鶴竜断髪式と親方株問題
令和5年6月3日、第71代横綱鶴竜の断髪式が東京両国国技館で行われ、約380名が鋏を入れました。
断髪式のフィナーレは、現在の師匠である陸奥親方(元大関霧島)が止めばさみで大銀杏を切り落とし、長年苦楽を共にしてきた髷に別れを告げる瞬間を、多くのファンが温かい拍手で見守りました。
令和3年春場所中に引退を表明した鶴竜ですが、コロナの影響があったため、相撲界に断髪式の渋滞が出来ていたこともあり、引退から2年以上を経た先日、ようやく念願だった断髪式を行うことが出来たわけです。
親方になってからもしばらくの間は、頭に髷をのせたまま親方稼業を行っていた鶴竜ですが、今回髷を落とし、本来ならばようやく「鶴竜親方」として本格始動となるはずですが、何となくすっきりとしていないことがあります・・・。
それは「親方株問題」ではないでしょうか?
井筒名跡はどこに行く?
当初、鶴竜は入門時から所属していた井筒部屋の有力な継承者として見られていたので、引退後のことに関しては「どのタイミングで師匠から部屋を継承されるのか?」であり、多くの相撲ファンも「継承ありき」という見方が殆んどでした。
そんな中、鶴竜を取り巻く環境が徐々に変化します・・・
まずは令和元年の9月、入門時からの師匠だった元関脇逆鉾の井筒親方が急逝し、井筒部屋が消滅したことです。これにより鶴竜は、入門時から所属していた井筒部屋から現在所属している陸奥部屋に移籍することになりました。
ただしこの時は、鶴竜の将来が「井筒部屋継承」から「井筒部屋再興」に変わっただけであり、多くの相撲ファンにとって「鶴竜=井筒親方」は、まだまだ既定路線ではありました。
そんな中、最も事態が変化したのはその2年後。
鶴竜が継承すると予想されていた「井筒」名跡を持っていた、井筒親方(逆鉾)夫人の娘さんである、福薗家の長女・福薗清香さん(逆鉾の娘)と木瀬部屋に所属する幕内志摩ノ海が婚約を発表したのです。※その後志摩ノ海は福薗家に養子入り
これにより「井筒」名跡は、引退後に志摩ノ海が名乗ることがほぼ確実となり、鶴竜が井筒親方になることは難しいのではないか?と言う見方が強くなりました。
その時の記事は下記をご覧ください↓↓
この一連の出来事は鶴竜ファンにとってはかなりショッキングな出来事であり、「そもそも鶴竜が相撲界に残れるのか?」という根本的な問題に話が戻ってしまったわけです。
現在鶴竜は「鶴竜親方」
通常、力士は引退する際に年寄名跡(以下親方株)を持っていなければ相撲協会には残れませんが(日本国籍の取得は必須)、横綱と大関経験者は例外を認められており、引退時より元横綱は5年間、元大関は3年間、現役時の四股名のまま親方として協会に残ることが出来ます。
そのため横綱だった鶴竜は、引退時代からの四股名のまま「鶴竜親方」として現在相撲協会に親方として在籍しています(日本国籍は取得済)。
しかし先に記載したように、「鶴竜親方」という親方株は引退時から5年間の期限が付いているので、令和3年春場所に引退した鶴竜の場合、令和8年(2026年)春場所までに正式に親方株を取得しなければならず、「鶴竜親方」に残された時間は3年を切っているのです。
何となくのんびりとした印象の鶴竜親方ですが、親方株は取得出来ているのでしょうか?
ここから先は、鶴竜の周りにいる親方の年齢や、現状を踏まえながら鶴竜親方の今後について考えていきたいと思います。
鶴竜は陸奥部屋の継承が出来るのか?
