白鵬が理事選に出馬しても当選できない理由

白鵬理事選に出馬か?

大相撲界で2年に1度ある理事選。次回は年明け令和6年初場所後に行われる予定ですが、早くも春先からちょくちょくと下記の様な週刊誌の見出しを目にするようになりました。

「宮城野親方が来年理事選出馬にいよいよ本気! 相撲協会を揺るがす「白鵬の乱」勃発か」

「一門衆は必死で引きとめ…元横綱・白鵬「通常は10年下積みも」親方1年目で異例の理事選出馬の狙い」

それぞれ違う雑誌になりますが似たような内容で、要は相撲界の慣例を破り、親方として始めての選挙にも関わらず、白鵬が理事への立候補を狙っている。という内容です。

以前の記事で詳しくご紹介したのですが、相撲協会は10名の理事が中心となって運営しており、その任期2年が満了したタイミングで、次の任期を勤める理事を決める選挙を行っています。

選挙と言っても正確には立候補者を募り、定員数がオーバーした場合にのみ選挙が行われるため、毎回確実に選挙が行われているわけではありませんが、そうした中、なぜ親方1年生の白鵬が理事に立候補するしないで、これほど騒ぐ必要があるのでしょうか?

今回は、白鵬が理事に立候補すると何か大変なことになるのか?そもそも理事になれるのか?ということを、理事選の背景なども含めて考えていきたいと思います。

 

「理事選居」詳しくは下記記事をご覧下さい
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理事選いおいて一門内での調整は必須

前段で「毎回確実に選挙が行われているわけではありません」と記載しましたが、 実はこれまで理事選においては選挙が行われたことの方が少なく、理事選前には各一門内において「立候補者の人数調整」が行われています。

具体的には、理事への立候補者を募った時点で立候補者が「ちょうど10名」となるように事前に調整がされ、実際には選挙が実施されないようにしているのです。

この調整についてもう少し詳しい説明をさせて頂きます。

現在大相撲の一門数は5つありますが、各一門によって所属する親方の人数は大きく異なっています。

出羽海一門が36名、二所ノ関一門30人、時津風一門15人、高砂一門11人、伊勢ケ浜一門11人(7月末)。

各親方が、それぞれ1票を持っているので、この状況から考えると、出羽海一門や二所ノ関一門が選挙になった時に最も票を多く持っており、一門内から理事候補者を多く当選させることが出来きます(大体1名を当選させるために必要な得票数は10票程度)。

そういった事情を背景として、○○一門は何枠、△△一門は何枠、とあらかじめ10名の枠に対して各一門で立候補する人数を決めておき、更に誰が理事に名乗りを上げるか?という候補者選びも同時に行っています。候補者の決め方としては、基本的に年功序列となっており、上が抜けたら次は誰々・・・というケースが多いようです。

そんな中、親方としては新人である宮城野親方が、(特に票数の少ない)伊勢ヶ濱一門から理事選に立候補をするなどという行為は、序列を考える一門内外ではもちろん、順番を待っている親方連中からしたら、ルール違反で慣例を破る行為になるわけです。

2010年にこの慣例を破り理事選に立候補した貴乃花、いわゆる「貴の乱」がなぜあれほど相撲界に衝撃を走らせたか?というのは、この理事選の仕組みを知ると納得がいくと思います。

 

一門の仕組みについてはこちらをお読みください
↓↓

票を回して議席を増やす

今回の「白鵬理事選に出馬か?」という話題ですが、ここまでご紹介した「数の論理」からすれば、一門内で同意者がいなければそもそも選挙に出馬したところで勝てないことになります。

しかし、この理事選で少し厄介(周囲が不安に思っている)なのは、「貴の乱」であったような裏切り行為(本来選挙なので裏切りも何もないのですが)や、裏で票の回しがあるかもしれないということです。

