
大嶽部屋 :なし
押尾川部屋:風の湖
尾上部屋:北天海
春日野部屋:碧山
片男波部屋:玉鷲、 玉正鳳
木瀬部屋:金峰山
九重部屋:千代翔馬
境川部屋:佐田ノ輝
佐渡ヶ嶽部屋:琴挙龍
式秀部屋: 冨蘭志壽
錣山部屋:なし
芝田山部屋:なし
高砂部屋:朝白龍
高田川部屋:なし
武隈部屋:なし
田子ノ浦部屋:なし
立浪部屋:豊昇龍
玉ノ井部屋:東龍
出羽海部屋:出羽ノ龍
時津風部屋:時蒼馬
常盤山部屋 :なし
鳴戸部屋:欧勝馬
西岩部屋 :なし
錦戸部屋:水戸龍
二所ノ関部屋:なし
八角部屋:北勝丸
放駒部屋 :なし
藤島部屋 :なし
二子山部屋:狼雅
陸奥部屋:霧島
湊部屋:なし
宮城野部屋:なし
武蔵川部屋 :なし
山響部屋 :なし
外国人力士不在の部屋は16部屋
初土俵を踏むタイミングなのか、番付表に名前が載るタイミングなのか、どこを「在籍」とみなすか微妙かもしれませんが、幕下15枚目格で初土俵を踏む予定の阿武松部屋チョイジルスレン(日体大)と、 同じく日体大卒の シャグダルスレンが入門する大島部屋は「外国人力士在籍有」の部屋としてカウントしました。
また武蔵川部屋では、師匠武蔵川親方(元横綱武蔵丸)の甥っ子であるダニエル・アイルア、白鵬率いる宮城野部屋ではデミデジャムツが研修中(見習い中)とのことですが、はっきりと入門時期が分からないので、こちらは「外国人力士在籍なし」の部屋としてカウントしています。
ということでまとめると、現在(23.11月)44部屋ある相撲部屋の中で、「外国人力士」が在籍していない部屋は16部屋となっており、「意外と多いな」というのが個人的な印象です。
その中で「在籍あり」の28部屋を見てみると、在籍している外国人力士のうち15名(片男波部屋は2名)が関取経験者となっており、在籍している力士の約半数が関取昇進を果たしています。これは、押尾川部屋の風の湖など入門間もない例も入っての数字ということになるので、非常に高い関取昇進率ということが出来ます。まさに米びつ。
「相撲部屋に関取がいる」ということは、人気面・稽古面など様々な観点においてメリットがあるわけですが、この数字があるにも関わらずなぜ外国人力士を在籍させていない部屋が存在するのでしょうか?
少し詳細を見てみましょう。
これまで外国人力士が在籍したことがなく、今後もその方針であろう部屋といえば、相撲ファンの多くが「高田川部屋」を真っ先に思い浮かべると思います。「最初から強くなる者を引っ張って来て育てても面白くない 」という師匠の方針らしいですが、安芸乃島らしいセリフです。そして見事に4関取を育てています。※外国人力士がNGであるわけではないそうですが。
そして西岩部屋も若の里の「叩き上げ」への拘りがありそうなので、今後も積極的に外国人力士を取りに行くことはなさそうな感じはします。
二所ノ関部屋、武隈部屋など、外国人力士のいない新興部屋に関しては、他の力士との兼ね合いだけでなく、部屋運営自体がこれからの印象もあるので、今後「これぞ」という力士が入門する可能性もあるでしょう。
在籍歴はあるけれど・・・
ここまでは、これまで外国人力士が在籍したことがない部屋を挙げましたが(継承前などは除き)、現在外国人力士が在籍していない部屋の多くは、かつては外国人力士が在籍していた部屋です。
それらの部屋は現在どうなっているのでしょうか?次はそちらを見てみましょう。
まずは大嶽部屋ですが、かつてはロシア出身の露鵬やエジプト出身の大砂嵐といった外国人力士が在籍し、部屋の顔となっていました。
しかし露鵬は大麻問題で解雇、大砂嵐も交通事故と不倫とで解雇。解雇以前にも両力士は交通事故や暴力事件を起こして問題児だったので、部屋としては「もう外国人力士は。。」の思いがあるのかもしれませんね。(当時の師匠だった貴闘力はすでに退職されていますが・・・)
芝田山部屋にもかつて大勇武というモンゴル出身の十両力士が在籍しておりましたが、引退を巡って親方と裁判沙汰になるイザコザ。。。後に和解したそうですが、こちらも「もう外国人力士は。。」なのかもしれません。
そしてまだ分かりませんが、部屋の看板力士だった逸ノ城が何とも奇怪な引退をした湊部屋も、しばらくは外国人力士に躊躇するのでしょうか?
また、以下の部屋に関しては、かつて長く所属していた外国人力士が引退したものの、その後は所属がないと思われる部屋です。
錣山部屋:青狼
常盤山部屋:舛東欧
藤島部屋:翔天狼
田子ノ浦:隆の山
山響部屋:大露羅
朝日山部屋は開設当初から、朝日龍や豊稀錦といったモンゴル力士が所属していたのですが、どうも長く続いていません。ということで、候補者がいれば入門は積極的に受け入れているのでしょう。
最後に放駒部屋は、松ヶ根部屋時代→二所ノ関部屋と変わる中で、外国人力士在籍歴があったのか?が良く分からないのですが、とりあえず今はいないと言うことで。。。
今回は、「外国人力士がいない部屋はいくつあるか?」ということを調べてみました。
結果は16部屋。
全体の3割を超えるこの数字に対しては、個人的には「思っていた以上に多い」というのが率直な感想です。
中には、モンゴルルート(旭鷲山や朝青龍とか)をはじめ、関係者たちと既に口約束などがされてる部屋もあるのだと思いますが、もし空いているのであればぜひ解放してあげて欲しいなと思います。
「入門したいけど枠がない」というのは、力士数が減っている相撲界においては非常に勿体ないことであり、部屋全体の底上げをしていくのに強い(強くなる)力士は重要です。