まずは現在所属する「陸奥部屋」を鶴竜が継承する可能性から考えてみたいと思います。
現在部屋を率いる陸奥親方(元大関霧島以下陸奥親方)は来年の4月に65歳を迎えるわけですが、相撲協会では65歳を迎えた親方は、部屋の経営の権利がなくなり、誰かに部屋を譲らなければいけません。
かつては、これまでの(定年を迎える)親方が別の親方に親方株を譲り(売って)、そのまま部屋を継承するケースが多かったのですが、現在は「再雇用制度」があるため部屋経営からは退くものの、相撲協会を退職するケースは殆んどなくなり、「親方株の交換を行ってそのまま協会に残る」ことが主流となりました。
そのため、陸奥親方が再雇用制度を使用した場合は、別の親方株が必要になってきます。鶴竜は別の親方株を用意出来ているのでしょうか?
今回は「部屋の継承」が関わって来るので、「親方株の空き」以上に話がややこしくなってきます。
空きの株がない場合、陸奥親方が定年と共に「親方株含めてすんなりと部屋ごと譲る」というのが、最も分かりやすく綺麗な継承になりますが、今回は果たしてどうでしょうか??
立田山親方に浦風親方
鶴竜の周りに空いている親方株はないのか?
ということで、とりあえず現在陸奥部屋に在籍している鶴竜を除いた親方衆の顔ぶれを見てみたいと思います・・・
立田山親方(元幕内薩洲洋)、浦風親方(元幕内筆頭敷島)
この二人が、現在陸奥部屋に所属している親方になります。
このうち浦風親方はまだ52歳ですが、 立田山親方はすでに再雇用制度を利用して在籍しています。鶴竜親方親方株獲得チャンス到来でしょうか?
そう思うところですが、立田山親方は現在66歳なので、再雇用制度は令和9年まで続き、立田山親方が定年を迎えるのは「鶴竜親方」の期限が切れた後になってしまいます。
今回は「陸奥部屋継承」までの期限があと1年を切っている状態ですので、そんな悠長なことは言ってられません。
立田山親方が、陸奥親方が定年するタイミングで、再雇用制度の残りの日数を捨てて退職を選択することも考えにくいですし・・・(金額換算して清算する方法もあるかもしれませんが)。
鶴竜は既に「音羽山」を取得済?
真相のほどは定かではありませんが、鶴竜はすでに「音羽山」の親方株を取得しているという噂も聞きます。
音羽山親方と言えば、元大関貴ノ浪が名乗っていたのが有名ですが、貴ノ浪急逝後は、貴の乱で貴乃花部屋に合流した光法が名乗り、大道(現阿武松親方)⇒天鎧鵬と襲名され、現在は空き株となっています。※正式には益荒雄も1日だけ襲名
これまでは元師匠である益荒雄退職のタイミング辺りで、阿武松部屋の出世頭である阿武咲が正式に取得をしており、その後天鎧鵬に貸しているとの予測ではあったのですが、先日の「逸ノ城引退事件」の際、実は音羽山取得で逸ノ城が動いており、その取得資金の件で湊親方と揉めた・・・などという噂も上ってきました。
そのため、実は阿武咲が音羽山を正式に取得したというのは事実ではなく、現在音羽山株の正式な取得者はいないのでは?という見解もちらほらと出てきました。
そしてその話の流れで、結局逸ノ城が取得できず、鶴竜が音羽山を正式に取得していると・・・
もしもこれが事実であれば、大きく話は変わってきます。
陸奥親方が退職するタイミングで鶴竜と名跡交換を行うだけで良くなり、その後鶴竜⇒霧馬山と陸奥部屋が継承される。
鶴竜が「音羽山」を、志摩ノ海が持つ「井筒」と交換するという形をとれば、鶴竜が「井筒親方」として「井筒部屋」を再興することも可能です。
ここ最近、ことあるごとに話題になる 「鶴竜の親方株問題」。
色々な場所で、沢山の人が様々な噂をしているようですが、結局のところ憶測の域を出ません。志摩ノ海が引退するか、もしくは鶴竜親方の名跡が変わるタイミングにようやく真実が分かるかもしれませんね。。。
個人的に気になっているのが、旧井筒部屋の跡地。
あれは相撲部屋付の物件ですが、誰がどのタイミングで使用するのでしょうか?
やはり鶴竜があの場所で部屋興しをすることが、ある程度決まっているからなのでしょうか?