あまり詳しくない方は「何だその裏切りや票の回しは?」と思われると思いますが、その説明の前に一旦話題を変えて、相撲協会の現職理事の顔ぶれを見てみたいと思います。

八角親方(元横綱北勝海) ⇒高砂一門
芝田山親方(元横綱大乃国)⇒二所ノ関一門
境川親方(元小結両国)⇒出羽海一門
春日野親方(元関脇栃乃和歌)⇒出羽海一門
出羽海親方(元幕内小城乃花)⇒出羽海一門
陸奥親方(元大関霧島)⇒時津風一門
花籠親方(元関脇太寿山)⇒二所ノ関一門
伊勢ノ海親方(元幕内北勝鬨)⇒⇒時津風一門
佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)⇒二所ノ関一門

定員は10名なのですが、色々あって伊勢ヶ濱親方が理事を降りた為現在は9名体制になっており、こちらが現在の相撲協会幹部の顔ぶれです。

 

 

この一覧をご覧頂き違和感を感じませんでしょうか?約10票で1名当選という票数から考えた時、2名分の票数に足りない時津風一門から、なぜ2名の理事が誕生しているのでしょうか?

そのカラクリが先程の「票回し」です。

時津風一門は、多く票を持っている出羽海一門や二所ノ関一門から票を回してもらい、2名の理事を誕生させているのです。

そのため、伊勢ヶ濱一門内で支持を得られず強行出馬となったとしても、一門外から票を集めることが出来れば当選することは可能なのです。

白鵬は当選出来るか?

とはいえ、まずは伊勢ヶ濱一門内において白鵬がどれだけ票を集められるか?という所からスタートになりますが、現時点では恐らく当選するほどの票数を集めるのは難しいと思われます。

次回の理事選、伊勢ヶ濱一門は前任の理事であった伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)が退任したため、新たな候補を立てての仕切り直しとなりますが、恐らく浅香山親方(元大関魁皇)が候補となる可能性が高く、白鵬が立候補した場合には一門全体で推してもらえる可能性は極めて低いと思われます。

現在伊勢ヶ濱一門に所属している部屋は下記6部屋。
伊勢ヶ濱部屋、友綱部屋、宮城野部屋、浅香山部屋、朝日山部屋、安治川部屋

そして各部屋に所属している親方の総数は以下の11名がいます。
伊勢ヶ濱部屋:伊勢ヶ濱親方(元旭富士)、楯山親方(元誉富士)
大島部屋:大島親方(元旭天鵬)、玉垣親方(元智乃花)、桐山親方(元旭日松)
浅香山部屋:浅香山親方(元魁皇)、友綱親方(元魁聖)
宮城野部屋:宮城野親方(元白鵬)、間垣親方(元石浦)
安治川部屋:安治川親方(元安美錦)
朝日山部屋:朝日山親方(元琴錦)

この顔ぶれを見た時、万が一立候補したとしても、一門内で味方をする親方は間垣親方のみになると思われるので、2票しか集まらないのではないでしょうか?これでは流石の白鵬も敗北は必須。

しかし「貴の乱」も、当初劣勢だった状況を、光法をはじめとする一門外からの裏切り票が集まることで見事逆転勝利に転じました。

ということで一門外に目を向けてみたいのですが、正直今回の場合は一門外でも、白鵬に味方をしてくれる親方はいないような気がします。

同じモンゴル出身の親方も複数名いますが、そもそもレジェンド大島親方は同じ一門内、鶴竜や朝赤龍なども一門の総意に沿うでしょう。

これは別に白鵬が嫌いというわけではなく、一門の規模や親方としてのキャリアなど様々な要因があるので仕方のないことなのです。

せめてもう少し大きな一門であれば調整出来た可能性もあったかもしれませんが、個人的には今回は見送って次回以降に備えた方が良い気がします。

稀勢の里や白鵬、豪栄道など、いずれ理事として協会の中枢に入っていくであろう親方です。焦って事を起こし、周囲との関係性を悪くする必要はありません。

今回は見送った方が良いかと思いますが・・・

果たしてどうでしょうか??

 

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