胸を張れ史上最多勝利力士【稀勢の里引退に捧げる】

若貴ブームの後半戦を彩った猛者達をあざ笑うように、
モンゴル出身初の横綱が新しい時代の扉を勢いよく開け、
琴欧州、安馬、把瑠都、黒海、白鵬、時天空など
海を越えた有望力士達が次々と現れた
大相撲史上空前のグローバル化の夜明け。
今から15年くらい前の相撲界を覚えているでしょうか?

国技で勝てない日本人力士達を見ながら、
高校相撲出身の強豪、菊次や梶原が
きっと一矢報いてくれると成長を心待ちにしていたあの頃。
「萩原」という番付を勢いよく駆け上がる少年の名前を知りました。

数場所後、彼は史上2番目の若さで十両・幕内と、
稀な勢いで昇進していきました。まさに順風満帆。

これが物語ならこのまま天下を取ったのかもしれませんが、
彼が頂点を掴むにはそれから12年の歳月を要すことになります。
それでも貴乃花再来を思わせる、あの時の期待感は忘れることはできません。

久々の日本人横綱だけに、人気もあり引退を惜しむ声も多い半面、
「短命」「8連敗」「ゴリ押し昇進」「横綱の相撲ではない」
「大関のままで良かった」「プレッシャーに弱い」
といったマイナスの意見が多いのも事実。

しかし最後ですのであえて言わせてもらいますが全部違います。
これほど、長い期間一人で「国技」を背負わされて戦った力士はいません。
プレシャーに弱ければ潰れます。

「潔く引退するのが横綱の美徳」
それから見ると、連続休場や連敗記録は
横綱として恥ずべきことなのかもしれません。

しかし、彼は現役中、常に愚直に潔く土俵を務めました。
そして最後まで復活を諦めず土俵に執着して、
横綱としての生きざまを示したのです。

通算800勝、幕内714勝。
見事な成績です。
八百長や互助会などの噂が全く出て来ず、
誰も口にしていない潔白な中での数字。
そして陥落のない横綱の勝利数は、
他の地位と比べることが出来ません。
捉えようによっては、史上最多の勝利数と
呼べるものかもしれません。

元横綱が協会を離れることが増え、
気が付けば横綱のDNAが少なくなった相撲協会。
荒磯親方になっても「国技」を背負った戦いは続くはずです。

無表情で花道を引き上げる稀勢の里。
特にここ数場所は苦しそうでした。

笑うことは苦手かもしれませんが、
引退の花道は胸を張って引き上げて下さい。

第72代横綱 稀勢の里寛関

日本中の相撲ファンに歓喜と熱気と感動をありがとう!

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