九州場所、安定感を増した横綱照ノ富士に最後まで食らいついた大関貴景勝でしたが、最終的に星3つ差をつけられての結果に終わりました。
そしてもう一方の大関正代は9勝6敗のいわゆるクンロクでの締め。
懐が深く、落ち着き、深追いしない横綱照ノ富士の相撲を見ていると、令和4年の土俵も照ノ富士を中心に展開されていく可能性は非常に高いです。
安定した四つ相撲を取る照ノ富士に対して、突き押しで挑む貴景勝がどこまで迫ることが出来るか?照貴決戦は来年も楽しみの一つではありますが、多くの相撲ファンの中に場所ごとに募っている想いがあるはずです。
「照ノ富士と朝乃山の四つ相撲決戦も見たい」
「照ノ富士VS朝乃山」
当たり前のように毎場所繰り広げられると思われていたこの対戦カードですが、次回実現するのは1年以上も先の話になります。
これまで何度か言及してきたこの朝乃山問題ですが、今回は令和3年の〆ということで、来年以降の角界を考える意味も含め、改めて言いたいことを書かせて頂きたいと思います。
力士の恩返しは土俵上で
以前引退した清原和博選手が、「現役時代は何かがあってもホームランを打てばそれで全てを吹き飛ばせた」というような発言をしていましたが、力士も同じように「土俵上で結果を出すこと」や「必死な土俵姿を見せること」こそが一番の恩返しであり、反省を表現する手段ではないでしょうか?
約半年の謹慎を経て再入幕を果たし九州場所の土俵を盛り上げた阿炎。「謹慎を経て成長した」というような話も出ておりましたが、勝ち星が上がったのは番付が下がったからであり、強くなったのも謹慎中もしっかり稽古をしていたからではないでしょうか?
そんな阿炎が明らかに変わったとすれば「相撲に対する姿勢や気持ち」だと思うのですが、その「相撲に対する姿勢や気持ち」を表現して伝えるには土俵に上がるしか手段はありません。逆に言えば、謹慎が続く限り表現する方法は(直接会える人に謝罪する以外)どこにもないのです。
大相撲界にとっても大きな損害
白鵬が土俵を去り、来年は本格的な照ノ富士時代になりそうな気配がします。これにストップをかける第一候補である大関陣は貴景勝と正代ですが、やはりここに朝乃山の名前も欲しいなというのが本音です。愚直な突き押しの貴景勝と、多分右四つっぽい正代。ここに本格的な四つ相撲を取る朝乃山が加わることで、幕内後半の取組にバリエーションが増えることは間違いありません。
二人大関の場合、どちらかが不調や怪我の場合取組にも支障が生じ、後半戦の盛り上がりに欠ける可能性は高いはずです。
本場所の取組問題だけでなく、ここ2年間は(協会に責任はありませんが)本格的なファンサービスが出来ていない状態によるファン離れも心配されます。グッズの売り上げ低下や朝乃山が推し力士だったファンが離れていくのも心配です。初優勝から大関昇進までの行程で大いに盛り上がった故郷富山でしたが、今回の一件で協会に対して思う所もあるはずで、朝乃山関連で広がるはずだった相撲人口や相撲ファンも未来の損失になります。
何が目的なのか分からない
以前も書きましたが、謹慎と番付を戻すまでの期間を2年と考えた時、この空白の2年は大き過ぎる時間です。
いつの時代にも必ず湧き上がる「次の横綱は誰か?問題」。横綱誕生は相撲人気が上がる大きな要因になります。もっとはっきり言ってしまえば、日本出身横綱誕生は、モンゴル隆盛時代以降常に協会の悲願なはずです。にも拘わらず、協会は1枚カードを放棄してしまっている状態です。
「他の力士が横綱昇進すればいい」
その声もあるかもしれませんが、対突き押しや右四つ決戦など取組の楽しみが増えるはずです。そして、日本出身の本格的な四つ相撲を取る力士の誕生を願うファンも多いはずです。
現在の出場停止処分を継続することは、「反省」が目的ではなく、ただ「罰をあ与える」ことだけが目的になっているように感じます。それもただの罰ではなく、「番付を落とし取返しの付かない罰をあたえ、嘘をつきガイドラインを破ったことを後悔させる」です。
相対的に考えてみる
阿炎や竜電の問題だけでなく、これまで出場停止処分になった「八百長問題」「相撲賭博」、時代が違うと片付けられている親方達が過去に起こした問題。それに比べて今回の朝乃山の問題を見ると、なんだか冗談のように思えてきます。
このまま謹慎が続き来年の夏に復帰するころ、朝乃山が何をしたのか忘れている人もいることでしょう。しかし確実に成長の時間や機会を奪われた朝乃山がそこにいるのです。
育ての親方は今ごろ朝乃山の処分撤回に向けて動いているでしょう。関係者への謝罪でも動いているはずです。かつて高砂一門の理事を務めたこともある親方なので、現在の理事達に対して意見も言えるはずです。何とか動いて欲しいと思います。もし我関せずであれば、それこそ今回一番処分される存在のはず。
時間を奪う処分はやめるべき
今後、朝乃山の番付は三段目くらいまで降下する可能性が高いですが、その地位の力士が可哀そうです。「番付はどこかで据え置き」「給与は支給無し」など、ネット上では様々な意見が出ていますが、出来れば早く出場させて下さい。番付的な問題や金銭的な問題よりも、時間を奪わないで欲しいと思っています。
ガイドライン違反が表沙汰になった当初は賛否両論がありましたが(私自身も100%擁護という意見ではありませんでした)、半年経った現在、むしろ朝乃山の早期復帰を願う声の方が多くなってはいないでしょうか?いのではないか?と思います。
ぜひ処分再考をして頂ければと思っています。
これまで朝乃山問題について触れてきた記事です。
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